(※以下ネタバレあります。これからご覧になる方はご注意ください。台詞等記憶違い多々あると思いますがご容赦を

9月8日に公開された劇場版シティハンター第2作『エンジェルダスト 天使の涙』、9月13日に観てまいりました。

1作目の『新宿プライベートアイズ』が正直微妙だったので、今回もちょっと不安だったんですが、1作目よりずっと楽しかったです。
リョウのもっこりとハンマーのくだりは今回も「長すぎ」「多すぎ」と感じたけど、でも前半のあの「日常」があるからこそ後半のアンジーの悲しみが活きるとも思えたし、「これが最高傑作なの!?」というギャップを見せなきゃいけなかったもんね。うん、仕方ない。

冒頭、いきなり大きな満月。
これは……キャッツ・アイ? また?????
と思ったらシュバッとリョウとファルコンも登場して「怪盗戦隊キャッツ・アイ!」と名乗り&ポーズ。リョウのみならずファルコンまでレオタード姿で掴みはOKすぎる。

三姉妹が目的の品を盗み出す間、監視カメラに向かってあれこれポーズを取って警備員室を混乱させる二人。「なんだ、こいつら、酔っぱらいか?」「変態マッチョか!?」
酔っぱらいかどうかよりもまず「どっから入ってきたんだ!?」って思わなきゃいけない気がするけど、ともあれ2人の攪乱のおかげ&愛ちゃんのハイテクスマホ(?)のおかげでキャッツ3人は目的の絵画を盗み出すことに成功。

ノリノリでポーズ取った後で真っ赤になってるファルコンが可愛いw
この冒頭のファルコンを見るだけで値打ちあるなぁと思いました、うぷぷ。

キャッツ・アイの泪さん、亡くなられた藤田淑子さんに代わり、前回は戸田恵子さんが瞳との一人二役で声をあててらっしゃいましたが、今回は深見梨加さん。だいぶ低音ボイスな泪さんだったなぁ。

それにしても「キャッツ・アイ」と言えばあの曲。
今回も新しいアレンジで流れてきたけど、「何十年経ってもやっぱりこれ!」というのがすごいなぁと。「Get Wild」もそうだけど、「○○と言えばこれ!」って曲があるの強いよね。あのイントロだけで「キャッツ・アイ、キタ━(゚∀゚)━!!!」ってなるもん。


三姉妹が狙っていた絵画、実は絵画そのものに値打ちがあったのではなく、その中に隠されていた「ブツ」が問題だったんだけど、あと一歩というところで「仮面をつけた謎の人物」に横取りされてしまう。

リョウと同じコルトパイソン357マグナムを操る「仮面の人物」。のっけから見応えあるアクション。
前作では「シティハンターの相手がドローンではつまらない」と思ったけど、今回は肉弾戦、シティハンターvs殺し屋の生身アクション全開で、楽しかった。

で。
その、「横取りされたブツ」が「エンジェルダスト」。原作を読んでいる人にはおなじみ、「不死の兵士」を作るために生み出された禁断の麻薬。原作の「エンジェルダスト」も「薬」などという生やさしいものではなかったんだけど、映画ではさらに「ナノマシンがどうこう」というハイテクな代物になってた。肉体を増強するだけでなく、精神を破壊し、自我を呑み込んで人間を文字通り「戦い続けるマシン」に変えてしまう。

かつてそれを投与された兵士たちはみな狂気に落ちて死んでしまった。ただ一人生還した少年兵、それがリョウだった。その後エンジェルダストは破棄されたのだけど、今回とある製薬会社がオリジナルに近いものを1セットだけ作ることに成功。

そんな悪魔の「薬」を世に出してはいけない、ということでキャッツ・アイが盗んで闇に葬ろうとしていたわけです。

この辺の経緯を喫茶「キャッツ・アイ」で三姉妹とファルコン&美樹ちゃんが話していた…気がする。
三姉妹は喫茶「キャッツ・アイ」のオーナーで、前作で派手に壊れた店の修繕費を出してもらった都合上、ファルコンは今回の仕事を手伝わざるを得なかった、みたいな。
「キャッツ・アイ」、「海小坊主」と呼ばれる配膳ロボットがいたんだけど、そんなロボットが必要なほどお客さん来てたっけ? いつもリョウ達関係者しか客がいなかったような(^^;)
その配膳ロボットの頭のてっぺんに「押すな」ボタンがあって、「何これ?」と三姉妹の一人が「ポチッとな」したとたん、ガガガガ!と動き出す鉄壁の防御壁たち。

