(※以下ネタバレあります!これからご覧になる方はご注意ください!
 また、セリフ等記憶違いも多いと思われますがご容赦を)

とうらぶ、ゲームもやってないしアニメも舞台も観てないんですが、

・脚本が小林靖子さん
・日本号役でオーズの伊達さんこと岩永洋昭さんが出てる
チャンバラ

ということで、映画館行ってきました。

面白かった!!!
とうらぶ詳しくなくても楽しめるストーリー、さすが靖子にゃん。

\靖子にゃんは裏切らない/

冒頭、“物が語るから「物語」、これもまた一つの物語である”って出る、それだけでなんかしみじみしてしまう。
物=刀が見てきた歴史、っていうのが終盤しっかり意味をなしてくるしねぇ。

そもそも「刀剣男子」って何か、みたいな説明は公式さんからのこの動画を↓

《1分くらいでわかる刀剣乱舞》


ついでなので《予告編》も貼っておきますね。あ~、こんなの見てたら本編もう1回見たくなるぅぅぅ。


改めて格好いいですよねぇ、殺陣! 太刀、短刀、脇差し、槍……それぞれ得物が違うから、当然殺陣も変わってきて、短刀や脇差しでのチャンバラってあまり目にする機会がないし、チャンバラ好き&アクション好きにはたまらない。

しかもみんな美しいですし。

特に。

主役の三日月! 三日月役の鈴木拡樹さんが!!!

タイプすぎた!!!!!

なんか、ポスターとかで見て勝手にイメージしてたのと違う、ちょっと渋めのお声で、お顔の雰囲気とも相まって野村萬斎様を彷彿とさせ、狩衣姿で太刀を振るうお姿が麗しい!!!!!

しかも平安時代にはもう存在していたらしい天下五剣の名刀三日月宗近、千年の時を経た刀、なので「こんな爺ぃでよければ」などとのたまわれる! 「こんななりではあるが、俺は主(あるじ)より長く生きておるのだ」。

おおおおおお、美青年だけどその魂は人の世を千年にわたって見つめてきた……設定がどストライクすぎるだろう!

刀剣男子たちの主である審神者(“さにわ”)はロイミュード001役でもおなじみ堀内正美さんが演じてらして、御簾の向こうで顔も表情も見えないのに、その品のある優しいお声だけで三日月との主従の絆が感じられ、うるうるさせられました。

「私は良い刀を持った」「それを言えばこちらこそ良い主を……これではまるで今生の別れのようではないか」

実は互いに別れが近いことを知っていてのこのやりとりなんですよねぇ。終盤、「三日月を救うことが主の命(めい)」として、「過去だけでなく明日をも守ってほしいのだ」と主の声が流れるところ……。

主の思いに答え、本丸に戻った後、その居室に押し入ってきた時間遡行軍を「ここへは入るなと――言っておろうがっ!」と本気MAXで押し返す三日月がまた。

普段は飄々として、殺陣も優雅な三日月が、あのシーンでは激しさを出すのよね。主を守るために。

はぁぁぁぁぁぁ、この主従だけでお茶碗3杯いけるやん。

「主に謝らせてしまった」から近侍を降りる、ってセリフもあったなぁ。「おまえのせいではなかろう」と言われても、「俺だ、俺なのだ」って。

この「俺だ」っていうの、終盤の展開を考えると「俺があのことを話していなかったから」って意味もあったのかな。
千年を生き、あまたの歴史の現場を目撃してきた三日月。彼だけが知る「歴史の真実」があって、でも時間遡行軍から「歴史」を守るため、軽々には口外できない。他の刀剣男子たちにも、主にさえ、話していなかったのかも……。

この「秘密」の使い方、ほんと巧かったなぁ。
信長の所有だった薬研藤四郎、蘭丸のものだった不動行光。それぞれの元の主への思いが描かれるのもいいし、彼らすら知らなかったことを三日月が知っている。で、ちゃんと史実的に「それを三日月が知っていておかしくない」伝承がある(Wikiで見ました)。

まさに「物が語る」なんだよなぁ。

刀剣乱舞のゲームが出てきた時には「なんでもかんでも擬人化しすぎやろ」と思ったけど、そもそも刀って名前ついてるし、なんなら従三位とかって位までもらってるし、多くの権力者に愛でられた名刀が意思を持っても……ねぇ。

「物に魂が宿る」「付喪神」の考え方からしても刀の擬人化、何の不思議もない。血を吸いすぎた刀が妖刀になる、みたいな話もあるし。刀剣男子は逆に「聖剣」になってる感じだけど、それも「良い主に恵まれたればこそ」。
(※このくだり書いたあとで刀剣男子が「付喪神」設定なのを知りました。ハハハ)

