(※以下ネタバレあります。これからご覧になる方はご注意ください。記憶違い多々あると思いますがご容赦を)

宙組さんの『黒蜥蜴』、宝塚大劇場千秋楽公演をライブ配信で鑑賞しました。先日美輪明宏さんが亡くなられ、宙組さん配信と同じ7月5日に美輪さんの映画版『黒蜥蜴』も追悼放送されていました。何か不思議な縁を感じてしまいます。

宝塚では2007年にも『黒蜥蜴』が上演されています(※その時の感想記事こちら)。当時のトップ男役春野寿美礼さんが明智小五郎、黒蜥蜴は桜乃彩音さん、そして真飛聖さんが雨宮という配役。『明智小五郎の事件簿ー黒蜥蜴ー』というタイトルで、三島版ではなく、演出の木村信二先生が江戸川乱歩の原作を大胆にアレンジしたものでした。

時代を戦後に移し、戦災孤児の話を絡めて、明智と黒蜥蜴が実は生き別れの兄妹だった!という衝撃の結末を迎える花組版、キャストの皆さんは良かったけど、「黒蜥蜴が明智の妹」というのがどうにも納得いかなくて、がっかりしたんですよね。

でも今回の宙組版はクレジットにしっかり「三島由紀夫」の名が入っていて、ちゃんとした(というか、“私の好きな”)『黒蜥蜴』が見られるのでは、と期待していました。

うん、私の好きな『黒蜥蜴』でした。ちゃんと黒蜥蜴が狂気! 雨宮も葉子もみんな狂気!

黒蜥蜴役の春乃さくらさんがとにかく頑張ってましたねぇ。ポスター画像見た時からすごく良いな、と思っていたけど、宝塚らしからぬ妖しい美貌の女賊を見事に演じ抜いてらっしゃいました。黒蜥蜴、めっちゃ台詞多いし、衣装替えも多く、感情の起伏的にも1公演やるだけでめちゃくちゃ疲れそうなんだけど、ドスの効いた声色も堂に入っていて、良かったです。少し怒鳴りすぎかなぁと思うところもあったけど(私の中の理想の黒蜥蜴は常に悠然としているので)、3階席まで届くお芝居としてはあれぐらい過剰でちょうどいいのかも。

宙組全然観てなくて、春乃さんが普段どんな娘役さんなのか知らないんだけど、ショーを見る限り普通に可愛らしかったので、黒蜥蜴役はすごいチャレンジだったのでは…???

明智役桜木みなとさんも口舌よく、颯爽として格好良かったです。このお話、どうしたって黒蜥蜴の方に目が行くので、「この場面のここが!」みたいな印象はあまり残らなかったんだけど、ちょっと真矢ミキちゃんに似て見えました。元気のいい明智というか(※春野さんがアンニュイすぎる説)。明智の髪型はなんかちょっと微妙な気がしたなぁ…。

美輪様の映画版『黒蜥蜴』は87分、宝塚のお芝居の上演時間はおおむね95分なので、ほぼ映画版と同じ長さ。ちなみに美輪様の舞台版『黒蜥蜴』はなんと3時間半もあって、観に行った時びっくりしたんですけど、三島の戯曲を踏襲しつつ、宝塚らしい歌やダンスを交えて95分に落とし込む、潤色&演出の生田大和先生の才が光ります。

3時間半版は本当に「台詞劇」で、じっくり台詞の応酬をしていたけど、宙組版はかなりスピーディでコンパクト、緊張感保ったまま最後まで一気に駆け抜ける感じ。テンポ良く、ダレる間もなく良かったけど、その分みんなだいぶ早口で喋っていたような? 

