(※以下ネタバレあります。これからご覧になる方はご注意ください)
(※仮面ライダー公式Webの『THE FIRST』紹介ページこちら)
今年の5月に『仮面ライダー THE NEXT』を観てから数か月、AmazonPrimeVideoで仮面ライダー作品が一挙見放題になり、『THE FIRST』の方も観ることができました。
作品のコンセプトが「仮面ライダーで冬ソナをやる」だと聞いて、『FIRST』は観なくてもいいかなぁと思ってたけど、観てみたら普通に面白かった! 言うほど恋愛要素強くなくない? いや、まぁ、隼人との取り合いとかあるけど、別に邪魔じゃないっていうか、1時間半で物語作らなきゃいけないから、ヒロインとの関係性が軸になってるのむしろわかりやすいのでは。
ってかやっぱこのシリーズの隼人のキャラクター、最高だよね? 好きすぎる。猛と隼人がいちゃいちゃしてるだけで楽しい、女取り合ってるのも二人の仲が良すぎるだけだろ、って思っちゃう。
脚本は井上敏樹大先生、監督は長石多可男さん。2005年11月公開(『NEXT』は2007年10月公開)。
『THE NEXT』同様、本郷猛は黄川田将也さん、一文字隼人は高野八誠さん。高野さんはヒロイン緑川あすかの婚約者、矢野克彦との二役。
最初、「あれ?あすかの恋人が隼人なの?」と思ったら名前が違って、「え?でもどう見てもこれ八誠さんじゃん」と混乱したんだけど、克彦と隼人はただのそっくりさん。克彦の方は序盤でショッカーに殺され、傷心のあすかに近づいてきた隼人が「そうさ、生きていたんだよ」なんて言うんだけど、ただのナンパの方便らしい。
ヘタレっぽかった克彦がショッカーの改造を受けて、性格まで格好付けのナンパ師に変わっちゃったんかなと思ったのに。
ショッカーを裏切った本郷猛=ホッパーを倒せるのは同じホッパー怪人だけ、ということで刺客として送りこまれた一文字隼人。劇中では仮面ライダーという呼称もなければ、どっちが「1号」ということもない。戦闘慣れしてる感じからして、隼人の方が先に改造されていた可能性もあって、「死んだ克彦が改造人間として蘇った」というのは時系列的に無理そうではある。
刺客として送りこむ時に顔を変えた、はワンチャンありそうだけど、わざわざあすかの婚約者の顔にするの、ショッカーとしてはそんなにメリットないよね。隼人があすかに近づいて「あすかは俺のものだ」とか言い出すの、完全に隼人の趣味=独断だと思うし。
赤の他人なのにあんなにそっくりな“怪人”がすでにご用意されてるの、御都合主義にもほどがある、ショッカーの先見の明(?)すごい。さすが偉大なるショッカー。
えーっと、だいぶ先走って書いちゃったけども、まず本郷猛は城南大学の大学院生で、「水の結晶」の研究をしている。その研究の取材に来た雑誌記者の緑川あすか。取材の過程で二人は親しくなり、猛はあすかにほんのり恋心を抱いているようなんだけど、あすかには克彦という婚約者がいる。
ある日猛はショッカーに拉致られてバッタ怪人に改造され、普通にショッカーとしての活動を始める。そして克彦を手にかけそうになるも雪の結晶を見たことで自我を取り戻し、すんでのところで思いとどまる。が、克彦は結局他の怪人に殺され、そのそばにたたずんでいるところをあすかに目撃され、あわれ猛は「克彦を殺した男」としてあすかから憎まれることに。
TVシリーズで猛が緑川ルリ子から「父である緑川博士を殺した仇」と思われるのとおんなじ。自我を取り戻して普通の生活に戻ろうとする猛が自分の怪力にとまどう描写も、本家1号をうまくリブートしてるなぁ、と思います。
少女を助けようとしたらトラック凹むし、せっかく助けた少女は猛に抱きかかえられたことで胸部圧迫、呼吸困難。その場を目撃していたあすかにはゴシップ記事を書かれる始末。
猛、可哀想。
でもあんな顔写真入りの記事書かれて大学から追い出されないのすごい。事件後も普通に講義してたけど、大学当局に事情聴取されなかったのかな。
あすかに目の敵にされながらも、ショッカーの魔の手から彼女を守る猛。克彦がやられた時に怪人の姿を目にしているので、あすか、ずっとショッカーに狙われてるんだよね。仮面ライダーに変身した猛に助けられ、その正体を知らぬまま“ライダー”に好意を持つあすか。でも隼人が目の前で“ライダー”に変身したことで、「あなただったのね、私を助けてくれたのは!」になってしまう。
猛ほんとに可哀想なんだけど、でもこの取り違え、正体を隠した「仮面の戦士」ならではの展開だよね。同じ(厳密には同じじゃない)マスクだけど変身者は異なる――。あすかが自分を助けてくれた“ライダー”は猛の方だったと知るのも、この作品のライダーが「マスクだけはずせるタイプ」だったからで、設定の使い方が巧い。このバレ方、今どきの仮面ライダーではありえないもんなぁ。
最終的にあすかはショッカーに捕まり、なぜか改造人間候補になって手術室へと運ばれる。あすか救出のため、猛と隼人は手を組むことに。
「お前、死ねるか?惚れた女のために」と猛に問うておきながら、途中で「こりゃダメだ、一旦引こう」ってさっさと退却しようとする隼人、全然惚れた女のために死ねないタイプw
とはいえ猛の身を案じ、結局は引き返して「知らなかったぜ、俺ってマジでいい奴だったんだな」とテヘペロする隼人。いいキャラすぎる。猛と隼人、互いに背中を預け合って戦うクライマックス、アガるわぁぁぁ。
