実写ドラマ放送開始月に発売された最新刊。帯には上川さん扮するリョウの写真があしらわれています。

いやぁ、今回も泣かされました。

ボロ泣き。

決して病院の待ち時間や電車の中で読んではいけない……。

双子の兄弟とか生き別れの親子とか、これまでにもさんざん描かれてきて、大筋としては「またか」という感じなんですけど、それでも巧みなストーリーテリングに泣かされてしまうんですよねぇ。

リョウと香瑩は手助けするだけで、派手なアクションはまったくない。二人が依頼人を救ったというより、依頼人が捨てた「奥さん」が素敵な女性だったがためにこういう結末になったわけなんですけど。

うん、最後に部下が深々と頭を下げてるのも、依頼人本人の人徳なんだもんなぁ。

それでもシティ・ハンターに依頼することがなければ親子が出会うこともなかったし、こういう大団円もなかった。戦闘力は必要なかったとはいえ、他の、普通の探偵社じゃなくシティ・ハンターだからこそ遂行できた依頼。

「久々の依頼」と張り切って仕事を受けた香瑩が、依頼人が「妻子を捨てた」男だと知って乗り気じゃなくなるところ、むしろリョウの方が積極的になったりして(常々「女の依頼しか受けない」と言っているにもかかわらず)、二人の「親子関係」が通奏低音のように流れているのもいい。

銃をぶっ放すだけがシティ・ハンターじゃない、って『エンジェル・ハート』の最初の方でリョウが香瑩に言ってるけど、ほんと、二人の活躍が地味でも感動しちゃうから困るわ。

そろそろちょっとハードなお話も見たいところだけどねぇ。香瑩の超絶アクションが見たい。

次のお話はちょっと時間を遡って、香瑩がリョウと香のアパートに初めてやってきた夜のことが描かれるそうで。

今回の12巻のお話で、依頼人がずっと「時間を止めたような部屋」で暮らしてたことが描かれて、「パーパ、拓馬さんに自分を重ねちゃってた?」って香瑩に言われるリョウ。

香が死んで、香瑩が来るまでずっと香の部屋をそのままにしていたリョウ。

「私でさえ香さんの部屋には入れてもらえなかったのに」と冴子が言っていたほど、リョウは香の部屋を聖域にしてた。時間を止めてたんだ……。

それをさりげなく思い出させて、香瑩が香の部屋に初めて来た夜の話に続くとかホント巧い。次巻もまた泣かされるんだろうなぁ。

で。

実写ドラマも3話まで終わりました。

『エンジェル・ハート』を実写!?と最初は驚き、「無理無理」「やめた方がいい」と思っていたのですが。

見ちゃってます。

泣かされてます。

3話のミキちゃんの話、めちゃめちゃ泣いてしまいましたよ。ミキ役の子、可愛いくて演技も巧いし、最後にあの「夕陽」のくだりまで再現されちゃったらもう。

泣くしかない。

海坊主役のブラーザートムさん、「いい線行ってるけどやっぱガタイが足りないよなぁ」と思ってたんですが、がんばって10歳女子(ミキちゃん)を肩に乗せてたし、うん、ちゃんと海坊主さんでした。

Twitterでエンジェルハートタグを追ってると、シティハンターだけ知っててエンジェルハートの方は原作読まずに見てる方もけっこういて、いきなり香が死んじゃってることとか、ミキちゃんが海坊主さんのパートナーから幼女になっちゃってることとかに驚いてらっしゃるんですが。

私も第1話読んだ時は「えええええっ!」と驚愕し、「ちょっと嫌だ」と思ったものでした。

今では逆にシティハンターよりもエンジェル・ハートのリョウや香に親しんでしまって、今シティハンターを読んだら逆に違和感を感じそうな気が。

エンジェル・ハートの連載が始まったのって、2001年ですもんねぇ。もう14年にもなるんだ。

アニメが放送されたのが2005年~2006年で、これももう10年前! なんか、びっくりするな……。


アニメのミキの声が、「海坊主のパートナーだった美樹」と同じ小山茉美ちゃんだったのが嬉しくて、記事書いたりしてました。このblogも長いな(笑)。

原作ではこの、「幸運の女の子ミキ」の話、13巻からなんだよね。実写版、3話目にして13巻!