新しく男子として顕現したばかりの骨喰に「歴史を守る必要などあるのか?」と訊かれて、三日月は「考えるのはいいことだ。考えなしにただ斬っていれば、魔物にもなる」って答える。

刀は道具。
その値打ちは、振るうものが決める。

審神者がどんなに良い人でも、元の主にぞんざいに扱われていた刀、それこそやたらに罪なき人を斬らされていた刀は、「性格のいい男子」にはなれなそう。そういう刀はそもそも刀剣男子にならないか……。

信長に「正しい歴史とは何か」と問われ、「正しさとは、誰にとってかで変わるもの」と答える三日月。「ならばこれがわしにとって正しい歴史じゃ」と信長は言う。

本能寺を生き延びた信長。
時間遡行軍により助け出された信長、特撮クラスタおなじみの洞窟で目を覚ましたりするんですが、このところの仮面ライダーでもさんざんモチーフになっている「歴史の改変」。

魔王に支配され荒廃する歴史を変えるため、若いうちに魔王を殺してしまうことは正しいことだろうか? 否、荒廃する未来、大勢が殺される未来を「変えない」ことこそ悪いことではないのか?

いくつもの分岐。
ありえたかもしれない未来。

「歴史を変えれば、大勢の人が存在しなくなる」と三日月は言う。「そんなもの、戦で大勢死ぬのと同じじゃ。大局には関係ない」と信長は言う。

でも。
だからこそ。

「そのような儚いものだからこそ、守りたいと思うのです。私は人を、守りたい」

ここで野の花のカット。この時代に降りたった刀剣男子の誰かに踏まれてしまった花。花一つ、虫一つでさえ、潰せばその後の歴史が変わる。
踏みしだかれた花を手に、「歴史を守るとは、容易なことではない」とつぶやいていた三日月。

はぁー、もう。三日月のキャラ設定がいちいちツボすぎる……。

骨喰を人質にされた時も「昔は大事にされるばかりだったのが……今は守りたいものだらけだ」って言うの。
千年の変転を見てきたからこその想いなんだろうな。すべてが移り変わる、みんな死んでしまう。この世の儚さを知ればこそ。

伊達さん…じゃないや、日本号には「じいさん」呼ばわりされてるけど(^^;)

三日月があまりにどストライクで、他の刀剣男子はついつい「他の人たち」とひとからげになってしまうんだけど、伊達さんすごく伊達さんだった(笑)。日本号のキャラクターがすごく伊達さん。

途中ジャージ着てて「おまえは早く着替えてこい」って言われるのも楽しいし、三日月の真意がわからず食ってかかる長谷部を宥める様子もなんだか後藤ちゃんに対する伊達さんの立ち位置を彷彿とさせ。

「じいさんにはじいさんの考えがあるんだろうさ」みたいなところ。

長谷部役の人、ちょっと見た目が剛ちゃん(仮面ライダードライブの)ぽかった。色々話せないことがあるために独断専行に見える三日月に反発する長谷部。三日月は刀剣男子たちのリーダーではあるけど、男子それぞれ性格があり意志があり、その立場は対等、というのが長谷部のおかげでわかりやすかった気がする。

日本号と長谷部、秀吉との同行シーンも楽しかったし、伊達さんほんま背が高くて……。格好良い。

骨喰藤四郎は女の子みたいに綺麗で……「え?この役者さん男子だよね?ね?」ってなった。

薬研藤四郎も山姥切も不動くんもそれぞれ麗しく(ひとからげでほんとごめん)、鶯丸さんは留守居役らしくちょっと大人な感じで。

最後本丸が襲撃を受けた際には「留守居役を舐めてもらっては困る」と見事な殺陣を披露。ほんと、物語も殺陣も美形もぜんぶいっぺんにたっぷり楽しめておばさん幸せだよ。

山本耕史さんの信長は文句なく見事でもはや貫禄の域、八嶋さんの秀吉がまたすごく良くて、お二人の信長と秀吉、もっと見たかったな。映画では二人が絡むシーンはないんだものねぇ。

信長の死を知って床几から転げ落ち、「嫌じゃ嫌じゃ、お屋形様、もう猿とは呼んでくださらぬのか~!」とじたばたする八嶋秀吉最高!

