【初めてのLIVE配信観劇】

彩風さんの『炎のボレロ』、全国ツアーの上演が決まった時から「うわあああああ、観たいぃぃぃ」と思っていたものの、まぁチケットが取れるとは思えず。

確か梅田芸術劇場での上演はゴールデンウィークでしたよね。平日だったとしてもまったく取れる気しませんが、コロナでツアーは中止、結局お盆明けに梅芸で上演されることになり、前売開始日の朝、PCの前でスタンバイ!

が。

「あれ?10時過ぎたのに販売開始にならない???」

急遽公演延期になっていたんですよねぇ。その後振替公演が決定したものの、うっかり情報を見過ごして、気づいた時にはチケットは完売してた。
気づいても買えなかったとは思う。
思うけど、チャレンジだけはしたかった……。

で、仕方なくLIVE配信で観ることにしました。
9月2日、平日の夕方という主婦にはなかなか段取りが難しい時間で、悩んだんですが、どうしても彩風さんの『炎のボレロ』を観たかった。

U-NEXTとRakutenTV、配信プラットフォームは2つありますが、月額料金が要らず単品で購入できるRakutenTVを選択。
何しろ初めてなのでちゃんと見られるのか?とドキドキしたけど、当日4時過ぎにアクセスするとちゃんとこんな画面が。


開演前の注意アナウンスからしっかり劇場の様子が流れて、幕間には「休憩○○分」というあの電光掲示板が映し出され、リアルタイム気分を味わえる。

うん、「生配信」と言っても結局テレビ画面で見てるわけだから、体験としては後からDVDで見るのとほとんど変わらなくて、1回こっきりの映像を見るためだけに3,500円払うんだったら、そのお金取っておいてDVD買った方が繰り返し見られるのでは?とつい貧乏人は思ってしまうんだけど、注意アナウンスが流れて緞帳が開くのを待ち、減っていく休憩時間の数字を見ながらトイレに行ったり用事を済ませたりしてまた後半の幕が開くのを待ち――。

劇場のあの空間にはいられなかったけど、「同じ時間を過ごす」ことはできた感じ。
最後、カーテンコールでの彩風さんの挨拶には、「あああああ、リアルタイムで観て良かったぁぁぁぁぁぁ!」って本当に思いました。

ありがとうLIVE配信、ありがとうインターネット環境。


【1988年星組さん版『炎のボレロ』の話】

雪組さん版の話をする前に昔話を。

『炎のボレロ』、初演を観ているんですよね、私。もう32年も前かよっ!!!てほんと、びっくりしますけれども。

小学生の時、親に無理を言って『ベルばらⅢ』を観劇して以来、宝塚は時々テレビで見る程度で、大劇場には足を運んでなかった(小中学生が自力で観劇するのはなかなか難しい)。
それが、母に誘われ、阪急友の会の貸切公演で、人生二度目に観た舞台が星組さんの『炎のボレロ』『Too Hot!』だったのです。

ネッシーさん(日向薫)のトップお披露目公演、しかし私はこの一度の観劇でシメさん(紫苑ゆう)に心を奪われてしまった! 以来32年、今年のお正月にもディナーショー行きましたが、シメさんファン暦の原点がこの『炎のボレロ』のジェラール役。

正直ストーリーはほとんど覚えてないのに、ジェラールが病気で余命数年、恋人の酒場女とのやりとりがすごく良くて、その女の子はシギちゃん(毬藻えり)がやってたっていうのだけは強烈に印象に残ってる。

音源だけならiTunesで試聴できる(→こちら)けど、「我らの星!新しい星!アルベルト!」っていう台詞、いかにもトップ披露ですよねぇ。太陽の国メキシコが舞台で、途中アルベルトは「太陽の男」に選ばれたりもして、まさにネッシーさんのためのお芝居だなぁ、って。

「日向薫」というお名前はもちろん、ネッシーさんってほんと、太陽のように明るく華やかでパーッとしたスターさんだったもんね。
対する二番手のシメさんは冴え冴えと輝く月、青白い炎といった感じで、好対照の麗しいトップコンビ、大好きだったけど、見事にそれが生かされているお芝居だな、と今回再演を観て改めて。

