(※以下ネタバレあります。これからDVD等で楽しもうと思ってらっしゃる方はご注意ください。記憶違い等多々あると思いますがご容赦を)
雪組さんの地方公演『愛するには短すぎる』、9月2日15時半公演をライブ配信で楽しみました。実は直前まで観ようかどうしようかと悩んでいたのですが、観て良かったです!とても素敵な公演だった!!!
『愛するには短すぎる』、もとは2006年に上演されたわたる君(湖月わたる)のサヨナラ公演の演目。私、初演を観てないと思ってて、でも今回雪組さん版のラストシーンで「あれ?なんかこの場面知ってる気がする」とデジャブに襲われ、録画DVDの箱やら歴代プログラムが突っ込んである棚やら探したところ。
あるじゃないか、プログラム! しっかり観てたじゃないかっ!!!
挟んであったチケット、もう印字が薄れてよく見えなかったけど、1階8列目67番などという超いい席で観てる。
まだS席で観ていた頃、あの頃はお金とツテがあった……。
中のグラビアが懐かしいです。わたる君格好いいねぇ、美形だねぇ。
ちゃんとblog記事も書いてました。まだ初期(関西ドットコム時代)で、さらっとしか書いてませんが、「久々のヒット作!」などと偉そうなことを言っています。「面白かった、良かった」と言っているのに、なんで観たこと忘れてたんだ、俺……。
ともあれ。
雪組版ですよ。
彩風さんですよ!朝美さんですよ!!
めちゃくちゃ良かったです!
初演の時もわたる君とトウコちゃんの掛け合いが良かった、と書いてますが、今回も彩風さんと朝美さんの掛け合いがとても良かった。
ちょっとチャラい朝美さんが最高!!
こんな二人が観たかった、というバディ感で、とても楽しかった。なぜこういうのを大劇場でやってくれないのだ。二部構成の大作とかいいので、もっとこういう作品をやってほしいなぁ。
物語は、英国からアメリカへ向かう船の上。たった四日間の出来事。
彩風さん演じるフレッドは財閥の御曹司。英国留学を終え、アメリカに帰国する途中。アメリカに戻ったら、彼には輝かしい未来が待っている。美しい令嬢ナンシーとの結婚、財閥の跡取りとしてのデビュー。誰もが羨む順風満帆な人生、でも。
彼の心には一抹の不安がある。
その不安が、彼に奇妙な夢を見せる。子どもの頃のたわいない約束、亡くなったはずの両親の姿。――そう、彼は実は養子なのです。両親を亡くし、孤児院にいたところを見初められ、養父から「財閥の後継者」としての教育を受けた。
周囲の期待に応えようと必死で努力してきた彼は、これまで何も「自分で望んだ」ことがなかった。ただ求められることをこなしてきただけ。美しい婚約者に対しても、恋愛感情を持っているわけではない。自分では「彼女のことは好きだ」と思っているけれど……。
そんなフレッドに対して「そんなのは恋じゃないよ」と突っ込む友人アンソニー。劇作家を目指しているというアンソニーはちょっとチャラくてお調子者で、真面目で努力家のフレッドとは対照的。「親友」というよりは「悪友」という感じで、フレッドとアンソニーの男同士の関係性、「バディ」感が非常に良い。
2人で掛け合い漫才しながら歌う場面とか、いかにも正塚先生らしいナンバーの使い方で、『メランコリックジゴロ』の「飲め飲め」のシーンとか、『銀の狼』の「酔っぱらい」のシーンとか思い出しちゃう。
フレッドとアンソニー、ヤンさん(安寿ミラ)とミキちゃん(真矢ミキ)でもハマったろうな、と思ったし、彩風さんと朝美さんのキャラクターの違いにもぴったりハマってて、素晴らしかった(大事なことなので何度も言う)。
で。
フレッドが夢で見た幼い頃の思い出。
まだ実の両親が健在で、ミズーリ州に住んでいた6歳の頃。その頃の名はマイケルで、幼なじみの女の子クラウディアと結婚の約束をしていた。女優を目指す彼女、じゃあ僕は君が立つ大きな劇場をこしらえようと言うマイケル。「その夢が叶ったら、結婚してくれる?」「もちろん!」
でもマイケルは両親の都合で引っ越してしまい、その後フレッドになって御曹司になって、クラウディアとは20年も遭っていなかった。
ところが。
船の中のショーチームに、クラウディアがいたんですね。
クラウディアの方も「バーバラ」という芸名を名乗っているし、お互い名前も違えば大人にもなっているので、最初は気づかない。気づかないけど、フレッドの方は「初めて遭った気がしない」し、意気投合してしまう。
観ている方はまぁ、すぐ予想がつくわけですけど。子どもの頃夢に描いたほどの舞台ではないにしろ、ショーチームの花形を務めている女性――ああ、クラウディアなんだな、と。
バーバラ(=クラウディア)はチームのマネージャー・フランクに借金をカタに言い寄られています。病気の母親のために借金せざるを得なかった彼女、いよいよ母親の具合が悪いので、この航海が終わったらショーの仕事をやめて故郷に帰ろうと思っている。
折しも船では盗難事件が持ち上がり、アリバイがなく、しかも借金のあるバーバラに疑いがかかってしまいます。実際は「フレッドと一緒にいた」というアリバイがあるんだけど、彼に迷惑がかかることを恐れて言い出せなかったんですね。