またアクションがいいんだよね。『NEXT』の感想でも書いたけど、いつものTVシリーズのアクションとはかなり雰囲気が違って、別にいつものアクションが嫌いなわけじゃないけど、絵面がすごく良い。
猛&隼人&あすかルートとは別に、ちょこちょこウエンツ瑛士くんルートが差し挟まれて、「ん?この少年と猛が出会うの?いや、出会わないな、え、この子のエピソードはどう繋がるの???」ってなったんだけど。
2005年だから、ウエンツくんまだ20歳ぐらい、お話の中では高校生ぐらいの感じ。入院中で、自分を不治の病だと思って自暴自棄になってる。見舞いに来てくれる人もなく、孤独な彼のもとに美代子と名乗る少女が「ボランティア」と称して姿を見せるようになる。二人は次第に心を通わせていくのだけど、実は美代子も入院患者、しかもウエンツくんよりずっと重い病気で、彼女の方こそ「不治の病」だった。(ちなみにウエンツくんの役名は「三田村晴彦」、女の子は「原田美代子」、どこかで聞いたような名前すぎる)
で、この2人がどう繋がるかというと――ショッカーにスカウトされるのだ。「うちに来たら病気治してあげるよ、元気になれるよ」と言われ、二人は怪人になる。そして猛と隼人の前にコブラ怪人、スネーク怪人として立ちはだかるのであった。
あああ、なるほどぉ。
「見舞いに来る人もない」ってところがミソなのかなぁ。あとくされがない、みたいな。でも病院から姿を消したらさすがに捜索されるとは思うし、本人たちが望んで来てくれるとはいえ、病弱だと改造手術に耐えないとかないんだろうか。本郷猛が選ばれたのは頭脳も肉体もハイレベルだったからじゃないのか……。
晴彦と美代子の場面は全部、猛たちの「本筋」よりも前の時間に起きたことで、でもそれがかなり後になるまでわからないようになっている。なんか、その構造が面白かったな。ずっと引っかかりながら見られる緊張感。「繋がった!」ってなる高揚感。
改造されて、ただショッカーの命じるまま戦う怪人になってしまった晴彦、死の間際に思い出の花が一輪咲いているのを見て、人間だった頃の記憶を取り戻す。取り戻して、美代子の方に手を伸ばして、息絶える。
猛が雪の結晶を見て自我を取り戻したように、晴彦は花を見て“人”に戻る。ベタだけど、人間の心には改造されても残るものがあるっていうの、いいよね。仮面ライダーも怪人も同じ存在。猛が人間側に戻ったのは、ほんの偶然にすぎない。
猛は「拒否反応が出ない」からさっさとショッカーから逃げ出せたけど、隼人含め他の改造人間たちは定期的に血液交換が必要で、たとえ自我を取り戻してもそうそうショッカーを離れられない。それでなくても「裏切りは死」なわけだし。
そういう意味では、拒否反応に苦しみながらもショッカーを抜けた隼人の方が猛より根性ある気するけど、隼人は最初っから自我を保持できてたみたいで、つまり脳味噌いじられてないのにショッカーとして人間を殺すの平気だったってことで……。
やっぱりこのシリーズの隼人のキャラクター、面白いよなぁ。ショッカーに入る前のとこから描いてほしい。ショッカー入る前から友だちいなかったんだろ?w
他の怪人はみんな一人ずつしかいないのに、なんでバッタ怪人(=ホッパー)は2体作ったのか、そこも気になる。他の怪人も同種が何体もいるけど出てこないだけなのか、それぞれに適合者が限られるとかなのか。
コウモリ男怪人を津田寛治さん、蜘蛛男怪人を板尾創路さん、冒頭には石橋蓮司さんと本田博太郎さんが「大臣とその秘書」として出てらして、「他のライダー作品で見た人たち」がいっぱい。津田さん以外はこの作品のあとに関わられるわけだけど、この作品に出演したことがオファーのきっかけだったりするのかしら。蓮司さんと博太郎さん、ほんとにちょっとしか出番ないのに、よくこれ引き受けてくださったなぁ。
ちょっとと言えば、ウエンツくんの主治医として風間トオルさんがご出演。久しぶりにお顔を拝見した。
あとラジオDJの声で神谷浩史さんが出てたらしいんだけど、クレジット見るまで気づかず……。えー、ラジオの音声って、どこで流れましたっけ。
そしてそして、立花藤兵衛役は風見志郎=宮内洋さん! これまた出番は猛にサイクロン1号を託す1シーンのみですが、ン十年の時を経て風見志郎が“おやっさん“として登場するの熱い、嬉しい。
ショッカー幹部の一人として死神博士こと天本英世さんもビデオ出演。声は別の方が当てているらしいけど、これまた昭和ライダーファンには嬉しい仕掛け。ショッカー幹部三人、死神博士と美女とISSAという不思議な取り合わせ。ISSA、『Over Quartzer』の前にもライダー作品に出てたのねぇ。
繰り返しになるけど、ほんとにこのシリーズの猛と隼人の関係性、隼人のキャラクターが好みで、アクションの絵作りも格好良くて、2作で終わってしまったのがとても残念。『NEXT』で命尽きそうに見えて、「知らなかったのか?俺は不死身だ」って帰ってきてほしかったなぁ、隼人。加藤和樹さんの風見志郎ももっと見たかったし。
『FIRST』と『NEXT』、見放題のうちにもう一周しよ。
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