(※以下ネタバレあります。これからご覧になる方はご注意ください。記憶違い等多々あると思いますがご容赦を)



はい、キングオージャー映画を観たということは、ギーツ映画も観たということです。

まぁそれなりに楽しめたんですけど、何しろ『キングオージャー』が良すぎて、あの「生きることは地獄だ!」が強烈すぎてですね。

なんか、あまりに軽く感じてしまったなぁ。

いきなり福くん(ジーン)が出てきて、「これからみんなもオーディエンスだ。一緒にデザグラを、ライダー達の活躍を楽しもう」とか言ってくるんですよ。
途中、えーす達がピンチに陥った時には、「みんなの応援を届けよう」みたいに言ってくるし、最後は応援うちわ持って「ライダーは箱推しだよ!」とにっこりしてくれる。

いや、福くんは、好きだよ。
本編で福くんがついに仮面ライダーに変身した時は嬉しかったし、「娯楽」としてデザグラを消費していたジーンがえーす様と出逢うことで変わっていく、という話も良かったと思う。

でもなんか、映画でこう、最初と最後に出てこられると、「ミラクルライトでプリキュアに力を!」みたいに応援を求められると。

結局ギーツの世界って「娯楽として消費される世界」ってことじゃん、と思ってしまってなぁ。

彼らがどんなに苦しみ、葛藤しても、“ゲーム”の中でどれだけ人が死んでも、「あなた方はそれを第三者として楽しめばいいんですよ、物語の中に入り込む必要はないんです」と言われているような。

いやー、まぁ、どんなコンテンツも「※この物語はフィクションです」だし、娯楽として楽しむために見てるんですけど、それでなくてもギーツの登場人物や物語に入り込めない身としては、いっそう「あ~、はいはい、ゲームなんですね~」って感じで。

なんか、興が削がれる

で、お話はタイトル通り、えーす様が4人に分裂しちゃいます。分散SNSが流行りの昨今、えーす様も流行りに乗っかったんですかねぇ。
未来の指名手配犯、メラとメロが「世界滅亡ゲーム」を始めて、「いかに最速で世界を滅亡させるか」「そのためには邪魔なデザ神えーすを無力化しよう」と考えた。

メラをチョコプラの長田さん、メロをルパパトのうみかちゃん(工藤遥さん)が演じてらっしゃるんですが。

長田さんが超うまい!

今どきの芸人さんにまったく詳しくなくて、チョコレートプラネットとしての長田さんをまったく知らないんですけど、台詞もお芝居もめちゃくちゃ巧くて、変身後のアフレコも本職か?と思うほど違和感なかった。滑舌も発声も素晴らしく、正直えーす様以下全員、メラの存在感に負けてた。

メロの方もねぇ、工藤さんの少しハスキーな声が魅力的でねぇ。メラとの夫婦漫才のようなやりとり、最後にはあっさりメラを見限るところまで含めて、面白かった。

感想は以上です。

――というわけにも行かないか。
4人に分裂したえーす様はまぁ、普段見られない一面がたっぷり見られて楽しくはありました。
カウボーイ姿の「力のえーす」、書生姿の「知のえーす」、無人島に流れ着いて運だけで生き抜く、やたら「ラッキー」と言っているシシレッドのような「運のえーす」、そしてなんだかよくわからない、ぼーっとオカリナを吹いている(というか全然吹けてない)「よくわからない地味なえーす」

特に脳筋な「力のえーす」がいつものシュッとして冷静なえーす様と違って良かったです。
「よくわからない」地味で存在感の薄いえーす様も面白かった。

世界が4つに分裂して、えーす様も4人に分かれてしまうけど、なぜか他のメンバーは分裂せず、「力のえーす」の世界にはパンクジャック、「知のえーす」の世界にはネオンちゃん、「運のえーす」の世界にはツムリ、「地味なえーす」の世界には景和

あれ? 道長はどこにいたんだっけ。脳筋のえーすのところか。
書生姿の「知のえーす」と連動してネオンちゃんがはいからさんが通る的衣装なの、可愛かった。
「運のえーす」のところにメリーポピンズよろしく傘さして降下していくツムリも、「そういう能力あるんだ?」と。運営スタッフだから(テレビ本編よりだいぶ前の世界っぽくて、ツムリちゃんはごく普通だし、景和も闇落ちしてない)そこがデザグラシステムを使って作られた世界である限り、自由に往来できるんだろうけど、あんな、「えいっ!」って傘で降りていくんだなぁ、へぇ~。

「運のえーす」のところには冴さんも出てきます。
冴さん……誰!?
仮面ライダーロポに変身する、なんか格闘技をやってる……いや、単になんかスポーツやってるだけでしたっけ? そんな、いきなり出てきても、全然思いだせないんですが!!!

「地味なえーす」のところにはあのおじいちゃん、仮面ライダーケイロウも出てきます。
いや、だから、なんで? どうせならノッさんを出してくれればいいじゃない! なんでおじいちゃんなの? 誰得!!??