原作付きや海外ミュージカルの大作もいいけど、座付き作者さんのこういう「組の個性、スターの個性」を生かしたオリジナル作品をもっと観たいなぁ。


【雪組さん版『炎のボレロ』】

公演ポスター見た時にまず、「うわ、彩風さん、ネッシーさんに似てる!」って思ったんですよね。化粧の仕方とか、初演に似せて撮ったのかもしれないけど、それまで全然思ったことなかったのに、「こうして見ると似てる」って。

ビジュアルはともかく、キャラクター的にも私の中では彩風さんは明るく爽やかなイメージが強いから、「太陽のようなネッシーさん」をモチーフに作られたクラシカルな作品、きっとハマるだろうなぁ、是非観たい!って思った。

予想通り主人公アルベルトを演じる彩風さんはとっても格好良かったんだけど……、でもこれ、ストーリーとしてはしょーもないというか、アルベルト、ロマンスしかやってなくて、復讐やってないよね(笑)

外国に遊学してる間にフランス側のブラッスール公爵に父親と兄を殺され、要するに「お家取り潰し」になった侯爵家の次男がアルベルトで、公爵への復讐を誓ってメキシコに戻ってくる。でも着いて早々可愛い女の子に出逢って、復讐はそっちのけに。
いや、えっと、「個人的な復讐のことばかりでいいのか、メキシコ全体のことを考えないと」って反乱軍に加わるので、単純に恋にうつつをぬかしてるわけではないんだけど。

ないんだけど。

「反乱軍」と言っても戦闘シーンは皆無。
ブラッスール公爵との折衝の場面も、ずる賢い公爵が「皇帝を人質に差し出すから無血撤退させろ」って要望して、あっさり終わる。

ええっと、この物語のクライマックスは、どこ……???

ブラッスール公爵、ゲスくてめっちゃいいけど。久城あすさんが癖のあるセリフ回しで思いっきり「ヤな奴」に演じてくれてて、ある意味このお話の主役はブラッスール公爵。うん、久城さん怪演だわ。

戦闘シーンがない代わり、ダンスシーンが多くて、幕開きのプロローグも長い。「お話まだ始まらないの?」って思うぐらい(笑)
でもプロローグ、アルベルト=彩風さんの、ジェラール=朝美さんの、ヒロインもカテリーナ=潤さんの、モニカ=彩さんの、と対称になってて、きれいだったな。舞台がメキシコだから「ベサメ・ムーチョ」とか音楽もラテンで。

途中酒場で歌われる歌もスペイン語だったりした。

で!

かつてシメさんがやった役、フランス側の情報将校、「血の病」とかで余命数年というジェラールを朝美さんがやったわけですが。

これ、やっぱり、観てる人は全員朝美絢のファンになるんじゃないですか!?
かつて私が一発でシメさんに殺(や)られたように、これは朝美さんに殺(や)られる、美味しすぎる二番手の役……。

自らの死期を悟って、ニヒルでありながら誇り高く、仕事(アルベルトを追うこと)をまっとうしようとし、恋人モニカが体を気遣い「行かないで」と言うのをキスで黙らせ――。
「おまえはいい女だが、口うるさいのが玉に瑕だ」

設定がもう中二病女子狙い撃ちな上に、マントを颯爽となびかせた軍服姿、そしてとてつもない目力! ぐぉぉぉぉぉ!!!!!(言葉にならない叫び)

アルベルト&カテリーナのカップルより、ジェラール&モニカの方が応援したくなるし。征服者であるフランス側の将校と、しがない酒場の女。いずれ男が本国へ帰れば、終わってしまう恋。

カテリーナも父伯爵がブラッスール公爵側にいるから、アルベルトとは「対立」する立場なんだけど、カテリーナの父ちゃんはいい人だからなぁ。家族や領民を守るためにフランス側にいるだけだもん。伯爵の娘と侯爵の次男坊で、釣り合いも取れてる。

カテリーナ役は潤花さんだったんだけど、柄の大きい感じが初演の南風まいさんと似てる感じ。(南風さんのことあんまり覚えてないけど) お芝居とダンスは良かったけど、歌はちょっと残念だったな、潤さん。
モニカは彩みちるさん。やっぱり初演のシギちゃん(毬藻えり)と似たタイプを持って来た感。朝美さんとのやりとり良かったです。