私の好きな、「犯罪だけはきらびやかな裳裾を5mも引きずっているべき」という台詞がなかったのは残念でした(もしかして聞き逃してただけだったらごめんなさい)。明智と黒蜥蜴が別々の場所にいるのに掛け合いになっているくだり、そんなにがっつり掛け合ってなかった気がしたけど、「最後に勝つのはこっちさ!」はバシっと決まってましたね。

黒蜥蜴のドレス、セット(大道具)、人間美術館もよくできてて、全体としてとてもクオリティの高い舞台だったんだけど、黒蜥蜴と明智以外の登場人物があんまり目立たないのが「宝塚」としてはちょっと寂しい気がしました。

だってなんか、水美舞斗さんが雨宮なの、すごくこう、「もったいない」気がしません? もっといい役ないんかーい!と思ってしまう。黒蜥蜴に心酔している青年、黒蜥蜴とは絡みも多いし、終盤の早苗(葉子)との見せ場もあるとはいえ……。

「クロロホルムのハンカチ」の歌は面白かった。「クロロホルムのハンカチ、あんなロマンチックなものはないわ」って、そもそも黒蜥蜴が言うんでしたっけ。それを雨宮の歌にしてしまう生田先生のセンスよ。

早苗(葉子)と同じ檻に閉じ込められ、黒蜥蜴に「あんた達、恋人同士の像にしてあげる」って言われて謎に盛り上がっちゃうとこ、あそこの掛け合いもけっこう好きなんだけど、今回は「葉子も雨宮もだいぶ頭おかしいな」って冷静に思ってしまった。だいぶ台詞がはしょられてるせいかな? 檻に入れられた時、すでに葉子が雨宮を好きになっている感じなの、「なんで?」と唐突に感じたし。

早苗とその替え玉の葉子役は天彩峰里さん。葉子が明智の部下にスカウトされる場面のやさぐれ感がすごくうまかった。

男役三番手と思われる鷹翔千空さんは真木警部補役。花組版の時は浪越警部が「明智の親友」になってて、当時三番手の壮一帆さんが演じてらした。今回浪越警部は叶ゆうりさんで、浪越よりも真木の方が明智と絡む。鷹翔さんはすごく大人っぽい感じで、刑事役格好良かったけど出番は多くない。

で、あとは「明智の部下」とか「黒蜥蜴の部下」とかで、目立つ役がほとんどない。私が宙組スターさんを知らないせいも大きいと思うけど、「この子いいなぁ」と思えるほどの役がなくて。

黒蜥蜴の部下、ひな(青い亀)役の山吹ひばりさんは可愛くて印象に残りました。すでにバウのヒロインとかやってらっしゃるのね。

早苗の父親、宝石商の岩瀬を演じるのは専科の悠真倫さん。悠真さん、花組版にも出てらしたんですよね。手元の公演プログラムによると、その時はホテルの支配人役。すでに研12か13ぐらいかな? ちなみに岩瀬役はハッチさん(夏美よう)でした。出演者一覧には望海さんや瀬戸かずやさんのお名前も。新人公演は朝夏まなとさんが明智、黒蜥蜴は野々すみ花さん。昔のプログラム見るの楽しい(つい脱線)。

えーっと、それで、宙組公演!

ショー『Diamond IMPULSE』は竹田悠一郎先生の作/演出。竹田先生の作品を拝見するのは初めてだけど、Jazzメインのオーソドックスなショーという感じで、曲調が全体的に好みで楽しめました。あまりストーリーストーリーしてなくて、ダンスを見せる感じ? 中詰めの衣装が緞子みたいなゴージャスさで、総踊りの場面は劇場で観てたらめちゃくちゃ盛り上がりそう。銀橋に男役さんがずらっと並ぶの格好良いし、なんか男役同士でいちゃいちゃしてませんでした? いいぞ、もっとやれ()

初舞台生ロケット、最後に加わった4人?がすごいベテランっぽく見えたけど、全員初舞台生だったんですよね???

フィナーレ男役大階段はロック調、スーツがベルベットに見えて、これも格好良かったな。Jazzyな「スタンド・バイ・ミー」でのデュエットダンスも軽快でお洒落でした。

最後は組長松風輝さんの退団挨拶。松風さんが退団されるので、司会進行は愛すみれさんがご担当。退団者一人だけ、しかも組長さんって、なんか不思議な感じでした。組長さんの退団挨拶拝見するのも初めてで。

組長さんと言っても松風さんは2006年初舞台だからまだお若いですよね。月組梨花さんのような大ベテランがいらっしゃるかと思えば、今度宙組組長を継がれる愛さんは2009年初舞台、各組の組長さんの年齢差がすごい。

宙組さんの次回大劇場は正塚先生の新作と指田先生のショー。どっちも気になります。それまでにもう少し宙組さんのスターさんを覚えておかなければ……。




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黒蜥蜴あれこれ