『ベルばら』2回目、8月4日11時の貸切公演を観てまいりました。「ベルばら」だしサヨナラだし、友の会でも取れないかもしれないと思って、ダメ元で申し込んでおいたら珍しく当たったのですよね。
もちろんB席なので、今回も客席を降りて去って行くフェルゼンの姿、全然見えませんでした。
開演前に「前のめりになるな」と注意アナウンスがあるけど、あんな演出あったらつい身を乗り出してしまうよね(前の人が乗り出してはった)。乗り出さなくても見える演出にしてくださいよ……。

こないだ書いた感想記事、やっぱり記憶違いもあったので、ちょろちょろっと2回目の感想を書いておこうと思います。

まず、なんといっても今回は汝鳥さんのメルシー伯!
生の汝鳥さんを拝見するのはえーっと、『蒼穹の昴』ぶり。あれ?たったの2年ぶりなの??? 『ベルばら50』の時も休演されていたので、何か、「ずっと拝見できていない」気がしていました。
『ベルばら45』の時に司会進行をなさっていた汝鳥さん、現役タカラジェンヌの中でベルばら最多出場を誇っていらしたのですが、この雪組公演への出演で、また記録を伸ばされた格好。全OGを含めてもぶっちぎりではないのかしら。
カナメさん(涼風真世)のオスカル編でルイ16世、ノルさん(稔幸)の時にジャルジェ将軍、わたる君(湖月わたる)の時はブイエ将軍で、2013年月組ではまたジャルジェ将軍、そして2013年雪組でメルシー伯。2014年宙組では三度ジャルジェ将軍を演じられ、2015年花組版でメルシー伯。

私はカナメさんの時のルイ16世と、凰稀さんの時のジャルジェ将軍しか拝見していないので、汝鳥さんのメルシー伯は初観劇。
少し恰幅の良すぎるメルシー伯、お年ということもあって足どりはちょっと心配だったけど、さすがのお芝居、滑舌も声量もしっかりしていてお見事でした。なんかお一人だけ世界が違うというか、アンドレもベルナールもジャンヌもみんな若いキャストなので、「メルシー伯だけ突出してベテラン」というアンバランスさを感じないでもなかったです(^^;)

最初に真那さんメルシー伯を観てしまったせいもあるのでしょう。
今回、真那さんはもともとの配役、プロヴァンス伯。メルシー伯とはだいぶ違って、「いけず」な役ですが、プロヴァンス伯の真那さんも良かった。
(しかし真那さんのメルシー伯衣装、急遽新公のものなどを流用したのでしょうか。汝鳥さんとはあまりに体型が違う……)

最多出演汝鳥さんに敬意を表してか、今回メルシー伯の出番多いなと思ったんですけど(もともとのナツメさん版でもこんなだったかな)、アンドレがやっと出てくるカーテン前のシーンで「ロザリーもオスカルに会うのは久しぶりだな」とか言って、「よし、オスカルのところに行くんだな」と思ったらフェルゼンの部屋になるの、騙された感がすごい。

オスカルの邸ではなく唐突にフェルゼンの部屋になって、テラスから侵入してくるメルシー伯。汝鳥さんでもそっから入ってくるんかい!と思ってしまった。
あと、2つ前ぐらいのシーンでオスカルに「王妃様と別れてくれ」って言われてて、さらにここでメルシー伯にも同じことを言われて、冗長な気がした。まぁフェルゼンにとってはメルシー伯のだめ押しあってこその「スウェーデン帰国」だけども。

汝鳥さんと同じく7月11日時点では休演なさっていたジェローデル役の諏訪さきさんも無事復帰。うーん、なんか、印象弱かったな。こないだは「代役の方(咲城けいさん)ががんばってる!」というので注目して観てたから、「ジェローデル出番多い!」って思ったけど、今回はあまり存在を意識することがなかった……。


第一部、イラストバックにフェルゼン、オスカル、アントワネットが揃うところは「愛の怯え」で、薔薇の精のピンクの場面が「愛あればこそ」
グランドフィナーレのところだけ「歴代ベルばら曲メドレー」な気がしていたけど、フィナーレ全部そうでしたね。
「ばらベルサイユ」のラインダンスから始まり、「愛の面影」での群舞。彩風さんをセンターに青い衣装の男役さん、そして娘役さん。ここの振付、本当に良い。
前回は「にこやかに、快活に踊ってる」と見えた縣さん、今回はきりっと凛々しかったなぁ。

彩風さん、朝美さん、夢白さん、トリオのところは「ばらのスーベニール」。この曲も好き~。
彩風さん、ラインダンスの最後に登場してからずーっとフィナーレ出ずっぱりなんですよね。すごい。

最後、大階段を降りてくる時に「宝塚わが心のふるさと」を歌っていらして、「ベルばらの曲じゃなくそれで階段降りてくるんだ!」って改めて思いました。

あとロザリー、劇中では着ていないお姫様衣装で大階段を降りてくる。野々花さんは少し声が嗄れてらっしゃいましたね。繰り返し「オスカル様ーっ!」と絶叫しなくてはいけないですものねぇ。

彩風さんや朝美さんは初日から1か月経ってもお声が変わらずすごい。台詞も歌も朗々としていらした。
1回目を観たあとでナツメさん版とネッシーさん版を見返したんだけど、なんか、彩風さんの台詞回し、けっこうナツメさんに似てる感じがした。同じフェルゼン編だし、『ベルばら』の台詞って独特の様式美があるので、イントネーションとかどうしても似てしまうのかもしれない。

第二部の王妃も、割と皆さん、声の使い方とか似たお芝居になるよね。今回の夢白さんもすごく良かったけど、「夢白さんならでは」と言うよりは、「宝塚のカペー未亡人はかくあるべし」という「型」をしっかり演じきった感じ。
演出でわざとそうしてるのかな。ルイ16世の「それは困る」の言い方とかも、昔の千秋さんルイ16世を踏襲しているような。
奏乃さんのイメージと違う、ふわぁっと軽く、可愛らしい雰囲気の国王陛下で、1回目観た時すごく意外に感じたんですよね。

2回目もやっぱり音彩さんのジャンヌが良かったし、華世さんのベルナールも良いし、あと眞ノ宮るいさんも出番少ないながら良いアランだった。
ジャンヌといえば、二部で「共和政府は手ぬるいよー!」って言ったあと、「王妃を死刑に!」の歌がないのさびしいな。音彩さんにあれを歌ってほしかった。

第一部でしっかり爪痕を残しているとはいえ、いきなり「そうさ、生きていたのさ」って出てくるジャンヌ、『ベルばら』全然知らないで観る人に話通じるのかな。まぁそんなこと言ったらオスカルとアンドレの話も、ロザリーが何者かも、全部説明不足なんだけども。2時間ちょっとに詰め込まなきゃいけないんだもんなぁー。逆によく2時間ちょっとでまとまってるよね、すごい。

あと、オケの編成が昔より貧弱になって、シンセ頼みみたいになってるところがちょっと気になりました。『ベルばら』の音楽はさんざん聞いているだけに、特に耳が慣れるまでの最初の方、チープに感じたなぁ。生演奏は宝塚の大きな醍醐味の一つなので、がんばってほしい。(がんばるためにはチケット値上げとか言われるのかもしれんけども。プログラムも1,300円に値上げ。無職にはつらい(>_<))