(※ネタバレめっちゃあります。これからご覧になる方は読まないでください。あとけっこう酷評してるので嫌な人はそっ閉じしてください)



仮面ライダービルドと仮面ライダーグリスでチャンバラ。
他にもメロン兄さんやエグゼイドのきりやんなど特撮俳優目白押し。気にはなるものの滋賀では上映ないし、諦めかけてたけど、先日がんばって京都まで出かけてきました。

が、しかし。

うーん。
何だこれ。
いいのかこんなんで、東映(´・ω・`)

ストーリーにはもともと期待してなかったというか、お話よりもイケメン特撮俳優の皆さんのチャンバラを楽しむ作品だろうと思って見に行ったのに、チャンバラもたいしたことなかった。

「御前試合」というタイトルにもかかわらず、御前試合の描写がほとんどない。
戦兎くんとカズミンの試合こそさすがにそこそこ描かれてたけど、残りの試合は「構え」と「結果」だけで肝心のチャンバラ部分は省略。

えええ、いちいちみんな「秘技○○剣」とかってキャスト紹介に書いてあるのに、披露してくれないの???
(ちなみに公式サイトはこちら

木刀での予選シーンはけっこう打ち合ってたけど、チャンバラアクションを期待してわざわざ京都まで足を運んだだけにあまりに物足りなかった。
「そもそもチャンバラじゃないよ?」ってことなのかな。
こっちは「純恋の剣」で、恋物語がメインだからこれでいいの? アクションは舞台「狂乱の剣」の方でお楽しみください???

舞台の方が生だから、きっと動いてくれるよね。じゃなきゃ生でこういう作品やる意味ないし……。


公式サイトのあらすじ紹介にある通り、時は徳川秀忠の時代。波岡さん演じる府月藩当主は幕府顛覆を企み、その動向を探ろうと藩内にはあちこちから隠密が集まってきている。

波岡さん、すんごい派手な衣裳で、いかにも暴君で、途中SMごっこで夜のお相手を鞭で殺しちゃってるみたいな描写もあり、本当に「絵に描いたような」悪いお殿様。

で、戦兎くんは幕府方、柳生の隠密、すでに一年ほど府月藩に潜入。赤松道場という剣術道場に道場主の縁戚という形で滞在してる。
道場主を福本清三さん、その息子(孫?)で師範代がきりやん
福本さんは「存在感」だけで、殺陣もなかったんだけど、きりやんは爽やか剣術青年で良かったです。戦兎くんが隠密だとは知らないらしく、「一年も経つのに他人行儀なやつだ」と言い、暗~い顔をしてる戦兎くんを祭りに誘い、戦兎くんが侮辱されると「俺の親友を侮辱しやがって!」と怒ってくれる。

うん、きりやん良かった。
予選会での打ち合いもがんばってたわ。

戦兎くんが暗い顔をしてたのは、目の前で隠密仲間が殺されちゃったから。
府月藩には柳生から合計4人も潜入してて、そのうちの2人が冒頭で正体バレて殺されちゃう。見殺しにせざるを得なかった戦兎くんは「俺もいつかはああして使命のために死ぬのか」的に鬱々としてる。

なんか、最初からあんまり隠密に向いてない感じというか、隠密という役目に納得できてない感じ。

きりやんに「おまえは今夜出逢うべき人に出逢うぞ!」などとテキトーなことを言われて祭りに顔を出した戦兎くん、運命の人・八重に出逢います。

八重は藩の筆頭家老神谷(ビルドで西都首相だった冨家さんが演じてる)の娘なんだけれども、父の後妻から邪険に扱われ、後妻の言うなりの父からも目をかけてもらえず、しかも余命数ヶ月とかいう、これまた絵に描いたような薄幸のヒロイン。

2人がぶつかった時の演出がまたベタでな……。

惹かれあう2人だけれども、そこへ変態カズミンが割って入る。
「金鯉昇天剣」とかいう秘技を操る府月藩士カズミン、楽しんで人を斬る上に相手の匂いをくんかくんか嗅いじゃったりしてかなりヤバい。
冒頭で隠密を斬ったのもカズミンで、戦兎くんにとっては「仲間の仇」でもあるんだけど、さらに八重を妻にと言ってくる。

余命いくばくもないからこそ良い、「私があなたの死に水を取ってあげますよ」と。

カズミンの変態演技マジやば~い(褒めてる)。

戦兎くんは府月藩の謀叛の証拠となる書状を手に入れていて、カズミンに「御前試合で俺に勝ったら八重は譲ってやる。その代わり書状は渡せ」と言われる。
えーっと、そこ、書状と八重の交換だけじゃダメなんですか。あるいは御前試合で勝ったら書状も八重も総取りで良くないですか。

まぁ変態カズミン的にはそんな取引は戦兎くんを試合に引っ張り出すための餌でしかなく、衆人環視のもと戦兎くんを嬲り殺すのが主目的ではあるんだけども。

戦兎くん、予選で落ちてるからほんとは御前試合出られないはずなんだよね。
そこもカズミンが手を回したんでしょうけども。
出られるはずだったきりやん、殺されちゃってるし……。
(あの後福本清三さんが「(きりやんの帰りを)もう少し待ってみよう」って言ってたけど、あれは戦兎くんが何にも報告しなかったということなのか、それとも全部承知の上で道場のみんなをパニクらせないために「待ってみよう」と言ったのか、どっちなんだろう)

