Twitterがとうとうサードパーティーアプリを禁止してしまった。
課金すれば広告半減を謳うTwitterBlueの導入で、広告が入らず、時系列順のタイムラインを提供するサードパーティーアプリがどうなるのか、危惧してはいた。

危惧してはいたけど。

まさか開発者の皆さんに何の予告もなく、いきなりBANしてくるなんて。そしてそのことについて、数日経っても公式アナウンスがないままだなんて。


【1月13日:BAN初日】

1月13日のお昼頃、いきなり「TwitPane」が使えなくなった。朝は使えていたのに、Wordleの結果をシェアしようとしたら認証エラーが出る。


(※この画面はBANのあと一度TwitPaneがアップデートされてから出した画面なので、最初に出たエラーとは文言が違うかもです)

最初は自分の垢がBANされたのか乗っ取られたのか、なんかそんなんだと思って(まさかアプリがKillされたなんて思わない)、「Twidere X」で見てみたら普通にログインできててTLも見られる。モバイルWebの方でも同様。

検索すると他にも多数の人がTwitPaneでの認証エラーについてつぶやいていて、しかもFeatherやtweetbotなど、他の大手クライアントでも同じような症状が出ているとの報告。アプリが「suspend」され、Twitter設定の「連携アプリ」から削除されてしまっていると。

えーーーーー。

しかし公式からのアナウンスは何もないし、使えているクライアントもあるので、当日午後の段階ではまだ「Twitterの障害?」という見方もあった。
TwitPane作者の竹内さんも、夜の時点で「スパム検知システムの誤作動では?」とおっしゃっていた。

開発者さんの問い合わせに対してTwitterからの回答は15日になってもなく。
16日になってGIGAZINEに「サードパーティー製Twitterクライアントアプリの「Tweetbot」はTwitterから意図的に締め出されている可能性」という記事が出る。

TwitPane作者さんはまだ動いているKindle版をLimited版として公開してくださったり、Feather公式さんもまだ使えている無料版に乗り換えられるよう、有料版にバックアップ機能を付けてくださったり。


【1月18日】

そして1月18日の午前2時(日本時間)に「@TwitterDev」(※2023/07/28現在、アカウント名は@Xdevelopersに)がさらっとこんなツイートをする。
「長年運用してきたAPIルールによって、一部のアプリが動かなくなっている」――はぁ? そのルールって、具体的に何!? っていうか、この短いツイートがこの件に関する唯一の公式アナウンスだと!?


【1月20日】

突然のアプリ締め出しから1週間。特に告知もないまま、しれっと開発者利用規約が変更され、「Twitterアプリの代替または類似のサービスまたは製品を作成すること」が禁止されました。
(ITmediaの記事→Twitter、「開発者契約」を密かに改定し、公式にサードパーティアプリを禁止

BANしてから規約を変えて「おまえら規約違反な」って何それ、ヤクザなの? 「おらおら、ここにちゃんと書いてあるやろが」「そんな、私がハンコを押した時にはそんな文言は」

ともあれ、わずかに残っていた「そのうち撤回されるのでは」という希望は打ち砕かれ、開発者さんたちがこぞって開発終了を告知。

なぜかTwiccaがトレンド入りしたりして。
Twiccaがついに動かなくなったのも、1月のことだったんだよなぁ。ちょうど3年前。(その時の記事→「ありがとうtwicca、さようならはまだ言わない」)
Twiccaの場合は、APIの仕様変更に対応していなくて、そのせいで「死んで」しまったんだけど。

今回はTwitterが意図的にサードパーティーアプリをBANして、「今後Twitterアプリの代替となるようなものの作成は禁止」と明言してしまった。
とはいえすべてのクライアントが死んだわけではなかったので、「代替とはならない、機能の少ない小規模アプリは今後も生き延びられるのでは」と淡い期待を抱いていたら、22日の午後1時半頃、いきなりKuroTwiが死に、Twidere XやJanetterなど、まだ動いていたいくつかのクライアントが一斉に止まってしまった

あーーーーーー、やっぱりダメなのか。最終的には全部BANするつもりなのか。

「ここならまだ安全だ!」「こっちはまだ電気が通じてるぞ!」と言って逃げこむとそこがまた爆撃を受け、どんどん追いつめられていくレジスタンス……。最初から全滅させるんじゃなく、「まだ希望はある!」と見せかけてなぶり殺しにしていくつもりなのか、Twitterめ。

まだ動いてるアプリもあるけど、ほんとに一体どういう基準で、どういう順番でBANしていってるんだろう。

単に「APIを利用してログイン/ツイート/ツイートを取得することに特化したアプリは制限されない」ようで、Togetterさんは「うちは大丈夫」と告知。
Instagramからの連携投稿や、Twilog、ツイエバなどのサービスも普通に動いている。昨年末に「Mastodon等他のSNSのリンクを貼ったら垢BAN」みたいな騒ぎがあった時も、Instagramという他のSNSからTwitterへ書き込む機能、制限されてなかったんだよね。
「ただ投稿する」「投稿をまとめる」のにはもともと「広告」が介在しないから、それは規制範囲外ということなんだろうか。