モニカにジェラールの病気のことを吹きこんだり、ちょこっと出ては意味深なことを言って去って行く「私はただの従僕です」って人がいるんだけど……生配信は普通の舞台中継と違って下にスターさんの名前が出たりしないから、「誰!?これ誰!?」ってなりました。

雪組さん、ここ数年では一番観てる組なんだけど、全然組子の顔と名前がわからなくて……。手元にプログラムもなく、「この人やたら巧いけど誰!?」と。
公演の公式サイト見に行けばキャスト表はあるけど、この謎の人、謎なだけに役名が出てこない。ジェラールからも「おまえは何者だ!」って言われるぐらいで、フランス側の人なのに名前を呼ばれない。

タイロンって人だったんですけどね。
演じてるのは真那春人さんだった。研14? そっか、そりゃ巧いわな。出番多くないけどめっちゃ印象に残ったわ。顔つきも素敵。今まで注目してなくてすみませんでした。

初演の時はハッチさん(夏美よう)だったらしい。(Wikipedia参照
そうか、言われてみればなんとなく記憶が……。

カテリーナの弟テオドールはゆめ真音さん。お姉ちゃんの真似して歌曲を歌うとこ、上手だったなぁ。めちゃくちゃお顔がちっさくて、記憶に残る。
カテリーナの父、ドロレス伯爵は奏乃はると組長。本当に「いい人」感が全身から。娘の恋を応援して、最後は自らの手で――。

うん、やっぱりアルベルト、何もしてないよね……。最後にブラッスール公爵を撃つの、お父ちゃんなんだもん。
まぁ、「誰の銃弾が当たったのかわかんない」みたいになるんだけど。
アルベルトも銃を構えてはいるんだけど。
「うわぁ、お父ちゃんがやっちゃった!」と思うとバッと暗闇からアルベルト、ジェラール、タイロンの3人が姿を現す、あの演出は格好いい。そんでタイロンが「私が撃ったことにしましょう」ってシレっと言うのが良い。

しかしアルベルトは(くどい)。
作中、アルベルトは「炎のような男」って言われるんだけど、カテリーナに「とりあえず今はフランスに渡れ、必ず取り戻しに行く」とか言ってて、割とそこ冷静っていうか、力づくにならないところがまた(しつこい)。

全部片付いて、でもジェラールはフランスへ帰らず、「残りの人生、惚れた女のそばにいたい」とか言ってモニカと「あなたを知って愛し合えたと ここに生きたと♪」ってデュエットして、二人で去っていく。
いやぁ、やっぱりこっちのカップルの方に心が……。

彩風さん自体は衣裳もよく似合って格好良く、お芝居も歌も良かった! 望海さんが圧倒的すぎるからアレだけど、彩風さんも三拍子揃ったすごいスターさんよね。それでネッシーさんよりは穏やかな、周囲を温かく包み込む優しい太陽という感じで。

あとフラミンゴ役の縣千さんが美形で目を引かれました。初演はマリコさんだったのねぇ。つまり実質三番手の役かー。


【Music Revolution~New Spirit~】

ショー『Music Revolution』は宝塚大劇場版地方公演版と2回見ています。
なので油断してた。

あれ?あのJazzのシーンは?あれ??だいぶ構成違う?????

大劇場版では彩風さん、地方公演版では綾さんが踊っていた「Jazz Sensation」の場面、まるっとなかったよね? あの場面が一番印象的で、正直なところ「Music Revolution」といえばあれしか思い出さない(思い出せない)ぐらいだったので、「え?ないの?」とびっくりしてしまった。

彩風さんが踊るのか、それとも違う人がやるのかなぁ、と楽しみにしていたので……。

『歌劇』とか読んでれば、その辺の情報仕入れた上で観劇できたんだろうけど、まぁしょうがない。主題歌と、カノンのところと、フィナーレ男役燕尾のところはおんなじ気がしたけど、あとはなんか新しいショーを観ているようだった。

ある意味新鮮で良かったけれども。

あ、「Classic World」のとこも一緒か。威風堂々とか使われてたとこ。
LIVE配信で観劇する時は先に通販でプログラム買っとかないといけませんね(今サイト見たらもう売り切れ……うう、プログラム欲すぃぃ)。

