子どもの頃、本屋めぐりをするのが好きだった。

駅前の5軒の本屋をはしごする。

2系統の本屋さんの本店、支店で、片方の本店以外はそんなに大きくもなかった。

でも「コミックに強い」とか「文庫が多い」とかそれぞれ個性があったりして、あっちになかったのがこっちにある、とかいうのが楽しかった。

Amazonはおろかインターネットもパソコンも普及していない時代、本と出逢うのは本屋さんか図書館しかない。

表紙のデザインと、裏表紙とか帯とかに書いてある惹句やあらすじ、解説なんかを頼りに、自分の好みの本かどうかを判断する。

えいやっとレジに持っていった本が「当たり」だと、嬉しかったもの。

うん、でも、そんなに「はずれ」ってなかった気がする。

まぁ中学生や高校生、たいして小遣いもなくて、そんなにたくさん本を―小説を―買ってたわけじゃないけど。


この間、久しぶりに本屋で「これ面白そう」って買った『ぼくらの君主論』と『パイは小さな秘密を運ぶ』がどっちも「当たり」で、本当に久しぶりに「本屋で本と出逢う醍醐味」を味わった。

やっぱり本屋さんで本と出逢うのって楽しいな♪

上の2冊を買ったのは、スーパーの中の、小さいのに品揃えがなかなかイケてる本屋さん。同じスーパーの別棟に「地域最大級」とかいう別の書店が最近オープンして、確かにそこはでっかくて、たくさん本があるんだけど。

今ひとつ、探しているものが見つからなかったりする。

でかすぎて探せない、ということもあるんだろう。

「最寄り」ではないし、まだ数えるほどしか行ってないから棚の並びに慣れてないし。

子どもの頃通ってた5軒の本屋さんのうち3軒くらいは、未だに棚の並びを覚えているんだよね。どういうふうに棚があって、どの辺にコミックがあって、どの辺に文庫があって、レジの雰囲気はどんなで、みたいなのを今でも覚えてる。

小さいのにイケてる本屋さんの方は、なにげに内田樹センセの文庫本がプチ特集で並んでいたり、その横が中島義道さん文庫の特集だったり、少ないながらも岩波文庫も置いてあるし、児童書コーナーもけっこうちゃんとしてて、「店主のこだわり」みたいのが見えるお店なのだな。

置いてある本の冊数からしたら新しくできたでかいお店の方が断然多いにもかかわらず、「こだわり」が見えるゆえに「本との楽しい出逢い」はこっちの方が多い。

ただ「数」だけがあってもダメなのよねー。

私が一番よく行く最寄りの平和堂の中の書店もそれなりに大きいんだけど、ここはどうも「売れ筋を後追いする」置き方のようで、発売日に影も形もなかった内田センセの『日本辺境論』が今頃山積みになってたりする。

コミックはともかく、文庫や新書は発売日には置いてない感じ。そして私がよその本屋やAmazonで買った後になって、やっと並んでる。

売れる機会を逃してますよー。
 

まぁ人の好みは色々なわけで、私的には「×」な本屋さんも、別の誰かにとっては「○」なのかもしれないし、問題は「自分の好み」とその本屋さんの「好み」の合致。

自分の好みにはまる本屋さんが近くにあると、「楽しい本との出逢い」の機会も増える。
 

できれば私は本は「買って読みたい派」で、後から読み返すことなんかなくっても、読んだ本を「自分の歴史」として本棚に並べておきたい人間なんだけども、最近は文庫でも平気で1000円ぐらいするし、予算も、そして置き場所にも限りがある以上、全部を「買って読む」わけにはいかない。

図書館の出番。

つい最近、「日本最大の図書館蔵書検索サイト:カーリル」というものの存在を知り、早速使ってみた。

というところで以下次回。