そんなわけで7月30日木曜日13時公演を観てまいりました。いつも通りB席の端っこでしたが、久しぶりの宝塚、堪能しました。

花組を観るのはいつぶりかな。
大昔のナツメさん、ヤンさんを経て春野さんの時代はそこそこ観て、そこから花組とは縁がなく、明日海さんの『カリスタの海に抱かれて』以来ですね。あれは2015年の4月だったので、かれこれ5年ぶり。

なので生徒さんが全然わかりません。専科の英真さん、美穂さん以外で名前がわかるの高翔さんだけだった。ははは。
今『カリスタ』の記事読み返したら当時も「美穂さん、高翔さん以外わからない」って言ってて笑っちゃいましたけど、あの時ナポレオン役で鮮烈な(?)印象を残した柚香さんが新生花組のトップ
「真飛さんにしか見えない」とか書いてますけど、5年経ってもやっぱり真飛さんに似てるなーと思いました。みりおちゃんにも似てる?
とにかくパッと目を引く美形ですよね。

少尉の役、本当によく似合ってて格好良かった。

(※以下ネタバレあります。これからご覧になる方はご注意ください)

ここから花組どうこう宝塚どうこう言うよりも『はいからさんが通る』というお話の方に全振りした感想になります。
私、小学3年か4年ぐらいの時に『はいからさん』のコミックス持ってて、昭和アニメもリアルタイムで全部見てた人間なので、とにかくいちいち懐かしくて、「そういえばこんなシーンあったな」「あれ?ここはこうだっけ?」などと思わずにはいられない。

昭和アニメは原作に忠実にコメディパートをやろうとして失敗してたな、とか、テレビではウタコさん(剣幸)が編集長やってたな、とか芋づる式に思い出してしまう。
あのテレビの宝塚版『はいからさんが通る』はちょこっとしか見てなくてあんまり覚えてないんですけど、当時はまだ録画機器もなかったし、再放送もされてないし……。ネッシーさん(日向薫)の鬼島軍曹とか超見たい、まったく覚えてない!(そもそも当時まだネッシーさんを知らない)

原作コミックが1975年から1977年の連載、アニメが1978年から1979年テレビ版宝塚が1979年
40年の時を経て、今さらまた宝塚大劇場で『はいからさんが通る』を見ることになるなんて。本当にねぇ。

2017年のドラマシティ公演は観ていないので、大劇場版との違いはわかりません。主役2人はドラマシティでも柚香さん、華さんが演じてらして、とても評判が良かったそうで、今回この大劇場版を見て「なるほど」と納得しました。

とにかく柚香さんの少尉が格好いいし、華さんの体当たりなお転婆っぷりもキュート。
小柳先生の作劇はさすがで原作をうまく2時間半にまとめてらっしゃるし、もともとはヒロイン紅緒の物語だと思うけれど、きちんと男役トップが中心になるように、“伊集院忍”の物語でもあるように、見せ場が作られている。

うん。
私、子どもの頃は断然編集長と狼さん(鬼島軍曹)派だったんですよね。少尉は優等生すぎてあんまり好きじゃなかった。

でも今回この花組さんの舞台で、第一幕での少尉と紅緒とのやり取りを見て、「あ~、少尉ってすごい“大人”だったんだなぁ。哀しい生い立ちを踏まえてのあの“優等生”だったんだ」と、少尉の“良さ”が理解できたんですよね。

まぁ要は柚香さんの少尉がそれだけ魅力的だったってことなんですけど、見た目よりも落ち着いた大人っぽい声音で、お芝居がしっかりしてて、破天荒な紅緒を包容力たっぷりに見守って、でも生い立ちゆえの翳りも見せ……。

大正時代に、「金髪の日本人」がどんな待遇を受けたのか。
しかも「帝国陸軍」で。
学生時代も「1人だった」って親友高屋敷要が言ってましたけど、伯爵家の跡取りとはいえドイツ人とのハーフ、しかも母親は日本に来てない、父親も家に居着かない……人生がツラすぎる。

もし祖父母同士の因縁がなく、紅緒との婚約関係がなかったら、少尉、実は結婚相手に苦労したかもしれないよね? 大正時代にハーフの人がどれくらい一般的だったか知らないけど、“ハーフだから”で敬遠されたりしそう。伯爵家という肩書きはあっても、だからこそ逆に肩書きだけ目当てで近づいて来られたり。

少尉がシベリアで戦死したという報を受けて、紅緒が覚悟の「白い喪服」を着て現れるとこ、自ら髪を切る原作のシーンがすごく印象に残ってたけど、宝塚版、あそこで親戚筋が「財産はどうなるんだ」っていやしい突き上げをして、「いや、実は財産と言えるほどのものは」「なんだ、貧乏だったのか」って手のひら返す様子がしっかり描かれてる。

