久しぶりに宙組公演観てまいりました。
凰稀さんがトップだった時は意外に観てたんですが、朝夏まなとさん時代は一度も足を運ばなかったので(嫌いとかそういうことではなく、単純にお金と時間の問題で観る組が限られる)、2014年の『ベルサイユのばら オスカル編』以来の宙組ということに。

4年前もわかるスターさんが少なかったけど、今回本当に、組長さん以外に名前を知ってる方が二人しかいなかった(^^;)
組長寿つかささん、純矢さん、そして美風さん。純矢さんと美風さんはblog遡ったら「良かった」って書いてある公演があったんだけど、美風さんが今副組長なのね。

あ、もちろんトップの真風さんと二番手芹香さんの名前は知ってます! 知ってるけど「今、宙組のトップ誰?」って聞かれたらとっさに答えられないぐらい疎い……。

あ、芹香さんは花組時代の『カリスタの海に抱かれて』を観てる! あの時は花組二番手で、今は宙組の二番手なのか。組替えややこしいからできるだけやめてほしいな……それでなくてももうスターさんの名前と顔を覚えられないのに。
(芹香さんが元阪急ブレーブスの山沖選手の娘だと今知って驚愕している。そうだったのか!)

はい、いつもながら前置き長いですね。

今回そんな「全然わからない宙組」を観ようと思ったのは、ひとえに日本物ショーが観たかったからです。

最近はめっきり上演機会の減った日本物ショー。私が前回観たのはblog記事を遡った限りではまたしても2014年、月組さんの『宝塚をどり』だったよう。その後って日本物ショーあったのかな。……ググると2016年に花組さんが『雪華抄』という公演をしていますね。

『宝塚をどり』は植田先生で、「俺が観たかったのはこーゆーんじゃないんだ」と思ったんですが、今回の『白鷺の城』は!

やっと!!!

「これ好き!もう一回観たい!!!」と思える日本物ショーでした!!!!!

のっけから音楽がものすごく好み
横笛や箏といった和の楽器をフィーチャーしつつ今風にドラマティックでダイナミック、「音源欲しい!」と思いました。

構成もとてもいい。

「本朝妖綺譚」と銘打たれていて、いわゆる「九尾の狐」と陰陽師安倍泰成との時を超えた縁を描く。

ある時は平安朝、ある時は古代の中国、そしてある時は戦国。妖狐である美女は年老いることなく、何度も「同じ姿をした陰陽師」に正体を暴かれ封印され……。

「またおまえか」

陰陽師といえど人の子、あやかしほどの長命はない。けれど転生するたびめぐりあう。前世の記憶はないものの、美しい妖狐の姿を夢に見て、「私には出逢うべきひとがいる」と思う。

いいよねぇ。
好き。

ヒロインが「狐」だから、その眷属も狐で、今どきはやりの「けも耳」を付け、石に封じられた主(あるじ)に向かって「入ってますか~」と聞くなどお茶目なシーンもあり。

泰成の祖先、かの有名な安倍晴明の母が「狐」という「葛の葉伝説」も絡め、その葛の葉役に松本悠里お姉様を持ってくるのもうまい。

朱い鳥居に輝く満月。あのシーンの舞台装置も素敵だった。

最初の鷺の羽根を模した幕とか、桜の幕、映像での満月や焔、どのシーンも美しかった。

狐なのに「白鷺の城」なの?と混乱しますけど、ええ、姫路城ですね。「天守物語」です。富姫って狐だったっけ?と思いましたが、この舞台では富姫=葛の葉=悠里姉様。

悠里姉様の舞、いつもながらお美しいです。

時を超え転生していくので、チョンパでのきらびやかな平安朝公達姿から、武将姿での剣舞等、美しい日本物の男役が色々見られ、最後は人間に転生した二人が祭りの若衆と町娘として出てきて、そのお祭りの様子も楽しく。

「狐の嫁入り」もフフッとなるし。
『鬼灯の冷徹』ファンとしては妲己の場面にもフフッ。

演出の大野先生がプログラムに「バラエティショーと舞踊詩、どちらの形式で行くか悩んだ末、両方やることにした」と書いてらっしゃいますが、その目論見が見事功を奏しています。