「どおりで、ただ修繕しただけにしては金額が大きすぎると思ったわ」

前作見た時に「喫茶キャッツ・アイは全部防弾ガラスの要塞仕様じゃなかったっけ?」と不審に思ったんだけど、このタイミングで要塞化されてたのね~。三姉妹の金で。

一方、リョウと香のもとには謎の美女アンジーから「猫を探してほしい」という依頼が。

海外から日本に猫動画撮りに来たYouTuber、という設定、いかにも「令和のシティハンター」。しかしなぜそんな「ただの動画配信者」がシティハンターを知っているのか、ただ猫が行方不明になっただけで新宿の掲示板に「XYZ」を書くのか。

しかも謝礼はびっくりするほどの金額。

おかしいと思わない香がすごい。「見覚えのある猫」なのに、気づかず懸命に探そうとする香、ほんとすごい。
リョウの方はもちろんアンジーに対してあの手この手のもっこり作戦。それをことごとく阻止する香に、「あの……香さんの方が冴羽さんより強いのですか?」と困惑するアンジー。

香のハンマーに「祝、新作!2023t」とか「続編希望、まだまだイケる」とか書いてあるのもお約束。
うん、まぁ、「これでこそシティハンター」ではあるんだけど――そして前作よりだいぶテンポ良くなってたけど、「もうわかったから早く話進めて」と思ってしまう(^^;)

アンジーの猫探しはもちろん嘘で、「実は命を狙われている」と。これは嘘ではないけれど、まだまだ彼女は本当のことを言っていない。
映画を見ている視聴者としては「彼女こそが冒頭の“仮面の人物”」だろうと予想がつくし、もちろんリョウも早い段階で気づいていた。

「エンジェルダスト」を開発した張本人にして、リョウの育ての親である「海原神」。今は「ユニオン・テオーペ」という組織を率い、「メイヨール」と呼ばれている男。
アンジーもまた彼に拾われ、育てられた兵士なんだよね。彼女の真の目的は、海原が「最高傑作」と呼ぶリョウを超えること。リョウを倒し、「自分こそが最高傑作」だと海原に認めてもらうこと。

彼女が「エンジェルダスト」を盗んだのは、「こんなものは要らない」という思いからだった。「こんなものがなくても、私は冴羽リョウを超えてみせる」。

組織からすればアンジーのその行動は「勝手な単独行動」であり「裏切り」なので、彼女とチームを組んでいた殺し屋エスパーダとピラルクーは彼女の命を狙う。

喫茶「キャッツアイ」で美樹ちゃんに豪勢なパンケーキを出され、ナイフとフォークを武器のように持って決死の表情をしていたアンジー。あれって、「これまで普通の女の子としての生活をしたことがありません」って描写だったんだろうなぁ。パンケーキもパフェも、たぶんろくに食べたことがなくて、誰かと「美味しい!」と喜び合うようなこともなかった……。

追っ手のエスパーダとピラルクーがわびしくカップ麺すすってるのは対比だったのかな。「殺し屋としてのアンジーもこんな食生活しかしてなかったんだよ」っていう。

エスパーダの頬にカップ麺のナルトが貼りついてて「おまえ、何付けてるんだよ」とピラルクーが取ってあげるの、ラブコメみたいで笑ったけど。「なんだよ、恋が始まるのか!?」ってシーンだったな。

えーっと、それでどうなったんだっけ?

アンジーはピラルクー達と決着をつけるため、一旦エンジェルダストをリョウに預け、でもそれはピラルクー達にもバレてて、盛大な追かけっこが始まる……だったかな。

リョウ達の車、ピラルクー達のごついジープ(?)、ファルコンと美樹の乗った車、そしてアンジーの乗った電車――と、それぞれが交錯するチェイスも見応えあった。

エスパーダはアンジーとの一騎打ちで殺されちゃうけど、死に際、「まぁこんなもんか」って。アンジーに恨み言を言ったりしないの、なんかいい感じだった。
ピラルクーの方は終始「アンジーのこと好きなのかな?」という匂わせがあって、最後もアンジーを庇って、「おまえは生きろ」と言って息絶える。

エスパーダの声は木村昴さん、ピラルクーは関智一さん。「キレがちの戦闘大好き民だけど仲間のことけっこう好き」みたいなエスパーダによく合ってた、木村さん。関さんは抑えた渋い大人の男演技。ゲロウジーム君と同じ人がやってるとは思えないわ、ほんと。

ンジー役は沢城みゆきさん。前半の「猫探しに来ただけの人」パートも、後半の殺し屋としてのパートも、さらにその後の苦悩パートもさすがのお芝居。安心して聞いていられる。
沢城さんの声が大変聞きやすいので、相対的に香や美樹ちゃんの声がしんどく感じてしまった(^^;) 前作でもオリジナル声優の皆さん、発声がしんどいな、と思ったんだけど……。