そこを逆手に取って「投稿だけするアプリ」「読み専のアプリ」を作ろうとする動きもあるようで、やはりレジスタンスみが。
抜け道を探し、裏をかき、なんとしてでも生き延びる……。
サードパーティーアプリが使えなくなるのは本当に本当に不便で寂しくて腹立たしいけど、制限されればされるほど燃えるみたいなところもなきにしもあらず。

そうやってなんだかんだTwitterから離れない(むしろ動向が気になってやたらアクセスしてしまう)の、Twitterの思うツボなんだろうな。


【Twitterはサードパーティーとともに】

私がTwitterを始めた頃(2008年)、そもそも公式アプリなんてものはなかった、はず。
まだ私はガラケーで、世の中的にもスマホは普及していなかった。
若い人には信じられないだろうけども、ガラケーからもちゃんとTwitterできたんだよ。画像だってupしてたんだよ。
ってゆーか、最初Twitterには画像投稿の機能がなくて、サードパーティを使ってupしてたんだけども。

ガラケー時代はモバツイにお世話になり、スマホを入手してからはTwicca、Twiccaが停止してからはTwitPane
今年の夏でTwitter歴・丸15年になるけど、これまで公式アプリをインストールしたことは一度もなかった。だから実はどれくらい「使いづらい」のかも知らない。公式がダメだからサードパーティーを使ってきた、というのではなく、「え?Twitterはサードパーティーアプリでやるものでしょ?」という感覚。なんせ「公式アプリなんかなかった」時代からやってるからさ……。

PCでも最初はTwitを使ったし、その後はHootSuite。いつの頃からか「PCはもうWebでいいや」ってなっちゃってたけど、時々KuroTwiも使って、最近はTweetDeckも使って。

ここ一年ぐらい(もっとかな?)Webだと日本語入力がおかしくて、しばしばEnterキーとともに入力文字がドカッと消えてしまってすごいストレス。おま環かと思ってたけどググると同じ症状を訴えてる人が複数いるので、どうもTwitterのバグっぽい。サードパーティー締め出す前にこういう不具合を直せよ、まったく!

2018年にUser Streamが止まった時に、SobaCha及びMateChaの開発者であるわかめそばさんがこんな話をしていらっしゃる。
もはやTwitterは個人開発者など眼中にない」――クライアントアプリ「SobaCha」開発者がUser Streams廃止に思うこと」(ITmediaの記事)

Twitterはかつて、開発者にフレンドリーな姿勢を取ってきました。豊富なAPIの提供により、多種多様なサードパーティーTwitterクライアントが生み出されてきました。実験や研究用途にも幅広く利用され、そして生み出された成果が他のユーザーへと提供されていきました。当時のTwitterが持っていた「エコシステムを育もう」という積極的な姿勢は、残念ながらすでに影も形もありません。

一方で、先ほどのUser Streams利用者が1%未満、という話にもつながりますが、TwitterというSNSは登場時こそギーク、いわゆるコンピュータマニアにもてはやされてきましたが、アクティブユーザーが3億人を突破した現在、果たしてギークと呼ばれる層がどれだけの割合存在するのでしょうか。

そうなんだよね。
Twitterは大きくなりすぎてしまった。
一国の大統領が公式発表より先に……というかTwitterを公式発表にしてしまうなんて、Twitterがそんな使われ方をすることになるなんて、2008年には夢にも思わなかったよ。
企業垢すらほとんどなくて、一人気を吐く加ト吉さん、みたいな感じだったのに。ああ、懐かしの「おはようございますうどん」

Twitterがギークのおもちゃだった時代はとっくに終わって、稼がないとサービスそのものが終了してしまう大企業になって、もう「サードパーティーとともに」なんて悠長なことは言っていられなくなった。仕方のないことであるんだろう。
それでも、今回の「BANしてから規約を変更する」やり方はあまりにひどいし、こんなやり方をする企業とは取引できないと思う会社も多いのでは?また広告引き上げられるのでは?と思ったりもする。
3億人超のユーザーの中でサードパーティーアプリをメインに使い続けていたユーザーはほんの一握り、数%だったろうに、そこを公式アプリに誘導して、どれほどの儲けが出るものだろう? それだけTwitterの資産状況が悪いってことなんだろうけど。

タダで使わせてもらってると言えばそうなんだけどね。だから、もっと以前には、「月100円ぐらいなら払わないこともないよ」と思っていた(なんせ無職なのでそれぐらいしか出せない)。100円出すから、「いいね(♡)」を「お気に入り(☆)」に戻してよ、とか。

でも今のTwitterに月1,000円出したいとは――。


【それでもTwitterはやめられない】

ここが本当にツラいところ。
そんなに文句を言うならTwitterを辞めればいい。数々の仕様変更、サードパーティーの締め出し、そういったことが気に入らないなら、Twitterを辞めるのが一番の批判になる。何をしてもユーザー数がたいして変わらないなら、Twitterは今後もユーザーの(特に一部ツイ廃の)意見など聞かないだろう。

