本家『犯罪都市』は1作も観たことないんですが、『スペシャルズ』と同じ内田英治監督、弦ちゃんこと福士蒼汰くん、ブンレッド・大也こと井内悠陽くんが出ているということで映画館まで足を運んでみました。
私としては断然『スペシャルズ』の方が好みで面白かったですが、井内くん可愛かったし、主演の水上恒司くんも怪演で、楽しめました。
舞台は2015年の新宿。いきなり闇バイトから始まって、制服着た高校生くらいの男の子が他の面子と一緒に雇い主からバールを渡され、質屋を襲撃。「うわー、やっぱバールなんだ」と思ったし、襲撃後に車に乗せてもらえず三々五々逃げてたっぽいのも例の栃木の事件を彷彿とさせてタイムリー。
2015年なのに。
もうこんなに治安が悪いのか、東京。
劇中で「世界一の犯罪都市」とか言われてたし、悪役2人はバンバン人を殺していくし、終始「東京は怖いところじゃ」と思いながら見てました。
闇バイトに指令を出しているのはマニラの刑務所にいる「ラビット」と呼ばれる男。スペシャルズ』にも出ていた「とにかく明るい安村」氏がラビット役。お腹にはうさぎの刺青、仲間がみんなお揃いの黄色いTシャツ着てるのが面白かった。
東京からの「上がり」を監獄内に溜め込み、調子こいてたラビット、新宿を牛耳るヤクザ・岩城組に「うちのシマで何好き勝手しとんねん」と〆られ、お金を差し出す羽目に。さらに謎の2人組の襲撃を受け、ブスブスぐさぐさ。治安が悪い。
2人組の一人が福士くん扮する村田。名前(というか正体)は終盤になるまで明かされないんだけど、とにかくヤバい。強い。福士くんの狂犬的ヴィランは『ファブル』でも見たけど、あれから7年経って、渋みとヤバみが増して、とても良い30代に育ってらっしゃる(あの弦ちゃんがもう33歳だなんて。時の流れは速い……)。
福士くん、二の腕めちゃくちゃ仕上がってるし、水上くんとの二度にわたるタイマンアクションもすごい。一回目、コンビニで殴り合いしてて、商品やら入り口のガラスやらめちゃめちゃになってほんとに近所迷惑だった。あれは新宿中央署が賠償するのかしら。あぶ刑事ではよくタカさん&ユージに請求書が来ていたけども。
水上くん扮する相葉四郎は新宿中央署の新米刑事。歌舞伎町育ちで元暴走族の総長。プロレス好きでとんでもない石頭。頭突き一つで相手を倒せるし、立て看板やらゴルフクラブやらで頭殴られても看板の方が負けるぐらい。左之助並みの打たれ強さ。
相葉だけじゃなく、主要登場人物全員、不死身の杉元並みにタフなんですよね。「なんでそれで普通に起き上がれるの?入院もせずピンピンしてるの!?」という。最後、ユンホさん扮するチェ・シウ刑事も腹を包丁で刺されてるのにそのままアクションしてて、決着ついたあとも割と平気な感じで会話してて、「ちょ、救急車!早く病院行って!!!!!」って思いました。あの後ちゃんと治療に向かったのかしら、心配。
福士くんたち2人を追ってソウルからやってきたチェ・シウ刑事、相葉刑事とコンビを組むことに。相葉と違って理知的な刑事かと思いきや、こちらもけっこう血の気が多い。容疑者に頭突きで取り調べする相葉くん、ヘルメットかぶせた上でまわし蹴りをお見舞いするチェ・シウ刑事。
またユンホさんのまわし蹴りが大変美しい。他の場面でも足技見事でした。「東方神起の人」というのは知ってたけど、Wiki見たら「テコンドーで世界大会3位」って書いてあって、なるほどってなりました。
水上くんと2人でカラオケ熱唱するところ、最初「いやいや、俺は」って断ってるのに、マイク持ったとたんスイッチ入って面白かった。本職ですやん。
実は日本語も喋れるけど、最初のうちはヒコロヒーさん扮する吉井みゆき刑事が韓国語を通訳。相葉の先輩である吉井刑事、相葉がずっと「ゆきさん」って呼んでた気がするんだけど、公式サイト見たら「みゆきさん」だった。「み」が聞こえてなかったのか、本当に「ゆきさん」って呼んでたのか、どっちなんだろ。
ともあれこの吉井刑事、韓国語も英語もペラペラで、フィリピン警察にツテがあったり、めちゃめちゃ「デキる」人。所属する組織犯罪対策課の3係だか4係だかはなんか窓際っぽい感じで、本人もどっちかというとダルそうな、めんどくさそうな雰囲気なのに、ギャップが面白い。ヒコロヒーさん、いい味だったなぁ。こういう一見「普通」の人が実は仕事できるんだよ、みたいな。