伯爵家とかハーフとかいう要因とは全然関係ない部分で反発して、めちゃくちゃやってくる紅緒のこと、「許婚が彼女で良かった」って思っちゃう少尉の気持ち、40年越しに「なるほど」と思ってしまった。

シベリアでの戦闘シーンも格好良かったし。
鬼島軍曹とのやり取りはほとんどオスカル様とアランだったよね。愚連隊的なところに東京から伯爵家のおぼっちゃんが来て、でもその侠気に惚れて「どこまでもついて行くぜ!」になるっていう。

大正時代だから袴姿もあり、ドレスもあり、軍服もあり、かと思うと芸者さんも出てきて、園遊会があるかと思えば戦闘シーンも描けて、コスプレ的にも場面的にもすごく宝塚に合ってる

後半、「ミハイロフ侯爵」として出て来る時は麗しの西洋貴族様な格好だものね。またこれがよく似合うわ~、柚香さん。

シベリアで死んだかと思われた少尉はラリサという女性に助けられて、ラリサの夫サーシャ・ミハイロフとして日本に来るんだけど、実はそのサーシャというのは少尉の生き別れの母が産んだ異父弟で、だからそっくりでもおかしくなくて……。

そんな、運良く弟の嫁に命を救われるなんてできすぎだろう!と昔原作読んだ時に思った気がするけど、それより何よりなんでラリサは日本語ペラペラなの、って思いました。
最初の記者会見の時だけ「スパシーバ」とか言ってるけど。

助けられた時少尉は記憶を失ってて、自分をサーシャだと思いこまされるわけだけど、少尉はロシア語話せたの!? 何年かかけて覚えたのかな。第一幕と第二幕の間で6年ぐらい経ってるから……。

まぁラリサとサーシャが登場してからずっとロシア語だと見てる方は何言ってるかわからないから台詞が日本語なのはともかくとして、「亡命ロシア貴族が実は日本人だったら大スクープ!」と煽っておいてその後ホントに「彼は実は伊集院忍でした」でラリサともども伯爵家に帰ってるの、陸軍その他大騒ぎにならなかったんだろうか。

記憶喪失だったし、無関係な他人ではなく“弟”になりすましてただけだからいいのか? 良くなくても逮捕案件とまではいかないのかな。
まぁどっちみちそんなとこまで描いたらとても尺が足りない。

逮捕されるのは少尉ではなく紅緒の方で……ここ、原作とは違ってたのかな? あまりに昔のことで紅緒が牢屋で「への六番」付けてたのは覚えてるけど、捕まった経緯とか少尉が助けようと奔走するのとかは違ってたような。(宝塚版では「への六番」も牢名主云々も出てこなかった)

えーっとそれで、第二幕では編集長が前面に出てくるんですが、「少尉は大人の男だったんだなぁ」の逆で、「編集長ってこんなガキだったのか」という印象に(^^;)

編集長こと青江冬星氏、女に触れるとじんましんが出る大の女嫌い。それは彼の家庭環境から来るものではあったんだけど、「いい年してまだそんな親のせいにしてんのかい」って思っちゃいました。
同じように親を恨み、自身の出生を呪っていてもおかしくない少尉があんなにまっすぐ立派に生きてるのを第一幕で見てるからよけいそう思うんでしょうが、「なんで私、子どもの頃編集長の方が好きだったんだっけ?見た目???」ってなりました(笑)。

ラリサを見捨てられない少尉、紅緒もまたラリサから少尉を奪うことができず、傷心の彼女を「全部忘れさせてやる!」と抱きしめる編集長……。

そうして2人は結婚式を挙げるところまでこぎつけるんですけども、あの「忘れさせてやる!」の後2人は一夜を共にしたのだろうか、とかついゲスなことを考えてしまいました。編集長、女に触れるとじんましん出る人だったんだからそれまでに経験はとか。

ああ、汚れつちまつた哀しみに(´・ω・`)

親に対する反抗心はガキっぽいけど、結局身を引くしかなくなる編集長、可哀想ですよね。正直紅緒の心はずっと少尉にあって、編集長は当て馬というか噛ませ犬というか、「最初からこうなるだろうな」と予想されるキャラクターで。

外伝で、その後もずっと独身を通して、紅緒似の少年を養子にして……っていうのが描かれるぐらい、彼の方は紅緒一筋だったのに。

やっぱその「可哀想」なところに惹かれたのかなぁ、子どもの頃の私。外伝好きだったもんな。

編集長役の瀬戸かずやさんはなんか、昔懐かしい雰囲気の男役さんでしたね。柚香さんよりだいぶ上級生ということもあるけど、瀬戸内美八さんとか、なんかああいう感じの。

外伝といえば鬼島軍曹の「子どもの頃」を描いた話もすごく好きだったんだけど、水美舞斗さんの狼さん、よく似合って格好良かったです。(原作では「狼さん」呼びされてたと思うんだけど、舞台ではなかった。もしかして原作にもなかった…?)