正直、今回の件で「何か締め出しに関して情報出た?」「このアプリはまだ使えてる?」と色々気になって、いっそうTwitterを開くことが多くなってて、離反とは真逆の行動を……。これではTwitter君に「サードパーティー禁止した方がアクセス数増えた、規約変更は間違ってなかった」と思われてしまう。

違う。
違うんだよぉぉぉ。

Twitterは記録なんだ、ライフログなんだ。Twilogで検索すればいつ何を洗濯したか、あの出来事はいつだったか、すぐわかる。
そして長いことお世話になっているフォロイーさん達
「Twitterは炎上や誹謗中傷ばかり」と言う人もいるけど、私のTLは平和に楽しくお相撲やニチアサを見ているのだ。実況は楽しいし、皆さんの感想を読むのも楽しい。そう簡単にはやめられない。
TwitPaneはハッシュタグ入力もしやすくて、ホームに投稿へのショートカットも置けて、リストやハッシュタグのカラムを常時置いておくこともできて、本当に便利だったのになぁ……。

というわけで。
2023/01/25現在、スマホでMateChaさんがまだ使えているのでかたくなに公式アプリを入れずにがんばっている。


と言ってもPWAを入れちゃったからほぼ公式の軍門に降っているのだけど。

PWAというのは「プログレッシブウェブアプリ」と呼ばれる「スマートフォン上でアプリのように動かせるWebサイト」のこと。Mastodonではすでに使っていたんだけど、Twitter WebもPWA対応なので、試してみている。

スマホのブラウザでTwitter Webにアクセスすると「Twitterをインストールする」というナビゲーションが出てくるので、「OK」するとホームにTwitter PWAアイコンが追加される。「インストール」という表現だけどアプリではないので、アプリ一覧には出てこない。


(※Chromeでインストールするとアプリ一覧に出てくるのかも?→Chromeヘルプ
(※「インストールする」が表示されない場合、Edgeならメニューから「電話に追加」、Chromeならメニューから「アプリをインストール」で追加できるはず)

公式アプリを入れたことがないので見た目や機能がどう違うかわからないけど、Web版をそのまま見ている感じ。


設定すれば通知も来る。リアルタイムではなくだいぶ時差があるけど、通知音も設定できるし、悪くはない。ただ、PWAは共有メニューに出てこないので、Webサイト見ていてTwitterで共有したい!と思った時は「リンクをコピー」して自分でTwitterを開いて貼りつけなければいけないのが面倒。
Mastodonでも思うけど、PWA、この「共有」のところ、改善してほしいなぁ。

あとPWAはウィジェットもない。TLを開かず投稿するだけのショートカットも置けない。「投稿するだけ」、でもハッシュタグ入力補助や画像をリサイズして添付などの機能があるミニアプリがあったら重宝しそうです、開発者様!

※2023/01/30追記 ChromeからPWAをインストールすると、本当にアプリ一覧に出てきます。のみならず、「共有メニュー」にも出てきます!「新しいツイート」ショートカットも置けてしまう。ただしMastodonのPWAでは「新しいtoot」ショートカットは置けるものの、共有メニューには出てきませんでした)

(※PWAについてはこちらの記事もご覧下さい→「PWAでTwitterを使ってみよう!【Androidの場合】」)


【2023/01/28追記】

ツイート専用Androidアプリ、この騒ぎの前からいくつか存在していたようです。

ツイ専 ツイート専用アプリ
 本当にシンプルな投稿のみのアプリ。画像添付機能、文字数カウント機能などもないもよう。

Tachyon - ツイート専用Twitterクライアント
 こちらは画像投稿も可能なようです。複垢にも対応。

Stoat for Tweet - ツイート専用アプリ
 画像及び動画投稿に対応、複垢対応、文字数カウントやスレッド投稿もできる、かなり高機能なアプリのようです。

そしてそして、TwitPane作者の竹内さんがTwitPaneの検索機能だけをとりだした「ついぺんサーチ」というアプリを開発。現在早期アクセスでの利用が可能となっています。

投稿もできないし、普通に「フォロー中」TLを見ることもできませんが、ハッシュタグやキーワード検索をタブとして保存し、自動巡回させることができます。がんばればリストも見られる、もちろん表示されたツイをリツイートしたりお気に入りにしたり、画像を保存したりできます!
がんばらなくてもリストを見られる機能が追加されるかも、ということで、気になる方は早期アクセスしてみましょう♪
(※2023/01/29 早速リスト閲覧機能が追加され、名称も「ついぺんリサーチ」と変更になりました。公式アプリとの連携でかなり便利に使えそうですよ~)


【関連記事】

PWAでTwitterを使ってみよう!【Androidの場合】

サービスとアプリの関係とか、TwitterとMastodonとか