(※昔話がほとんどです。記憶違い多々あると思いますがご容赦を)


月組バウホール公演『BLUFF~復讐のシナリオ~』をライブ配信で楽しみました!良かったぁぁぁぁぁ!!!!!うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!

1990年、ノンちゃん(久世星佳)が初めて主演を務めた公演。ノンちゃんはもちろん、お話そのものも音楽も最高で大感動して、即座に別の日のチケットを取り、2回目を見たという。

当時、大劇場公演は同じ演目をデフォで複数回見ていましたが、さすがにバウ公演を2回見たのは後にも先にも『BLUFF』だけ。てか、幕開いてからまだチケット取れるのすごいな。完売してなかったんかいっ!
まだ牧歌的な時代だったんですねぇ……2週間ぐらい公演期間あったしな。
(※阪急文化財団のアーカイブで初演時のポスターが見られます。10月13日~30日まで、2週間以上の公演期間だった)

作品そのものがとても良いので再演すればいいのにとずーっと思っていて、やっと、34年の月日を経て、同じ月組で、風間柚乃さん主演で再演!
ほんとは生で拝見したかったけど、チケットが取れるわけもなく。
バウ公演、たったの5日間ですよ!? 8公演しかない。東京公演も1週間ぐらいだし、短すぎやん。こんな素敵な作品をそんなちょろっとしか上演しないなんて、もったいなすぎる。

令和の『BLUFF』もめちゃめちゃ良くて、今見ても面白くて、風間さんはじめキャストも大熱演で、ほんとに何度でも見たくなる。3か月ぐらいロングランしてほしい()。

もう幕が上がる前から、あの主題歌『Put My Life On The Line』のインストが流れてきただけで「うあぁぁぁぁぁぁ!大好きっっっっっっ!」ってなっちゃって。ほんとに名曲ですよね、これ。コーラスもすごく良くて。



プロローグで手袋ピシピシしながら歌うのがまた格好良くてね~~~。
続くカジノの場面の音楽もJazzyでお洒落だし、正塚先生×高橋先生コンビの真骨頂。主題歌だけじゃなくこれを機に初演も全編配信してくれないかなぁ。全部聞きたいよぉ。当時バウ公演は実況CDすら出ていない(はず)ので、なかなか難しいだろうけども。


風間さん扮する主人公ドノヴァンは詐欺師です。自分たちの育った街を立ち退かされ、恩師も殺された彼が、幼なじみの仲間たちとともにマフィアのボス・メンデスを詐欺の手管で陥れる。
“天才”と呼ばれるドノヴァンが書いた「復讐のシナリオ」、当初の予定にはなかった切り札として登場するのがヒロイン・シャロン。借金のかたにマフィアに家を奪われようとしている貧乏でパッとしない、弟からも“ブサイク”と嘲られる女の子。実は彼女、メンデスの昔の恋人ジュリアにそっくり。何をしてもうまく行かない、「生きてても死んでても何も変わらない」と嘆くシャロンを仲間に引き入れるドノヴァン。
瓶底メガネをはずし、綺麗なドレスにメイク、美しく生まれ変わって「老科学者の娘」を演じるシャロン。シャロンにとってはちょっとしたシンデレラストーリーで、彼女がドノヴァンに惹かれていくのはもちろん、ドノヴァンの方も……。

風間さんは歌もお芝居も巧くて、安心して見ていられましたね~。スーツにソフト帽という出で立ちもよく似合って格好いい。「老科学者」部分のコミカルなおじいちゃん演技も巧い。
ノンちゃんドノヴァンよりもさらに「大人の男!」という感じがしました。
風間さんは現在研11。初演時のノンちゃんはまだ研8、25歳。ノンちゃん自身のふわっとした部分も相まって、おじいちゃん部分などもっと可愛かった印象があります。さらにコミカルというか。風間さんはおじいちゃんになっても格好良かった

シャロンの花妃舞音さん初演のよっちゃん(麻乃佳世)に比べてだいぶ大柄で、こちらも大人っぽく見えましたね。よっちゃんがちっちゃかった(そして顔立ちも幼く見えるタイプだった)んだけど。翌年にはカナメさん(涼風真世)の相手役としてトップ娘役になるよっちゃん、『BLUFF』の時まだ研3ですもんねぇ。

花妃さんもまだ研5。え?まだ研5??? すごく安定してたよね。ぐるぐるメガネをした自信のない女の子のパートも、きれいになって「マレーネ」という女性を演じる部分も。メンデスを騙すことへの不安、ドノヴァンへの想い……。
ポスター画像を見た時は『ボニー&クライド』ぽいなぁ、だいぶシャロンのイメージと違うなぁ、と思ったけど、ちゃんと可愛くて巧くて良かったです。

そしてシャロンの弟ロジャー役! 彩海せらさん!!!
初演のいつき吟夏さんのロジャーがめちゃくちゃ良くて大好きだったんだけど、彩海さんのロジャーも最高でした! 声色がいいし、お芝居がうまい。ギャンブラー気取りのチンピラ君、ドノヴァンたちの計画にいっちょかみして引っ掻きまわす。ある意味このお芝居の「肝(きも)」なんですよね、ロジャー。ロジャーのお芝居如何で作品の出来が大きく変わってくると思う。
彩海さん、ドノヴァンの台詞を丸パクリして「まだ見ぬ人よ~♪」を口ずさむところもほんとに巧かった。顔もいいよね~~~。『Eternal Voice』の感想でも「顔がいい」って書いてたけど。
すでにバウ主演も経験されている研9の彩海さん、フィナーレでは格好いい男前なダンスも披露、今後が楽しみな男役さんですね。