おじいちゃんが「わしも戦うぞ」「あ、腰が!」というお約束でピンチになった時に、新しい仮面ライダー・ガッチャードが登場するという流れは巧いな、と思ったので、まぁピンチ要員だったんですね、おじいちゃん。

ガッチャード、最初例の、ホッパー1とかいうケミーが出てきて、「なんじゃ?」とおじいちゃんが驚いているとCGのヤッターワンかゼンダライオンみたいなのが出てきて(たとえが古い)。

スチームライナーという、これもケミーの一種らしい。ゼンダライオンが蒸気機関車とライオンを組みあわせたメカなので、蒸気機関車ケミーであるスチームライナーを見て私がゼンダライオンを連想したのはあながち間違いではない。
(※と思ったけど、今公式確認したらあれはスチームライナーではなく「仮面ライダーガッチャード マッドパイレーツ ワイルド態」らしい。何それ全然ちゃうやん)

で、その2つが合体(?)して仮面ライダーガッチャード・スチームホッパー登場。声が「なるほど高校生ぽい」感じでしたね、ちょっとまだアフレコに慣れてない感じが初々しい(でも十分上手だった)。錬金術なので鉄パイプだって好きにぐにゃぐにゃにできるんだぜ~という戦い方だった。(すいません、あんまりちゃんと覚えてません)

最後おじいちゃんにカードを渡して、そのカードがあとあとちゃんと役に立ってた(はず)。

えーとそれで、「力だけ」「知だけ」「運だけ」になってしまったえーす様はやはり弱くてあっさり倒され、メラにその力を奪われてしまいます。

「あと一人残ってるけど倒さなくていいの?」とメロに聞かれ、「力と知と運を失ったあんな残りカスに何ができるっていうんだ、放っておいて問題ないさ。それよりこの3つの力で――」と、クロスギーツレイズバックルを生成するメラ。

そしてメラは黒いギーツ、クロスギーツに変身!

うん、まぁ、予想がついちゃうよね。その「残りカス」が重要だってこと。ケイロウのおじいちゃんが「残りカス」のえーす様に対して「いい目をしている。わしの若い頃そっくりじゃ」とか言うシーンもあったし。

力、知、そして運。それらを無くしてもなお残るもの、どうせ「強い意志」とか「諦めない心」とかそんなんなんでしょう?と思ったら案の定その通りで。

ぴーぴー下手くそなオカリナを吹いていた地味なえーすは「心のえーす」。「一番大切なものは、ちゃんとここにある!」と胸を叩いたりなんかして。

えーす様、そういうことするキャラなのねぇ。

「そうだ、えーすはいつも諦めなかった!」「私はえーすを信じる!」と景和やネオンちゃん達の「信じる心」「理想の世界を願う心」が例の、ガッチャードの錬金術カードを介して(?)一つになり、新しいコアID(入場特典だったやつ)が生まれてえーす様は仮面ライダーギーツワンネスとやらに変身。

いわゆる「てんこもり」なフォームで、タイクーンやナーゴのロゴが描かれ、「みんなの力を一つに!」したことがわかりやすい外見。

ギーツワンネスは見事クロスギーツを討ち果たし、世界は平和になりました、とさ。

うーん、なんだかなぁ。
「一番大切なのは心」って、一歩間違えるとすぐに「根性論」になってしまうので、あんまり好きじゃないんだよなぁ。
「みんなで一つになって願えば叶えられる、俺たちみんなで理想の世界を!」とか言うのも、『キングオージャー』で「生きることは地獄だ!」を見た後ではあまりに薄っぺらくて。

なんか、ライダーと戦隊の立ち位置が逆になってない?
戦隊の方が“大人”で、ライダーの方がガキっぽい。

「みんなが幸せになれる世界」、そりゃあそれが実現できれば一番いいけど、景和がうっかり極悪人まで蘇らせてえらいことになった世界を見てもわかる通り、「みんな」ってどこからどこまでなのか、「誰も誰かから奪わずに幸せであり続ける」なんてことが可能なのか。

「一人を救うために大勢を犠牲にするのか?」と問われがちなヒーローたち。
守った相手から感謝されるどころか石もて追われることもある、「常人とは違う力を持った者」。
ゴローゲみたいにすぐ手のひら返して「王様のくせに俺たちを見殺しにするのか!?」なんて言ってくる人間でも、彼が国民で、自分が王様だというだけで守らなくちゃならない。

それでも、あえて「邪悪の王」を名乗ってでも、人々の小さな幸せを守るため茨の道を進む――そんなギラ君を見たあとでは、ほんとに「おめでたいな」としか思えんのだよ~、ギーツのライダー諸君。

さらにダメ押しで「ゲーム楽しかった? ライダー、箱推ししてね♪」が付いてるので、なんかこう、なんというのかこう…おめでたいな……。

ナッスパが1㎜も出てこなかったのもつまらなかったなぁ。一瞬あのジャマト世界樹とやらにぶら下がってるのが映る、ぐらいの出番が欲しかった。

ジャマトと言えば映画の主題歌『Desire』に「ジュラピラジュラピラ」とジャマト語が入っていて面白かった。そういえばジャマト語とかあったよね。「ジャマトも元は人間!?」みたいな衝撃が、少しはあったあの頃……。


【関連記事】

映画『王様戦隊キングオージャー アドベンチャー・ヘブン』観てきました!

『仮面ライダーギーツ&リバイス MOVIE バトルロワイヤル』を観ました