同じく相葉の先輩、西嶋刑事役を青柳翔さん。『スペシャルズ』では殺し屋だったのに、今回はとっても地味な、オーラを消した七三分けメガネの公務員。地味でおとなしそうなのに、相葉の頭突き尋問の際には粛々と監視カメラに覆いをしたり、最後には「もうどうなっても知るか!」ってキレたり、こちらも面白いキャラクター。
吉井刑事も西嶋刑事も常識的なように見えて相葉の味方、一緒になってヤバい捜査してるの良かったなぁ。あんな無茶苦茶なのに相葉、全然孤立してなくて、ちゃんと「チームの一員」なんだよね。
その「チーム」の一応のトップ、小林係長を渋川清彦さん。私にとっては『オーズ』7話8話の小森くんである渋川さん、ちょっと小汚くてうだつあがらない感じが良かった。頼りないけどやる時はやるし、「上」にへいこらして知らぬ存ぜぬを決め込むような害悪上司では全然ない。むしろちゃんと仕事してくれる。
大げさに正義を振りかざすでもなく、さりとて諦めて「何もしない」わけでもなく、問題児であるはずの相葉くんをサポートして「犯人逮捕」に尽力する、派手すぎないあの「チーム」、いい存在感だったな。
福士くんと2人で好き勝手やっているもう一人の国際手配犯、キム役をオム・ギジュンさん。立ち姿がシュッとして、脚がスラっときれいだった。こちらもチェ・シウとの二度のタイマンがあって、こちらもほんとにタフ。彼らが「俺たちは何やっても許される」と言うのはバックに権力があるからなんだけども、それにしたってなんであんな強いのか。「自分は格闘でも負けない」という自信がなかったら、「何やっても」にならないよね? たとえ絶対に逮捕されなくても、物理的にボコられて殺される可能性はあるわけで。
別に死ぬの怖くないのかな。それさえも「遊び」なのかな。
相葉くんに「なんでこんなことするんだ」って訊かれて、2人は「退屈だから」って答える。「上級国民がいかに暇を持てあましているか、下級公務員にはわからないだろうな」って。
「上級国民」とか久しぶりに聞いた……。
要は二人とも「ええしのぼん」で、親が政財界の大物だから何をしてももみ消してもらえる、逮捕されてもすぐ釈放されるし、決してその罪を問われることはない、ってことなんだけど。
ほとんど「退屈だから辻斬りしてる」時代劇の若様と同じノリ。庶民はいつも泣き寝入り、かくなる上は仕事人にお願いするしか……。この映画の中では最終的に係長の頑張りで逮捕状取って、「釈放しろ!」という圧力にも負けず逮捕にこぎつけるわけだけど、あの逮捕状、なんで取れたんだろう。村田の父親を快く思わない別の政界の大物のところに話を持っていったのかなぁ。韓国側(キム側)の方はまた別に工作がいると思うけど、そっちもなんとかなったんだろうか。
村田の父親、民和党の大物代議士にして現副総理を演じるのは鶴見辰吾さん。『仮面ライダーフォーゼ』で天高理事長をやってらした鶴見さんが、弦ちゃんこと福士くんの父親役なんですよねぇ。なんか嬉しい。
途中民和党の政治パーティの場面があって、党のスローガンに乾いた笑いが出てしまうし、「ここからは2世の時間だ~!」って2世連中が騒いでるところも風刺が効きすぎていてすごい。
最後、村田とキムが逃げこむのが首相官邸、ってところもねぇ。治外法権、その辺の下級公務員はおいそれと中に入れないわけですよ。
入るけど。
首相執務室もぐちゃぐちゃにしちゃうけど。
部屋に置いてある国旗を村田が武器として使ってくるのに対して、相葉が「おい!国旗になんてことしてんだ!」って反応してるのもタイムリーすぎる。副総理の息子は国旗に何の敬意も払わない一方、暴走族上がりの下級公務員である相葉は「失礼しました」と国旗に対して無礼を詫びる。
ほんとに皮肉が効いてる。
プロレス大好き相葉くん、天龍のTシャツ着てたり、最後の村田を仕留める技がジャーマン・スープレックスみたいだったり(プロレス詳しくないので間違ってたらすいません)。なんか両手をひらひらさせて相手を威嚇(?)してたのも、プロレス絡みなのかな。