駆けつけたフレッドのおかげで疑いは晴れ、さらにお調子者のアンソニーが借金の肩代わりをして、一件落着。ここの朝美さんのお芝居がまたねぇ~、楽しいのよねぇ。アンソニーも全然お金持ちじゃないのに、「俺もないけど心配するな♪」で「この小切手に好きな金額を書け!」なんて大見得切っちゃうわけよ。で、あとでフレッドに「お金貸して♡」と悪びれもせずせがんじゃう。
生真面目なフレッドにバーバラが「あなたはアンソニーじゃないのよ」って言うシーンがあるんだけど、まさにアンソニーって「そういう奴」なのよね。
でも決して腹黒いとか悪人ではなくって、フレッドの気持ちにもバーバラの想いにもいちはやく気づいて、二人の幸せをちゃんと願っている。彼自身、「君みたいな人は初めてだ」とバーバラに惹かれていくけど、だからって無理に言い寄ったりしないし。
愛し合うフレッドとバーバラ。でもバーバラはフレッドのために身を退こうとし、フレッドも自分の立場を考えて、彼女とともに駆け落ちするような道は選ばない。
「愛するには短すぎる」四日間が終わると、互いに別々の道へと別れていく。一生忘れない、一生愛し続けると誓って――。
最後、彩風さんの頬には涙が流れていて、夢白さんの目にも涙が光ってるように見えた。お二人とも本当に熱演で、見ていて胸が苦しくなりました。「駆け落ちしちゃえばいいのに~!」と……。
でも優しくて真面目なフレッド、養父母や婚約者を捨てたら、「きっと自分を許せなくなる。あなたはアンソニーじゃない」。
一生他の女を愛している男と結婚するのと、駆け落ちされるのと、婚約者にとってはどっちがよりツラいだろうとも思うけれど。
誠実で、でもバーバラと再会して情熱に火が点くフレッド、彩風さんの表情、お芝居、ほんとに素晴らしかった。
夢白さんも大人っぽい雰囲気で、良かったなぁ。初演のバーバラは白羽ゆりちゃんだけど、お顔の印象とか似てる気がする。
彩風さん、夢白さん、朝美さん、トップコンビと準トップのトライアングルのバランスがとても良くて、こういう作品大好物。
ついついヤンさん、みきちゃん、みはるちゃんでも観てみたいなと思ってしまいます(^^;) 女の子がトランクを持っているラストシーン……どうしても『メランコリック・ジゴロ』を思い出すし、『Bluff』の「一緒に持ってくぞ!」も思い浮かべちゃって。あの2作のヒロインに比べるとバーバラはとても“大人”で、だからこそのこの結末なんだろうなぁ。
主人公たちの恋だけでなく、船上という限られた場所で、不倫やら盗難騒ぎやら様々な人間模様が描かれ、往年の名作ミュージカル『メイフラワー』や、『グランドホテル』も思い出しました。
ブロードウェイデビューするため、プロデューサーに色仕掛けで取り入って、嘘の自殺騒ぎで役を取りつける算段をするドリーとデイブのくだり、デイブの想いにフレッドが耳を傾けるシーンが印象深かった。それまで本物の「恋」を知らなかったフレッドが、船の上で様々な「愛のありかた」を知る展開になってますよね。
女優志願のドリー役は音彩唯さん。冒頭、夢の中に出て来るフレッドの婚約者ナンシーとの二役なんですが、ナンシーは劇中で「素晴らしい美女」と形容されていて、初演では後の宙組トップ娘役・陽月華さんが演じておられました。
音彩さんは美女というよりとても愛らしい見た目ですよね~。ショーのエトワールでは美声を披露、ロケットでもセンター。顔が小さすぎて体がゴツく見えてた(^^;)
デイブ役は紀城ゆりやさん。お芝居良かったなぁ。
ドリーの術中にハマってしまうブロードウェイプロデューサー・オコーナーに諏訪さきさん。
バーバラに言いよるショーチームのマネージャ-・ペンドルトンに華世京さん。ペンドルトン、初演では柚希礼音さんがやってらしたんですよね~。ちなみにオコーナーは涼紫央さん。懐かしいなぁ。
華世京さん、可愛らしいイメージだったけど色悪のペンドルトンを好演。
初演では怪優(!)未沙のえるさんが無双していたに違いないフレッドの執事ブランドンは専科の凛城きらさん。未沙さんよりも真面目でシュッとした感じ(いや、未沙さんのブランドン役全然覚えてないけど)がいかにも執事っぽくて、お堅いからこそ面白みが活きる感じで楽しかったです。
最後、去って行くバーバラとアンソニーを見送り、ぴしっとソフト帽のつばを整えて自らも明日へと足を踏み出していくフレッド=彩風さんが本当に格好良くて素敵でした。
ほんと、観てよかった。
ショー『ジュエル・ド・パリ』は宝塚大劇場で5月に観たばかり。
オープニングの「小林幸子」風衣装もしっかりあって、大階段もなく人数も少ない地方公演なのに、それを感じさせない楽しさでした。
みんな出ずっぱりでねぇ。すごいなぁ。タカラジェンヌは一にも二にも体力!
大劇場では和希さんがやった第8場のオベリスクの女Sをどなたがやるのか興味津々だったんですけど、組子さんに疎い私、観ている時はどなたなのかわからず……。後で調べて叶ゆうりさんだと知りました。叶さん、『愛するには短すぎる』ではお髭を付けた船長役。お芝居とショーとでがらっと変わった役どころ。すらりとした長身が活きたオリエンタルなダンス、格好良かったです。
次の雪組さん大劇場は11月。また彩風さんと朝美さんのがっつりお芝居が観られると良いなぁ。
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