だいぶ前に買って、読みかけたまま途中でずーっとほったらかしていました。

短編集なので時間が半端になった時に一つずつ気長に、と最初から思ってはいたけど、見事に一つのお話の途中でほったらかしてて、思い出すのに暇がかかった…。

ブラッドベリといえばもはやSFの古典だと思いますが、全然読んだことがなかった。一応SFマガジンに投稿なんかしていた人間とは思えないですね、はい。

『ウは宇宙船のウ』はブラッドベリ自身がジュブナイル向けに編んだ「グレイテスト・ヒッツ」で、「はしがき」にはこんなふうに書かれてあります。

ぼくがこの本を捧げるのは、“過去”に驚嘆し、“現在”を駆け抜け、ぼくらの“未来”に高遠な希望を持つ、あらゆる男の子たちである。 (P6)

どうやら私は自分が思っている以上に“女の子”だったらしく、全体を通してあまり面白いと思えなかった……。

10代の頃に読んでいればまた違ったのかもしれないけど、どんどんページを繰る、っていう感じではまったくなくて、ほったらかして平然として、実は「もう読み終わらなくてもいいや」ぐらいに思ってた。

最後のテニス・シューズの話なんかは本当にまったくわからない世界で、「なるほどね」とは思うけど、共感できないし「好き」とも思えない。

途中まで読んでいて「前半」を思い出すのに苦労した『霜と炎』。これが一番面白かった。たった8日間しかない寿命。8日のうちに成長し、結婚し、子を生み死んでいく。まるで虫か何かのような人生。

8日ではあまりにも短すぎる。では8年なら? 80年は十分に長いだろうか。

凝縮された8日間の人生。だらだらと後悔ばかりで過ぎた80年とではどちらが「満足」できるだろう。

8日の寿命を強いる過酷な星から脱出するため、若者シムは遠い山の頂きに輝く宇宙船を目指す。炎熱の昼と極寒の夜。活動できる時間は限られ、宇宙船にたどり着くまでに太陽熱で焼き殺されるか凍りついてしまうか。

誰もそんな「バカなこと」に挑戦したりしない。

8日の寿命をそれでも「脱出」への知的探求に使う「科学者」たちは他の者達から蔑まれ忌み嫌われている。ある程度のテレパシー能力、短い人生で子孫を残すための発達の早さはあっても、「科学」を進歩させるにはあまりにも短い人生。

「青春を無駄にするな」という周囲の忠告も聞かず、「もっと生きたい!」と宇宙船を目指すシム。

若者のそんな無謀さだけが世界を変えられる――そんな話なのかもしれない。

でも私はより以上に「寿命」というものを考えさせられてしまった。「人生の長さ」というものについて。

そういえばブラッドベリさんは91歳でご存命だとか……。ご長命羨ましい。


『ウは宇宙船のウ』はちょっと微妙だったけど、懲りずに長編もそのうち読んでみたい。子どもの頃見たドラマが印象的だった『火星年代記』とか、



タイトルが気になる『死ぬときはひとりぼっち』とか。

そのうち、ね。

(『死ぬときはひとりぼっち』3部作読みました。感想記事こちら