子どもの頃家にあった『世界少年少女文学
全集』には、ホームズはあるのにルパンは
入っていなかった。

私は絶対ルパン派!

今年はルパン生誕100周年。映画も公開され、
ハヤカワ文庫からも「最新訳」という触れ
込みで2点が刊行されている。
そのうちの1冊、『怪盗紳士ルパン』の方を
つい買ってしまったけれど、「ぼく」と
しゃべるルパンがなんだか子どもっぽくて、
「昔好きだったルパンはこんなだったっけ?」
と思ったりした。
読み進むうちに慣れてはきたけど。

もちろん、10歳の子どもが思い描く
「青年ルパン」はずっと「大人」だったに
違いなく、おそらくはルパン本人より年を
食ってしまった今読むのとは印象が違って
当たり前なのかもしれない。

小学校も高学年になると、私はほとんど
推理小説しか読まなくなっていて、
図書館に焦げ茶のお洒落な装幀の
「完訳ルパン全集」
(偕成社のもの。現在も入手可能)が入ると、
それを読破するべくがんばったものだった。
(結局未だ読破していない……)

完訳で読むルパンはお洒落でエスプリが
効いていて
、「これってミステリーという
よりロマンスだよなぁ。さすがおフランス」
と子ども心に感心したりしていた。
プレイボーイだもんね、ルパンは。
武骨で偏屈な印象の大英帝国産ホームズ
とは大違い。

女の人が「アデュー(もう会えない)」
と言ってるのに、ルパンは「オ・ルボアール
(また会いましょう)」と言って別れたり
する。(あれ?男女が逆だったかな?)

今、最寄りの図書館の児童書の棚に行くと、
推理小説のコーナーはさびしい限りで、
ルパンもちっとも揃っていない。
別に児童書じゃなくて大人の方には
文庫のやつとかあるのかもしれないけど、
私はあの完訳シリーズがもう一度読み
たいぞっ!

新しい本が次々と出て、予算もスペース
にも限りがある以上、「名作」「古典」が
隅に追いやられていくのは仕方のない部分
もあるけれど、今の子どもたちにも是非
ルパンの冒険を楽しんでほしいなぁ。

(今、偕成社のWebをチェックしたら、
ルパン全集の初版は1981年からだった。
私、もう中学生だったんだ……。)