図書館の新刊の棚にあったので借りてみました。

角川新訳版国名シリーズを手に取ったことがきっかけでクイーン作品にハマったのが2015年の3月。
え、もうあれから7年も経ったの……うそ……。

クイーン研究者として有名な飯城さんが探偵エラリー・クイーンとドルリー・レーンが登場する全作品について、「あらすじ」「解説」「コラム」でコンパクトに紹介していくガイドブックです。

新書ということもあり、1作品ごとの解説はさほど長くなく、さくさく読み進めます。ミステリーですから、あまり内容に踏みこみすぎるとネタバレになってしまいますし、ちょうどいい分量のような気がします。
トリックや真相をうまくぼかしつつ、「この作品はここが魅力!」「ここが画期的だった」と紹介する手腕はさすがです。

ミステリの幅を広げ、その限界に挑戦していたクイーン。謎解き自体よりも若きエラリーの生意気なキャラクターに惹かれていた私ですが、飯城さんの熱いガイドを読んで、改めて作家としてのクイーンの「凄さ」を思い知らされました。

全作読み終えるのがもったいなくてしばらくクイーンから遠ざかっていたけど、また読みたくなってきたぞぉ~。

ただ。
1冊もクイーンを読んだことのない人がこのガイドブックを読んでわかるかというとちょっと難しいかもしれない(^^;)
すでにクイーンを知っている人が改めて作品を整理したり、未読の作品について情報を得るのには便利だと思います。

各作品に「日本の本格ミステリ作家のこの作品が影響を受けている」みたいな情報も盛り込まれていて、普段日本のミステリをよく読んでいる方には面白いかも。私は日本人作家にはあまり興味がないので「ふうん」でしたが。

でも北村薫さんの『ニッポン硬貨の謎』はちょっと気になりました。

来日したエラリーが事件の謎を解くパスティーシュ小説だそうで。原題には“日本”がついていない『日本庭園の秘密』の代わりに、挑戦状付き国名シリーズ風になっているのかしら。

あと、『十日間の不思議』とエヴァンゲリオンの相似を指摘してたのが面白かったです。ほんとかよ!?と思わないこともないけど(笑)。
国名シリーズやライツヴィルシリーズとは打って変わってエラリーがチャラくなる『悪魔の報酬』では「ハリウッドにいるのは、あれはエラリーではないのです」(爆)。それぞれの作品に付けてあるキャッチコピーも「フフッ」ってなるし、解説の中の章題に「ここは今から消去法です」とかパロディっぽいものがあるのも楽しい。

クイーン読破計画、とりあえずドルリー・レーン物から再開しようかしら……。