音楽の良さも相まって、「わぁ、ついに21世紀の日本物ショーが誕生した!」と思う作品でした。

惜しむらくはその短さ。
45分しかない。
あっという間……。

もっと見ていたかったよぉ。


一方、お芝居『異人たちのルネサンス~ダ・ヴィンチが描いた記憶~』の方は、ちょっと、退屈でした(^^;)

悪くはないんだけど。

すごくオーソドックスな、宝塚らしいお話だったし、ルネサンスのフィレンツェの衣裳とセット、綺麗ではあった。

ロレンツォ・デ・メディチ役の芹香さん、「色悪」がよく似合って格好良かったし、カテリーナ役の星風まどかさんも可愛いのに妖しい感じがあって、「ファム・ファタル」な雰囲気が良かった。

みなしごの修道女だったのが野心溢れるグイド司祭によって修道院から連れ出され、ロレンツォのもとに愛人として差し出されたカテリーナ。ロレンツォの弟ジュリアーノからも想いを懸けられ、その罪深さに苦悩する。

フィレンツェ司教となっていたグイドは彼女に「神に赦しを乞え」と言うばかり。「罪」を与えたのは――彼女をそんな境遇に追いやったのはグイド自身なのに。

うん、おばちゃんは心が穢れてるので、「修道院出る時グイドも彼女を手籠めにしたのかなぁ。んでその罪を彼女に着せ、“おまえは罪深い女だ。赦されたければ俺の言うことを聞け。俺の言葉は神の言葉だ”とか言ってさらに彼女に罪を重ねさせたのか」と、いらん想像をしてしまいました。

カテリーナとレオナルドはもちろん実は幼なじみ。互いに不遇な幼少期に、唯一心を許せる間柄でした。離ればなれになって久しい二人はロレンツォの屋敷で再会し……。

ザ・宝塚な王道ストーリーです。
そして王道ということはまぁ、せっかく再会したけどハッピーエンドにはならない。可哀想に。

二人の子どもの頃の「小鳥を自由にしてやる」エピソードと、現在のカテリーナの「籠の鳥」状況、そしてレオナルドが試作している「空を飛ぶ機械(舞台上では翼部分が掲げられる)」のシンクロうまいし、レオナルドが気にかける孤児サライが後半でキーマンになるのもいい。

あんな子どもにあんな役回りを担わすのかー、とも思うけど(^^;)

グイド役の愛月ひかるさん、非常に落ち着いた悪役演技で「上級生かな?」と思ったら芹香さんと同期でびっくり。うまいなー。

ジュリアーノ役の桜木みなとさんは可愛らしい若手イケメンといった感じで、悩める弟役を好演。サライ役の天彩峰里さん、セリフも聞きやすく、可愛かった。星風さんと同期なのね。前の公演で新人公演ヒロインということは二番手娘役さん扱いなのかしら?

主役のレオナルドは当然トップスター真風さん。風貌も声も水夏希さんに似てるなぁ、と思いながら見てました。歌もお芝居も悪くなかったけど、いかんせん「レオナルド」というキャラクターが微妙で。

天才という側面よりは、「悩める青年」の要素が強くて、なんというか、特に格好いいという役でもなく、しどころのない感じの……。二番手男役さんの役の方が「色悪」で目立って、主役は基本好青年ゆえ、どちらかというと地味で受け身になっちゃうみたいなの、宝塚では割とありがちな気がします。

トップスターさんが演じるから格好よく見えるけど、冷静に見るとキャラクターとしてはそんなに「いい男」でもないっていう。

『白鷺の城』が超好みだっただけに、よけい「ふーん」という感じのまま終わってしまいました。

あ、でもフィナーレは良かった。

『白鷺の城』が45分しかないので、お芝居がいつもより長くて、その長い分がフィナーレ。振り付けが外部の方(KAORIaliveさん)で、新鮮で格好良かった。

『白鷺の城』、もっと長く、ちゃんとお芝居にしても面白そうだけど、あまり説明しすぎるとかえってつまらなくなるのかなぁ。ショー形式だからこそ美しく幻想的に成り立つのか。


貸切公演だったのが抽選会があり、久しぶりに当たってしまいました。たぶん星組版『スカーレット・ピンパーネル』の時にグッズが当たって以来じゃないかな(なんとあれ、もう10年前か!)。

星風まどかさんのサイン色紙♪



『白鷺の城』もう一回観たいし、日本物ショーもっと観たいです。