その時見えた青空。そこに光るお天道様。

うまいよねぇ、演出。

最後に秀吉が薬研藤四郎(刀の方)を拾い上げるところも……。お茶目で憎めない秀吉。
次(2020年)の大河は光秀が主役だけど、信長と秀吉、このお二人で是非。っていうかもういっそ刀剣乱舞を大河に……したらさすがに1年長丁場で無理だろうし暗くなりそうだからBS時代劇全5回ぐらいでやってくれたら面白いのにな。
山本信長と八嶋秀吉は正月時代劇2時間前後編とか。

えーっとそれで。

映画の後半、自分一人で時間遡行軍を食い止め、他の男子たちを本丸へ帰す三日月。

その前に、信長に「あれ(時間遡行軍の大軍)を一人でか?」と問われて「ちと、骨が折れますな」などと落ち着いて答えるところがまた!

太刀を振るいながらみんながちゃんと戻るのを確かめたり、三日月の表情を追うカメラワークも良くて。
あああああ、惚れてまうやろぉぉぉぉぉ。

「刀」である三日月相手に飛び道具(銃)出してくる時間遡行軍さん。
エグいけど、銃で撃たれてよろめく美形の絵的な良さをよくわきまえてる……。

うん、でも、刀剣男子が「死ぬ」ってどういうことなんだろ。もともとの刀が折れるということなの…? もともとの刀が焼失したり行方不明でも男子は顕現できるみたいだから、その人間態が――魂が死んでしまうということ?????

一回死んでも審神者の力でまた顕現できたりするのでは?と刀剣乱舞初心者としては思ったりもするんだけど、その場合、前に顕現した時の記憶がなかったりとかゴチャゴチャあるのかしらん。

銃撃に遭い、もはやこれまでか、と思ったところへ戻ってくる他の男子たち。
「本丸と主を頼むと言ったのに……!」
「俺たちにとっちゃお前だって本丸なんだ」というセリフが熱い。
「それにこれは主の命でもある」と、審神者様のお声が流れる。

「過去も守ってもらいたいが、明日も守ってもらいたいのだ」と。

だから死ぬな……。ううっ、主従の絆、たまらん。

(あれ?このくだり最初の方でも書いたっけ? まぁいいや、大事なことは何度でも)

渡された薬(?)を飲んで三日月さん復活。他の男子もボロボロだったのが復活してたし、やはりそもそもが普通の人間ではないので、審神者の力でダメージ回復できるってことなんでしょうね。

無事「歴史」を守った男子たちは本丸に戻り、今度は本丸を守る戦い。時間遡行軍の真の狙いは審神者の代替わりを阻止し、本丸そのものを潰してしまうこと。

審神者の居室に押し入ろうとする遡行軍を三日月が……って、これももう書いたな。主を守るため超本気モード出す三日月さん、好きすぎ。


戦いが終わり、審神者の代替わりも果たされて、新しい可愛らしい子どもの主と遊ぶ男子たち。(子どもでも「歴史が曲げられた」とか色々わかるんだろうか。子どもでも色々判断できるのかなぁ。そこは近侍の三日月が補佐して教育していくのかしらん)

子ども主に後ろから抱きつかれおんぶして、「また守りたいものが増えてしまいましたぞ」と先の主を想う三日月。

主の魂のように、三日月の想いのように、桜(たぶん)の花びらが空に溶けていく。

儚く美しいものの象徴だよねぇ、桜。
儚いけど、季節がめぐれば花はまた咲く。

権力者の歴史ではなく、名もない人々を守りたいと言った三日月。
明日をも守ってほしいと言った主。

はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。

ええ話や(しみじみ)。


そしてエンディングは西川貴教兄貴と布袋寅泰さんが強力タッグを組んだ『unbroken』。
めちゃめちゃ格好良くてうっかりすると1時間ぐらいずっとリピートしてしまいます。
曲も歌唱も格好いいのはもちろん、歌詞がほんとうまい。見事に映画とリンクしてる。



「主題歌コラボMV」、最高っすね。こんなに見せちゃっていいの?と心配になるぐらい。
ほんともう一回映画館行きたくなる……うずうず。


三日月役の鈴木拡樹さん、アニメ『どろろ』では百鬼丸のお声。4話段階でまだ声を取り戻してなくて出番はまだだけど、どんな感じなのかなぁ。楽しみ。
ググったら『ディケイド』の時の剣(ブレイド)役が鈴木さんだったそうで……ちょっとディケイド見返してみなければ。


そうだ。
最後のテロップが「映画刀剣乱舞~継承編~」ってなってたんだけど、違う「編」が作られる可能性もあるということなのかしら。今回がヒットすれば――?


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