初演のロジャー、いつき吟夏さんは紫ともちゃんや万里柚美お姉様と同期で、『BLUFF』の時はまだ研7。歌もお芝居も良くてとてもチャーミングな男役さんだったんですが、『BLUFF』の翌年1991年に退団され、2018年12月に52歳の若さでご逝去。残念すぎる、寂しすぎる……。『大いなる遺産』の時の歌も印象的だった。ああ、懐かしいなぁ。

えーっとそれで、ドノヴァンに騙されるマフィアのボス・メンデス役は佳城葵さん。『Eternal Voice』の時の、代役での叔父さん役もとても良かったですが、今回も良かった~。メンデス、一応マフィアのボスだけど、恐妻家でけっこうヘタレで、憎めないキャラクターなんですよね。その「憎めなさ」加減がすごく巧い、楽しい。シャロンじゃなくても騙すの可哀相になっちゃう。
佳城さんは研14。初演のメンデスは波音みちるさんで当時研9……え?そんなに若かったのか、あのメンデス。

メンデスを尻に敷く怖ーい妻アイリーンは彩みちるさん。彩さん迫力ありすぎ!めっちゃ怖い!!!なんだかんだ言いつつメンデスの体を心配して胃薬を届けさせ、そのせいでメンデスの浮気を知ってしまうアイリーン。彼女なりにメンデスのこと愛してたのにね……。
初演のアイリーンはいつきさんと同期だった蘭玲花さん。研7でアイリーンやってたのかぁ。

プロローグのあの『Put My Life On The Line』のところでばーっと初演の舞希彩さんや大峯麻友さんのお姿を思い出したのですが。
高翔みず希さん扮するドノヴァンの仲間、マローイ。ビジュアルが大峯さんぽい!って思ったんだけど、初演のマローイは幸風イレネさんで、コステロが大峯さんだった。
スペイン語混じりで「~~サ」と独特の話し方をする高翔さんマローイ、イレネさんリスペクトな役作りだったのかしら??? メキシコ出身だったイレネさん、当時研10。
高翔さんはちょうど『BLUFF』初演の1990年に入団してらして、1992年の日本青年館版『BLUFF』に出演してらっしゃるんですよね。高翔さんが最初月組だったことをすっかり忘れてて、調べてびっくりしました。イレネさんマローイはもちろん、ノンちゃんドノヴァンも間近で見てらしたんだ……。だからこそのキャスティングだったんでしょうか。楽しい素敵なマローイでした。

その独特な声と美貌が大好きだった舞希彩さんが演じていたレディ・ディ。舞希さんはイレネさんと同期で当時研10。今回のレディ・ディは羽音みかさん。研8かな?舞希さんに雰囲気似てたかも。

当時研9の大峯さんが演じていたコステロは真弘蓮さん(研7)。イケメンでいらした。
アヴェリー役の雅耀さん(研3)も顔が良かったな~。お二人の雰囲気が似てて、ちょっとどっちがどっちか覚えられなかったけど(^^;)
初演のアヴェリーは大海ひろさんだったんですよね。当時研5。新公の主演もされてたのに、早くに退団されてしまって……。ググると大海さんも亡くなられているようでびっくりしました。そうなのかぁ……。

ドノヴァンの仲間の中でリーダーっぽい感じの役どころだったシドーは瑠皇りあさん(研8)。瑠皇さんも長身で格好良かったです。お芝居もしっかりしてた。
初演のシドーは真織由季ちゃん!当時研5!!
真織ちゃん、日本青年館版ではロジャーやってるんですよね。真織ちゃんのロジャーもきっとすごく良かったろうなぁ。歌もお芝居も達者で素敵なスターさんだった、見てみたかったな。

大峯さんが同窓会の写真とともに日本青年館バージョンのプログラム画像をあげてくださっています。

やっぱり高翔さんマローイ、雰囲気は大峯さんの方に寄せてない?大峯さんとイレネさんのハイブリッド???
樹里ちゃんや嘉月さんも出ていた日本青年館バージョン、ああ、タイムスリップして観に行きたい。

初演は花丘美幸(当時研3)さんがやられていたキティ。ロジャーが惚れちゃう花屋の女の子、しかしてその実体は――!?という準ヒロインのような役どころ。
今回は乃々れいあさん、なんとまだ研2。バーンとした、大きな顔立ちの美人さんでした。大抜擢と思ったらすでに新公ヒロインやってらっしゃるのね、なるほど。

主演の風間さんはじめ、全体に初演より大人っぽく、さらにスタイリッシュで現代的になっている感じがしました。まぁ34年前に2回観ただけなので、比較するの難しいんですけどね(^^;)

でも今観てもやっぱりすごく面白くて、正塚先生の台詞劇がたまらないし、音楽も本当に良くて、最初から最後まですごく楽しかった。
ドノヴァンとシャロンが二人で話しているところ(あとからロジャーにぱくられる台詞たち)、聞き入ってしまうし、メンデスとアイリーンの掛け合いも夫婦漫才みたいでねぇ。「要らないシーン」とか退屈に思える箇所がひとつもない。

何より最後の「一緒に持ってくぞ!」という決め台詞!
シャロンがドノヴァンのカバンを持ったまま返してくれなくて、ドノヴァンが思わず言う台詞なんですけど、初演の時からもうね。最高of最高。
「好き」とか「愛してる」とかそんな直接的な台詞は一つもなく、でもここまでのシーンで二人が惹かれあってることは十分感じられ、「どうするの?このまま別れるの?」と思っていたら、ありきたりの告白じゃなく「一緒に持ってくぞ!」「――うん!」。

正塚先生ってほんとロマンチストだよね。
好き。

これからも何度でも再演してほしい名作です。観られて良かった!