最後は狼さんを追いかけていく紅緒の親友、環役は音くり寿さん。ちょっとくちゃっとしたお顔だけど声がとてもきれいで、エトワールもされてました。お芝居も良かった。

最近抜擢される娘役さん、割とみんな「くちゃっと」してる気がするんだけど、世の中的にはああいう顔だちが流行ってるのかしら。私はもう少しシュッとした感じの方が好きなんだけど、まぁ宝塚の場合シュッとした人は男役になるのかな。

紅緒の幼なじみで女形の蘭丸は聖乃あすかさん。べちゃっとした声質が蘭丸のキャラクターに合ってたけど、わざとああいう喋り方をしてたのかな。

人力車夫の牛五郎がちゃんと出てくるのびっくりしたけど、2017年公演では天真みちるさんが牛五郎役だったそうで、それは是非見てみたかったなと。今回は飛龍つかささん。新公主演も務めてる男役さんなのねぇ。こういう役もこなせるの素敵。

雪組から移籍した注目の若手男役永久輝せあさんは高屋敷要役で……うーん、一応狂言回し的な役どころだけどそんなに出番は多くなかった。永久輝さんファンはきっと物足りないでしょう。

同じく雪組からの移籍組、朝月希和さんは芸者吉次役『はばたけ黄金の翼よ』のロドミア役が素敵だった朝月さん、粋な柳橋芸者を好演。

少尉の祖父、「殿様」役のジュンコさん(英真なおき)、すっごく可愛かった~~~~~。ジュンコさん大好き! 美穂さんのおばあ様もとーっても声が可愛らしくて、素敵な老夫婦だったなぁ。
美穂さん演じるおばあ様と紅緒の祖父がもともと恋仲だったのに引き裂かれたがゆえに、孫の代で「愛を叶えましょう」っていう話だから、いわば「意に染まない結婚相手」だった殿様がやきもち焼くのは当然なんだけど、おばあ様、「そんなの昔の話ですよ、御前のこと大好きですよ」って言っちゃうから、「あれれ?」ってなるよね(^^;)

子どもの頃からおばあ様の悲恋を聞かされ、たとえ相手が自分の気に入る女性でなくても花村家の娘と結婚しようと思っていた少尉の健気な気持ちは一体……。

最初と最後、紅緒と少尉が出会う場所には桜が満開で、「ああ、これ本当は春に上演されるはずだったんだよなぁ」ってしみじみしました。
3月半ばからの上演予定だったのが、真夏の公演になってしまったんですよねぇ。


(プログラムも、公演日程のところや挨拶文、全部差し替えて印刷し直したんのかな。あのタイミングでの公演延期、もうすっかり印刷出来上がってそうですよね)

話の筋は全部知ってて、少尉が生きてることとか編集長と紅緒の結婚式があんなことになってしまうこととか全部知ってるので、「紅緒と少尉はどうなっちゃうの!?」というドキドキ感はなかったけど、お話うまくまとまってて、「上で結婚式」「下で少尉とラリサ」とか見せ方もよくできてて、トップコンビも熱演で、楽しめました(*´∇`*)

フィナーレナンバー、ラインダンスの音楽が昭和アニメのOP主題歌で、「うぉおおおおーーーっ!」ってなりました。アラフィフ殺し(爆)。ちょっと小学生の自分に教えてあげたいですね、「この曲がさー、40年後にさー」って。

上半身は矢がすりの着物、下はミニのひらひらフリル、そして頭には赤いトサカのような羽根飾り(たぶん)というラインダンスの衣裳、なんとなく「チキンラーメン」を連想しました。なんとなく、色目が(^_^;

男役大階段、私が見た回は「大正ver.」でした。銀色の軍服でラフマニノフのピアノ協奏曲第二番。『のだめカンタービレ』で千秋先輩が演奏した曲ですね。
ミハイロフ侯爵がロシアの亡命貴族設定だからラフマニノフなんでしょうか。ラフマニノフ自身、1917年にロシアを離れて以後祖国の地を踏んでないんですが、1917年って大正6年で、『はいからさん』第一幕が大正7年設定なのでドンピシャ同時代。なるほど、って感じです。

本編では描かれなかった少尉と紅緒の結婚式をイメージしたデュエットダンスも心憎く、最後まで堪能いたしました♪


残念ながら公演関係者のコロナ罹患により8月2日から16日までの公演が中止になってしまいましたが、その後は無事幕が上がりますように
東京の星組公演も、梅田の雪組公演も、どうか、どうか無事に再開しますように。

罹患された方々の一日も早いご快癒を祈ります。