そんで御前試合当日。
戦兎くんはあらかじめ八重を救い出す算段をつけています。
あれ? 勝敗に関係なく八重を救い出せるんなら御前試合に出る必要ある? 条件呑まないと隠密だってバラされちゃうだろうけど、戦兎くん凄腕の剣士なんだし、さっさとその場でカズミン斬っちゃえば良かったよね? で、その足で神谷家に八重助けに行けば良かったのでは。

神谷家、セキュリティがばがばだし。

その場合追っ手がめちゃくちゃかかるだろうけど、でも御前試合を経ての逃亡でもやっぱり追っ手はかかるのでは……。少なくとも神谷父は戦兎くんが試合の後逃げ出したことを確認してる。書状を盗まれてるんだし、神谷父はすぐさま戦兎くんを追わないと……。

話が飛んだ。

八重の話。
八重は、「一時的に死んだように見せる薬」を飲んで、めでたく合法的に屋敷の外へ連れ出されます。
そう、「ロミオとジュリエット」のパターン。
ロレンス神父の役を務めるのはメロン兄さん
メロン兄さんもどこやらの隠密で、医師として神谷家に出入りしていたのです。

冒頭で戦兎くんに「相変わらず冷たいな。だがそこがいい」などと言っていたメロン兄さん。よもやあのセリフに別の意味があろうとは……。

本家「ロミオとジュリエット」だとジュリエットが目覚める前にロミオが現れて、ジュリエットがマジ死んでると勘違いしたロミオが自殺、目覚めたジュリエットもそれを見て自殺、という残念な結末になるけれども、八重はちゃんと目覚め、御前試合を秘技で巧く乗り切った(でもそこそこ重傷を負ってる)戦兎くんが駆けつけてめでたしめでたし。

のはずが。

まさかの大どんでん返し!

鑑賞前にちょこっとレビューを検索してたら「最後で笑いが」って話があって、どういうことだろうと思ってたんだけど。

なるほどこれは笑う。

いきなりメロン兄さんが戦兎くんに告白するんですよ。
「やっぱりおまえを諦めきれない! 惚れた男をむざむざ取られるぐらいなら!」とかって。

言われた戦兎くんがまたホントに「は?」と素で目が点になってる感じの顔してて笑う。

ストーリーがベタなのも、チャンバラ成分が予想外にないのも許すとして、この展開はさすがに(´・ω・`)

なんていうか、「ファンの女の子たちはこーゆーのが好きなんでしょ?」というあざとさを感じてしまう。「ネタ」に見える。

だってもう全部どうでもよくなるじゃん、その後、八重と戦兎くんが短い命をかけて逃避行していく姿映し出されても、もうほんとどーでもいーじゃん。
変態カズミンとの対決も前座じゃん!

「純恋」ってそっちかよ。
使命と恋と、どっちを取るかって――。

謀叛の証拠の書状のぞんざいな扱われ方ったらあなた。
府月藩のみんな、良かったね。隠密の皆さんがみんな恋の方を取る人で。

あの誰にも見向きされずぽつねんと藁の中(だったかな)に置き去りにされた書状はその後舞台の方でまた重要な役割を果たすのかしら。
御前試合の残り、藩主の甥っ子の復讐譚は舞台へ続くぞ!というエンディング。

「狂乱の剣」のストーリー紹介見たら「ハムレット」モチーフって書いてあった。映画が「ロミジュリ」で舞台が「ハムレット」なのか……。


ちなみに入場者特典はノエルさん扮する流狂四郎でした。きりやんが良かったよぉ。


この狂四郎にしても「影」と呼ばれる藩主の懐刀にしてもすごい扮装&メイクなんだけど、まぁ舞台ではその方が映えて面白いのはわかる。(わかるが映画でアップになるとムズムズする)

あと映画館に衣裳が展示してあったけど、これ本物なのかしら? ホントに戦兎くんとカズミンが着たやつ??? 京都のみ展示なのかな。京都撮影所のご縁?


ねぇ。
チャンバラの聖地東映京都撮影所で撮ったんだろうにねぇ。
もうちょっとチャンバラアクション見たかったなぁ。
2週間で撮ったみたいな話も聞いたし、色々と制約も多かったんだろうけど。

舞台と映画を連動させて時代劇アクションっていうとやっぱり『刀剣乱舞』連想しちゃうし、とうらぶ映画めっちゃ好みだったもんだから(アクションも見事だったし)、ついつい比べてしまう。

まぁ、きりやんと変態カズミンは楽しかったし、まさかの大どんでん返しメロン兄さんも面白いっちゃ面白かったですけども。

ムビ×ステ第二弾が作られることはあるのか、と思わないこともないです。
(なんだかんだ言いつつ第二弾があったらまた映画館に行ってしまいそうな気はする。東映の思うツボやがな)


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