(※これはFediverse Advent Calendar 2023の13日目の記事です。12日目はねこづきあゆむさんの「連合思考のMisskeyサーバー」を運用する理由」でした。14日目ははにさんの【アドカレ】俺たちのFediverseはこれからだ【2023】」です

Twitterがサードパーティを締め出し、「X」になった2023年。
その代替となるべく――あるいはさらに“上”を目指して――色々と新しいSNSが生まれ、注目を浴びた一年でもありました。

私がTwitterを始めたのは2009年8月。
Instagramを始めたのが2012年4月。
最初にMastodonインスタンスにアカウントを作ったのは2017年の5月でした。
以来、TwitterとMastodonを反復横跳びしながら過ごしてきましたが、今年はNostr、Bluesky、そしてThreadsと、一気に3つものSNSに足を踏み入れました。

新旧SNSで遊んでいるだけで終わってしまいつつある2023年。この一年を以下のトピックで振り返ろうと思います。
・Twitterの変質と、それでも使い続けている理由
・Nostrにハマってbotを作ったり、技術書典に参加した話
・Blueskyはほぼ放置
・Threadsは本当にActivityPubに対応する?
・Mastodon公式アプリが使いやすくなった話

(※「X」という名称は扱いづらいので、この記事では一貫して「Twitter」で通します)


【1.TwitterがXになっても】

私がおばさんになったらあなたはおじさん、そしてTwitterはXです。
名前の変更はともかく、サードパーティアプリが死に、旧TweetDeckが死に、私の大切なTwilogも一時は死んでしまいました。

いきなり「TwitPane」が使えなくなったのが1月13日。
Twitterがサードパーティーアプリを締め出した件の個人的まとめ
その後しばらく使えていた「MateCha」も4月6日にお亡くなり。
いよいよスマホでは公式アプリを使うしか…となりましたが、腹立たしいのでアプリは入れず、ブラウザ版に拡張機能(「Control Panel for Twitter」)を当ててPWA化したものを使っています。

同じく4月上旬、API有料化に伴い、「Twilog」と「ツイエバ」もサービス休止。
さようならTwilog、さようならツイエバ
Twilogであとから自分のログを見返すためにTwitterを使っていると言っても過言ではなかったのに、これからどうすれば!?

幸いにも、Mastodon(というかActivityPub)向けの投稿ログサービスであるnotestockさんがTwitterアーカイブの取り込み機能を実装してくださったので、そちらに十数年分のTweetをどーんと注入。「洗濯機買い替えたのいつだっけ」などというライフログをnotestockでも検索できるようになりました。

その後、Togetterと統合する形でTwilogは戻ってきましたが、この先いつまた同じようなことが起こるかわかったものではない。
なので「あとから検索したいな」と思うことはなるべくMastodonでもつぶやいて、notestockにも記録されるようにしています。

それならもうTwitterやめてもいいのでは? なんでまだTwitterで消耗してるの?

使い続けている理由としては
お相撲とニチアサ実況はやっぱりTwitterが賑わっていて良い
そっといいねし合う昔なじみのフォロイーさんの存在
・各種公式からの情報収集
・お相撲クラスタメインでリストを組んでいるので平和
・慣れ

実際「慣れ」というか「惰性」の部分が大きいのかもしれません。「腐れ縁」みたいな。
ここまで10年以上使ってきて、幸いそんなに不快な思いをしたことはないし、この先もよほどのことがない限り(課金とか課金とか課金とか)使い続けると思います。

【2.Nostrはいいぞ】

2月5日にNostrを始めました。「Nostr」というのはプロトコルの名称なので、「Nostrプロトコルを使って構築されているSNSを始めた」と言うべきかもしれません。
もっと正確に言えば、「Nostrプロトコルに則ったイベントをリレーに投げるようになった」でしょうか。

ともあれ、現在私がもっとも入り浸っているのはNostrです。
6月にはNostr上にbotを作り、8月にはちょっとしたツールを作りました。
Nostrでbotを作った話
Nostrで検索ツールを作った話

11月には技術書典15にも参加。四谷ラボさんの『Hello Nostr! Yo Bluesky!分散SNSの最前線』という本に寄稿させていただきました。
(※技術書典オンラインマーケットだけでなくBOOTHでも電子書籍の販売を行っています。ぜひご覧ください)
同人誌に参加するのも初めてなのに、まさかの技術書。人生何が起こるかわからんな~を実感した出来事でした。
私にとって2023年が『激動の』になったのはほぼNostrのせいであり、Nostrに集う皆さんのおかげ。
マジでNostrしてるだけで一年が終わろうとしています。ヤバい。

Nostrの何がそんなに楽しいのか?
・素人にもbotが作れる
ユーザーがどんどん勝手に色々作っていける
レスポンスが速い。Nostrの速さに慣れると他のSNS(特にBlueskyやThreads)は投稿の反映が遅くてイライラする
面白い人が多い