「Music is My Life」のとこが「雪の伝説」とか「聖者が街にやってくる」とかになってたのかな。あー、もう全然記憶が。

彩風さんと朝美さん以外は男の子も女の子も歌がイマイチなのがちょっと残念でした。フィナーレのトリオダンスのとこのカゲソロは良かったな。エトワールと同じ子かな。
トリオダンス自体も素敵だったし。
彩風さんと朝美さん、他の場面でも同時に出てくるとやっぱりテンション上がる♪
『炎のボレロ』の方の「対立」の場面も良かった。

望海さんが退団された後はこの二人の雪組になるのかぁ、と思いながら観てしまうよね、やっぱり。彩風さんのトップ就任が発表されたのはLIVE配信より後だったけど。
娘役トップは花組に行ってしまったと思っていた朝月さんが戻ってこられるということで、これも嬉しい。(なんで一瞬だけ花組に行かされたのか)

爽やか系の彩風さんと濃ゆい系の朝美さん、対照的で良いコンビだなぁと思うので、歌劇団はゆめゆめ変な組替えなどせずこのまま新生雪組としてほしい。
かつてネッシーさんとシメさん、シメさんとマリコさん、マリコさんとノルさん……と順当にトップと二番手が繋がれていったように――。

一旦幕が降り、カーテンコールで彩風さんの挨拶
あると思ってなかったから嬉しかった。
「今日はスペシャルな公演でした。DVD&Blu-rayの収録、そして映画館でのライブビューイング、ネット配信」と、私達回線の向こうのファンにも言及してくれて。

本当だったら地方ツアーだった公演。地方の劇場に行くことはできなかったけど、こういう形で全国の皆様に観てもらえて……みたいなお話を。
そして「せっかくだから、もうちょっといいですか?」と前置きした上で、「愛媛の皆さーん!いつか必ず行くからねー!」と。

はぁぁぁぁぁぁ、可愛いぃぃぃぃぃ、和むぅぅぅぅぅぅ。

生で観て良かったと思いました。
本当に早く地方公演ができるように、大劇場その他の公演も、通常の座席数で上演できるように。

感染予防の対策をしながらの公演、生徒さんもスタッフも、毎日ピリピリしながらの舞台だと思います。どうか皆さん、無理しすぎず、すこやかでいてください。

素敵な舞台、ありがとうございました。


【2020/09/06追記のおまけ】

星組版『炎のボレロ』のDVD(VHSからダビングしたやつ。画質はひどい)が発掘されたので観てみたんだけど、シメさんジェラール、「キスで口封じ」とかしてなかった……。普通に愛情が溢れてきて口づけせずには……みたいな流れだった。

何、どういうこと、あれは朝美ジェラールならではのお芝居だったってこと!?

最後も朝美ジェラールは一人で先に行くと見せかけて、振り返ってモニカを待つ、みたいなお芝居で、なんというか、シメさんジェラールの方があっさりに感じてしまった。

朝美ジェラール、改めてヤバい!

シメさんはお稽古の時にアドバイスされたりしたのかなぁ。観劇はしてらっしゃるのかしら。1988年版に出演されていた一樹千尋さんや英真なおきさん、ちあきしんさんは……。

ドロレス伯爵役の萬あきらさんとか、キャストの皆さんが懐かしく、プロローグのベサメ・ムーチョのトリオコーラスがジュンベさん(洲悠花)、こけしちゃん(花愛望都)、タキちゃん(出雲綾)で絶品だったり、我が青春の星組やっぱり好きすぎる。

ブラッスール公爵は麻月鞠緒さんだったんだけど、改めて久城さんブラッスールのヤバさも感じました。いやぁ、良かったわぁ、久城さん、ほんとゲスさが際だってた。

観たのは宝塚花の指定席版をWOWOWが放送したやつで、1時間17分しかない(20分ぐらいカットされてる)。でもそれがテンポの良さを生み出してた気も(^^;)
当時は実況CD(LP?)しか発売されず、カットがあっても画質が悪くても、こうして32年経っても見られるの本当にありがたい。
よく録画してた、そしてよくがんばってDVDに焼いた、偉いぞ、昔の俺……。