昨日紹介した塩野さんの『男たちへ』の中に数カ所、「やはりこういうことは子ども時代からのもの」とか、「母親の息子への対し方で育まれる」とか書いてあるところがあった。書いてある頁をとっさに探せないので、本当にはどういうふうに書いてあったか紹介できないのだけれど、「母親の責任だ」と読める個所があったのは確かである。

うちには息子が一人いるものだから、ついついドキッとしてしまう。
当たり前のことだが、どんな男もそれを生むのは女で、育てるのも大抵は女だから、「いい男」のベースを育てるのは女自身ということになる。
もちろん「ろくでもない男」に育てたのも、女なのだ。

『男たちへ』には、「どんな素敵な殿方であろうか」と思わざるを得ない塩野さんの夫に関する言及はない代わり、息子さんのことがいくつか書かれている。
母と息子の会話が三つぐらい紹介されているのだが、そのうちの一つ。
塩野さんがテレビで陸上競技の選手(それはカール・ルイスだったのだが)の肉体美に目を奪われ、思わず「完璧なる肉体!」と賛美の言葉を発してしまった時のこと。
13歳だった息子さんは「ママが男の人をそんなふうに言うとボク心配だな」と仰ったらしい。
それで塩野さんは「どんなに誉めようと、それが肉体についてならば心配なことはないのよ。なんて暖かい人柄の男、なんて言い出したら心配だけど」と答えたというのだ。

なんとも洒落た会話だなぁ、と思う。
こういう受け答えをして育った息子は、そりゃ「いい男」になるであろう、という気がする。
まぁこんなチャーミングで頭のいい女の人に育てられると、女に対する理想が高くなって大変ではないかという気もするけれど。

翻って我が家である。
翻らない方がいいかもしれない(笑)。
読んだり書いたりするのが大好きで、パソコンをいじるのも大好きで、歌うのも好き、という、何もそこまで私の影響を受けなくてもいいのではないか、と思うぐらい「母べったり」の息子。
一体彼の「女性観」はどんなことになっているのだろう。

「女の子を傷つけてはいけない」
「女の子や自分より小さい子がいじめられていたら助けなければいけない(ということは男の子がいじめられている場合は放っておいていいのか?)」と、幼稚園の時から言ってきた。
「女の子が髪型を変えたら気づかなければいけないが、似合わないと思っても言ってはいけない。ママの顔に染みを見つけても、そんなものをいちいち指摘しなくてもいい」とか。

彼と話すに際して、エスプリとは言わないまでも、ユーモアのある会話をしようとは思っている。
まぁユーモアというより、駄洒落の域が多いかもしれないけれど……。

果たして我が息子は「いい男」に育つであろうか。
今のまま「文句たれ」だとちょっと困るよな。
この先「スタイルのあるいい男」に育ってもらうにはどうしたら良いのでしょう。
とりあえずは食事のマナー?
まだ手で食ってるし……。