海坊主より先に冴子の方がミキと出会ってるんだけど、そこは省かれていたし、おそらくミキの「父親」の方の話も省かれるのでしょう。「父親」の話をやるとなるとだいぶ壮大になるし、あのサトちゃん役の人がジョイとして華麗にアクションもこなさなきゃならなくなるもんなぁ。

原作ではずいぶん後のエピソードだから、香瑩はリョウをもう「パーパ」と呼んでいるし、「香マーマ」が時々表に出てきて喋ったりしてる。ミキに「母親の死」を告げるのも、原作では香の役目。

実写ドラマではいつ「パーパ」って呼ぶようになるんでしょうね。もしかして最終回まで引っ張ったりするのかな。最後でついに「パーパ」と呼ぶっていうのも、それはそれで感動的な気がするけど、それだといつまでも香瑩はシティハンターにならないよね。ただリョウと行動を共にするようになるだけで……。

次の4話は原作12~13巻に出て来る、自分に移植された心臓の家族を探す男性、高畑さんの話。綾音役がオーズの比奈ちゃんでびっくりですが。

まだ「生きるってどうしたらいいんだ?」と戸惑っているドラマの香瑩。香の心臓を受け入れ、「移植が成功しても寿命は短い」ということも受け入れ、「今日一日を精一杯生きる」という高畑さんの言葉に「生きていく決意」をするお話になるのかな。

必ずしも原作通りではないけど、3話まで見る限り、原作のエピソードをうまく取捨選択してまとめているなぁと思います。

信宏が組織を抜けるところ――「青龍のお前は今死んだ」と李大人に撃たれるところがなかったのはものすごく残念だけど、あの新宿攻防戦を実写でやるのは大変だものね。李大人が双子で……っていうのもきっと省かれるんだろうな(そう、そもそも李大人が「双子」だよね!双子の話多い)。李大人が香瑩の実の父親って設定は生きてる感じだけど。

ドラマでは、正道会ではなく「レギオン」とかいう怪獣みたいな組織になってるけど、あの組織、ヘボいよね……。香瑩と信宏が抜けたらろくな暗殺者いないのか? カリートさんしかいない上にどう考えてもカリートさんが「ヘボい」んだが(笑)。

わざとなんですかね。李大人、香瑩を消すつもりはないから、わざとヘボいのを担当にしたんでしょうか。

それにしたって信宏が簡単に組織抜けられすぎだと思うけど。

「人殺しなんてずっと嫌だった」「俺も組織抜けたんだ」で香瑩のそばにいられるぐらいならもっと早く組織抜けとけ、的な。

信宏って、原作でも最近ではすっかりただのもっこりくん2世になってるけど、もともとは青龍部隊でも抜群の技能を持つ殺し屋だったはずで……。三浦翔平くんではちょっと華奢すぎるなぁ、私の信宏(おまえのじゃない)はもっと――と思っていたんですが、3話目でもう慣れてる自分が怖い(笑)。

第1話で暗殺者として出てきた時は華奢すぎて(衣裳もビミョーだったし)「イメージと違う」と思ったんですよね。でもキャッツアイで店員やってる姿は――海坊主さんが壊したテーブルをガムテープで補修し、再度壊されそうになった時はさっとクッションを置くあの姿は、「ああ、信宏」と。

原作ではあんなに早く珈琲淹れさせてもらったりしてないけど、「凄腕の暗殺者」のはずだったのにあっさり普通の生活に馴染んで「喫茶店のバイトのにーちゃん(しかも軽い)」になってるのは原作でも一緒。

海坊主さんに「私のパパになって!」って言ってるぐらいだもんね。ホントに青龍の精鋭だったのか、おまえは。その性格はどこで育まれたんだ(笑)。

香瑩役の三吉彩花ちゃんは美人だし、雰囲気出てるな~と思います。

上川さんは、立ち姿がすごいよね。最初にリョウ役が上川さんだと聞いた時はびっくりしたけど――そもそもリョウをリアルでできる人なんていないだろうと思ったけど――、いざ放送が始まってみたら「あり」だな、と。

ついつい原作1巻から読み返しちゃってるけど、ところどころ神谷さんじゃなくて上川さんの声で再生され始めてる。

第1話では、上川さん、竜雷太さん、「占い師の冷泉(麗泉)」というコンボに「SPEC」第1話を思いだしちゃった。李大人が野々村係長なのいいよね~。香瑩の父親にしてはちょっと年取り過ぎてるけど、雰囲気はぴったり。

年取りすぎといえば冴子さんも原作より10歳ほど年上だけど、高島礼子じゃなかったら誰がやるのか?と言われると思いつかない。アラフォーでああいう雰囲気のカッコいい女優さんって……。10年前に実写化しておけばバッチリだったのになぁ(何が)。

あと、2話に登場した香の兄、槇村さん。葛山信吾さんが演じてらしたのですが。

めっちゃ再現性高かったですね!

うぉぉぉぉぉ!!!槇村さんっ!!!!!!!となりました。2話だけではもったいなすぎる。もう何回か出てきてほしいものです。

香役の相武紗季ちゃんは……うーん、香はもっとボーイッシュなイメージだよねぇ。別に悪くはないけど。

この先原作のどのエピソードが採り上げられるのかわかりませんが、もし楊姐さんが登場するなら鈴木京香さんに眼帯させてみてほしいな~。似合う気がする。