相葉たち警察側も、村田&キムも全然銃出さなくて肉弾戦。村田&キム側は包丁やナイフ、工事現場のつるはしとか使ってブスブスぐさぐさやってくるけど、相葉くんは体ひとつ。みゆきさんが一回だけ拳銃構えてたけど、あの場面以外では全然銃出てこなかったような。
なんか、一口に「アクション」と言ってもカンフーだったり特撮だったりパルクールみたいのやガンアクションと色々あるけど、この映画のは「アクション」というより「暴力」みが凄かった。みんな殴られすぎ刺されすぎで痛々しくて、「東京は怖いところじゃ」感がすごい。特撮ヒーローのきれいな(?)アクションが恋しくなる。
途中、自転車でチェイスするシーンは役者さんもめっちゃ頑張って自転車漕いでたし、自転車が追いかけっこしてるせいでとばっちりを受ける車とか、カーチェイスの要素もあって見応えあった。今なかなか公道でこういうロケできないらしいのにね。
実際に歌舞伎町で撮ってるらしく、新宿アルタ前を封鎖してのロケとか、「わかる」人には「おおおおおーっ!」という絵面なのでしょう。私はなんせ僻地民だから、映像観てもそれが本当に新宿なのか違うのか全然わからなかったけども。
※特別メイキング新宿封鎖編
で。
井内くん。
ブンレッド範道大也こと井内悠陽くんは「ドリーミング」というホストグループの下っ端ホスト。運の悪いことに(というかむしろ運のいいことに)相葉にとっつかまり、頭突きによる尋問を受けることに。
実は最初に闇バイトに襲われていた質屋も「ドリーミング」の系列、岩城組や村田たち政財界の手下たちが金を奪いあってる裏には「東京カジノ構想」があって、みんなその「利権」を買うために金をかき集めている。
公式サイトの相関図には「下っ端ホスト」としか書かれてないし、井内くんそんなに出番ないのかな~と思ったらけっこうしっかりあって、相葉に情報を提供する重要な役。ご指名受けたと思ったら客は相葉&チェ・シウ両刑事だった、というシーン、恭しく名刺差し出す姿が可愛い~。なんで下っ端なの、絶対人気あるでしょ、お店でナンバー3ぐらいにはなるでしょw
村田たちの襲撃を受けた際にはちゃんと相葉に連絡取ろうとするし(あの場面で殺されてしまわなくてほんと良かった)、最後にはちゃっかり「俺たち仲間じゃないですか!」と警察チームに混じってるし、可愛すぎる。「ドリーミング」、金も奪われ、総帥も殺されちゃって、お店はどうなったんだろ。井内くん、もうホストは廃業したのかしら。他の店に移ったのかしら。それとも届け屋に()。
もし続編があったらちゃっかり井内くんも警察官になって、相葉の下についてると面白いのに。
「ドリーミング」の総帥役は上田竜也さん。おかっぱ風の髪型にピンクのスーツ、ビジュアルの癖が強い! しかも武闘派、自室にサンドバッグ常備の筋肉美の持ち主。部屋に自分のポスター(?)をデカデカと掲げているのもヤバい。あんなに鍛えて自信満々でも村田&キムには勝てない、ほんとになんであの2人はあんな強いの。
えーっとそれからパク・ジファンさん扮する韓国ヤクザのチャン・イス。本家『犯罪都市』にも登場するキャラクターらしい。もちろんそちらでもパクさんが演じているのだとか。本家を見ていればいっそう楽しめたんだろうなぁ。
あと冒頭、相葉刑事登場のシーンで「四郎ちゃん、久しぶりやん、どないしてたん、ちゃんと就職できたん」みたいに声をかけるタバコ屋のおばちゃんみたいな人、良かったな。歌舞伎町だからそんな大阪弁じゃないけど、「この男は近所のおばちゃんからこんなふうに目をかけてもらってる人物ですよ」っていうのが見えて良かった。
岩城組の親分たちのことを相葉くんが「俺にとっちゃ近所のおっちゃんなんだよ」って言うのも良かったね。
今回、公開1週間後の6月4日に観たんだけど、2週目5日からは午後と夜のみの上映になるということで、「都合のいい時間に行けるの今日しかないやん!」と駆け込みで行ったんですよね。さらに3週目からは上映1回になるっぽい。本当に、ほんっとうに、観たい映画は1週目に観ておかないと……。映画館で映画観るの難しすぎる。
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