先日、「続編が出てる!」と紹介した名作『ダークグリーン』。
あの記事を書いた後、やっぱり待ちきれなくて先に続編『ディープグリーン』の方を買ってしまい、それから近所のブックオフに出向いて探したもののなかったので、ブックオフオンラインの方で「えいやっ!」と『ダークグリーン』全巻を買ってしまいました。

ははは。
ここで逢ったが百年目。
うっかり書店で『ディープグリーン』を目に留めたりしなければ無駄な出費をしなくてすんだのに……。
でもまぁ中古だから、全10巻でも1500円。出費よりも置き場所の方が問題かもしれない。

『ダークグリーン』は今、中古でしか手に入らないので、上のバナーをクリックしても実は無駄だったりするのですが、新書版で全10巻、文庫版で全5巻の作品です。
新書版の1巻がネットになかったので、私は文庫版の1巻と新書版の3〜10巻を買うという変則的なことになりました。

買ってみてまず驚いたのは。

私の記憶が大間違いだったこと!

前回の記事で「中学の時に読んだ」と書きましたが、連載が始まったのが昭和58年ということで、私はぎりぎり中学生。
すぐに高校生になってしまいます。
しかも、かなり最後の方まで読んでいたつもりだったのに、たぶんせいぜい5巻目ぐらいまでしか読んでいなかった。
最終10巻が出たのは昭和63年。
もう20歳やんけ……。
「高校の時に読んだ」が正しいと思うけど……うーん、なんか、自信なくなってきたな。
2巻までだったらぎりぎり中学の時に読めそうだから、実は2巻までしか読んでなかったのかも……。

それにそれに。
短編「霧で始まる日」も『ダークグリーン』ではなく別の作品(『ブレーメン5』?)に収録されていたみたいだし。

……20年以上前の記憶やから、まぁ、ねぇ……。

前置きが長くなってしまった。
肝心なのは私の思い出話なんかではなく、『ダークグリーン』そのものです。

いやぁ、降って湧いた出費だったけど、買って良かった!
最後まで読めてすっきりした!!
これで心おきなく『ディープグリーン』が楽しめる!!!

『ダークグリーン』の中では、大勢の人が「R-ドリーム」という同じ一つの夢を見ます。
夢というか、眠っている間にその「別次元」に精神が行ったっきりになる、という感じ。
行ってる間は脳波が測定不能になり、行ったきり「目覚められなくて」現実の世界では「植物人間」のようになっている人もいる。
「R-ドリーム」の中では「ゼル」という悪夢が人間達を襲い、常に闘いを強いられる。「R-ドリーム」の中で死ぬと、現実でも死んでしまう。

という舞台設定の中、現実ではしがない美大浪人なのに「R-ドリーム」内ではえらいかっこいいヒーローになってしまうホクト、現実の世界の記憶がなく、何者なのかわからないこれまた異常に強い「R-ドリーム界のヒーロー」少年リュオン、現実では男なのに「R-ドリーム」内では金色の肌の美少女になってしまうミュロウ……などが活躍します。

どっちみち新品では手に入らないのでネタバレしてしまいますが、この「R-ドリーム」というのは人類に与えられた警告だったのですね。
敵である「ゼル」というのは、人間が地球を破壊し、自分達そのものをも破滅させていく諸々の行為の象徴だったのです。
兵器や戦争、公害や森林破壊、CO2排出による温暖化……等々、「このままでは地球も人類も破滅する」という「人間の営為」。

だから、リュオンが現実の世界を見ると、「ここはゼルでいっぱいだ!」になる。
公害で汚れた空はゼルで真っ黒、道ゆく人のタバコからは煙ならぬゼルが出て、テレビも車も全部ゼル、カップラーメンにはゼルがうじゃうじゃ……。

「R-ドリーム」が警告だと知ったホクト達は現実世界で「このままでは人類は滅びる。対策を立てなければ」と訴えるんだけど、もちろん相手にされない。
全人類が「R-ドリーム」を見ているわけではないし、見てても現実に戻ると全然覚えてない人もいて、「R-ドリームなんて集団ヒステリーみたいなもんでしょ」と思われている。
だんだん現実のゼルが力を増してあちこち真っ黒けの影だらけになっても、「ゼルが見えなくなる装置」を開発して一件落着……。

主人公の側に肩入れして読んでるから、「なんでみんな信じないのよ〜」と思ってしまうけど、信じたからってどうすりゃいいのか?
毎日テレビ見て、毎日パソコン使って、ガソリンが値上がりしてもやっぱり車で買い物に行って、冷凍食品も添加物だらけの加工食品も普通に食べて、エコ活動といえば「レジ袋持参」程度しかしていない私なのに。

「R-ドリーム」界のヒーローであるリュオンは、途中で一度「人類なんか守る価値あんのか?」と思って闘いを放棄しちゃうんだけど、その気持ち、わかるわ。
無理ない。
「自分で自分の首締めてるだけじゃないか。自業自得だろ。どうして僕が人類の尻ぬぐいをしなきゃいけないんだ」

いや、まったくホントにね。

この作品が書かれていたのは昭和の終わり。
当時既に「このままだとヤバいんじゃない?」という意識はあって、でも結局ほとんど変わらないまま、京都議定書もどうなったんでしょう、という感じで平成ももう20年。

食糧危機、水の危機がかなり深刻になってきているよね。
それでも日本じゃ米は減反だし、ガソリン上がっても「みんな自転車にしましょう」というふうにならないし。
「道路特定財源」で「自転車専用道路」を整備したらどうでしょうかね。それならみんな多少は納得しない?
うちの近所、自転車が安全に走れる道なんてほとんどないもん……。

「人類は滅亡してくれた方が地球にとってはありがたい」っていうの、本当だろうなぁ。
「人類が滅亡するのは勝手だけど、他の生物まで巻き添えにするなよ」って、地球は思ってるだろうなぁ。

『ダークグリーン』から20年経って、再び『ディープグリーン』でリュオン君が復活したのですけど、さて、次はいよいよ人類掃討作戦だったりするのですかね。「警告」では効かなかったんだから……。