ファルコンの玄田哲章さんだけまったく変わらない印象だったのが凄い。玄田さんももう75歳でいらっしゃるのにねぇ。

追かけっこの末、エスパーダとピラルクーは命を落とし、アンジーとリョウがやり合って、アンジーは自分の負けを認めるのだけど、そこへ飛んでくる弾丸。

途中、アンジーが「こんなものは要らない!」とエンジェルダストを廃棄しようとして、でも失敗して海に落として、「組織の手のもの」がちゃっかりそれを拾っていた。海原はそのエンジェルダストを弾丸として仕込んで船の上からアンジーを狙撃、見事エンジェルダストはアンジーの肉体と精神に作用、アンジーはマグナム弾をも跳ね返す脅威の戦闘マシンに変貌してしまう。

海原の船、だいぶ遠そうだったけど、あの距離でも弾丸届くのねぇ……。

「おまえの望み通り、これでリョウを超えてみせろ」
海原ほんま(´・ω・`)

強化アンジーにボコボコにされても死なないどころか普通に闘えるリョウも凄い。打たれ強さが左之介並み。

「エンジェルダスト」に蝕まなれがら、必死の抵抗を続けるアンジーの自我。彼女を救うには、彼女を殺すしかない。「助けて」と救いを求めるアンジー、「もう楽にしてあげて!」と言う香。

うーん。
香、ここでそういう反応するのか。

原作だとエンジェルダストを投与されたミックに香が命がけで抱きついて、ミックの正気を取り戻すので、ここでも「香の呼びかけであの楽しいパンケーキや肉じゃが作りのことを思い出して正気ワンチャン」と期待したんだけどなぁ。
ミック×香とアンジー×香では愛の深さが違うから、香が抱きついたぐらいではダメかもしれんけど、香の諦めが早いと思ってしまった。

最後、アンジーを仕留めるリョウの「勝ち方」には感心、「リョウ、おまえはいつも期待以上だ」っていう海原の台詞も納得。

なんだけど。

結局海原がもう一度「エンジェルダスト」を作ろうとしたのは、「リョウを倒せる人間」を作り出せるかどうか試したかった、ってことなんだろうか。むしろ「エンジェルダストでさえリョウを倒せない、やっぱりリョウが最高傑作だ」と確かめたかったのか。

アンジーの負けを見届けて、残りのエンジェルダストを海に投げてしまったの、そういうことだよね? リョウに勝てないのなら、無価値。
アンジーに対しても「おまえは最高傑作だ」と言ってた気もするけど(すでに記憶が曖昧)。
リョウを超えて海原に褒められたい、愛されたいと思っていたアンジー。海原にしてみたら、本当に「おまえの望みを叶えてやったぞ」だったんだろうか……。

結局海原との決着はつかないまま、エンディングで「CITY HUNTER NEW CHAPTER BEGINS」とか出たんだけど、これ、続くの? 本当に「続編まだまだイケる」なの???
原作のミックのくだりが好きなので、続くならちゃんとミック出してほしいけど、エンジェルダストと海原とリョウの関係をもう説明してしまったし、「リョウと香にとって大切な人間がエンジェルダストを打たれて強敵として立ちはだかる」もやってしまったので、この先ミックが出てくるとしてもだいぶ変わってしまうんだろうな、と。

海原、歩くたびガチャガチャ音がして、「義足」設定ちゃんとあったし、香に「お嬢さん」と呼びかけるのとか、原作を生かしつつ違うストーリー。
前作よりずっと楽しめたとはいえ、「エンジェルダストなのにミック出ないの?」と最後まで思ってしまった(^^;)

途中、突然の「ユニコーンガンダム」登場、内山昂輝さんの「バナージ・リンクス!」名乗りもあって、「あんただけはーっ!」とさも「リョウちゃんを許さない!」感じになってるの、楽しかった。
ちょうど映画始まる時にサンライズクレジット見て「そっか、シティハンターってサンライズなんだ」と思ったばかりだったので、「サンライズ!おまえ!!!」ってなったわ。

ルパン三世まで出てきたし。

「香ちゃん、仕事は見つかったのかな」とか言ってたけど、ルパンとシティハンターの共演ってあったんだっけ? 『ルパン三世vsキャッツ・アイ』(※リンクはAmazon Prime Video)の中で出逢ってたりするの???

ちなみに原作の海原やミックのくだりはたぶんこの辺。


手もとにある集英社文庫版だと第17巻

入場特典の色紙。最初に原作を読んだりアニメを見たりしていた時からン十年経ってこんな色紙をもらうの、なんとも不思議な感じです。今回冴子はちょっと印象薄かったな。槇村とのエピソードが描かれていたけど、現在時空ではあまり出番がなかった。
ファルコンと美樹ちゃんは劇中でもラブラブで良かったわ、ふふふ。


【関連記事】

劇場版『シティハンター』観てきました!

雪組『CITY HUNTER』『Fire Fever!』観てきました!

『エンジェル・ハート2ndシーズン』第12巻&実写ドラマ

実写版『エンジェルハート』覚え書き