Nostrの速さは非常に実況向きだと思いますが、残念ながらまだあまり実況民がいません。
日本語ユーザーのDAUは現在250人くらい。
中規模インスタンスのLTLでチャット&大喜利しているような感覚です。
昔、某Mastodonインスタンスに初めて参加した時に「この流れのどこに入っていったらいいのかわからない!」とLTLを長縄跳びのように感じましたが、Nostrの日本語タイムラインもそんな感じ。

リレー運営やクライアントの作成、勉強会の開催や技術書典への参加などなど、「すぐやる課」な方々が多くて刺激が多い。ついつい常駐してしまいます。

【3.Blueskyにはなじめないまま】

Nostrで招待コードをGetして、3月4日にBlueskyのアカウントを作りました。
お空の色はどんな色?~Blueskyで遊んでみた~
Waitlistには昨年11月頃に登録していましたが、そちらに招待コードが届いたのは9月1日。今さら感すごい。Waitlist、われ、生きとったんかい。

というのも、4月に招待コード無限増殖祭りがあって、まぁそれはバグだったんですが、「運営に気に入られた人にはたくさん招待コードが発行される」みたいなこともあって、「Waitlist、意味なくね?」と思ってました。
自分も「そういうルート」でコードを入手しといて言うのも何ですが、なんか不誠実に感じてしまった。
SNSのテストとしては「既存ユーザーが知り合いを誘う」方が、Waitlistでバラバラに登録させるよりも歩留まりが良いとか、理由は色々あったのでしょう。ともあれなんとなくBlueskyに対する印象が悪くなり、Nostrが楽しかったせいもあって放置していたらどんどん「アウェイ感」が増し、さらに使わなくなるループ。

いつもNostrで「なんで新人さん定着してくれないの」と思ってますが、一旦足が遠のいたらなかなか戻れないものですね。「別にここでつぶやくことないな」になっちゃう。

なので、現在のBlueskyがどんな感じなのか、どれくらい機能が増えたのか(あるいは増えてないのか)、よくわかりません。
とりあえず初期の印象としては
・とにかく遅い。公式アプリが立ち上がるのも遅いし、投稿が表示されるのも遅い
・日本語のキーワード検索が弱い
ハッシュタグが使えない。代わりとなる「カスタムフィード」はリアルタイム更新されないので実況には向かない
これならActivityPubで良くない?

ActivityPubの方が公開範囲の切替もできるし、CWやNSFWもあるし、ハッシュタグも使えてタグのフォローもできる。
(※BlueskyでもCWやリプライの制御などが可能になっているようです)
将来的にはActivityPubよりも「ユーザーがサーバーの壁を意識することなく使える分散SNS」になるのでしょうが、今のところはまだ公式以外との連合が実現していないので、「この使い勝手ならMastodonの方が良い」と思ってしまいます。

「BlueskyというSNS」以外のAT Protocolの可能性もまだよくわからない。
たとえばNostrプロトコルではすでにパブリックチャットやBlogといった「SNS以外の使い方」が実現されていて、それらを同じ一つの鍵ペアで使うことができます。
AT Protocolのアカウントでもいずれはそういうことが可能になるのでしょうか?

11月に公式PDSが内部的に分割されて、アカウント名は「showv3.bsky.social」のまま、所属PDSは「https://morel.us-east.host.bsky.network」になりました。「サーバーを引っ越してもアカウントそのまま、フォロー関係もそのまま変わらないよ!」が実現しているといえば実現している。
非公式なサーバーにも同じようにシームレスに引っ越せるのか、早く試してみたいものです。

【4.ThreadsはActivityPub対応待ち】

7月にはThreadsを始めました。
Threads始めてみた
現在120人ぐらいフォローしているのですが、全然TLが動きません。アクティブな垢が10ぐらいしかないです。そのうち半分はいわゆる「公式」だし。
「おすすめアカウント」として出てくる人たちも最新の投稿が軒並み「10週間前」とかだったりして、「いやいや、そんな休眠垢じゃなくてちゃんとThreads使ってる人おすすめして?」と思ってしまいます。もしかしてそういうアクティブな垢は存在しないのでしょうか。あるいは投稿しない方がThreads的には「おすすめ」なの?

Web版が使えるようになり、「フォロー中アカウントの投稿を時系列表示する」タブもでき、最近になってやっと日本語でのキーワード検索も使えるようになりました。タグ機能もつい先日実装、検索もタグも正直使い勝手は良くないですが、少しずつ機能は増えています。

が、一番期待しているActivityPub対応がまだ来ません

サービス開始当初から「Mastodon等の他のフェディバースプラットフォームともやりとりできるようになる」と掲示されているので、いずれ(「今後まもなく」?)実装されると思うのですが。


Instagramを使っていた各種公式さんや芸能人の皆さんがThreadsにも垢を作ってらっしゃるので、もしも本当に「threads.net」がActivityPubの1インスタンスとして振る舞うようになったら、「各種公式から情報収集するためにTwitterを使う」必要がかなり減る。

企業や芸能人の皆さんにとっても、自分たちでインスタンスを維持管理する必要なく、Meta社に運営やモデレーションを丸投げしてActivityPubに参入することができる。

使いづらいThreadsアプリを使わなくても――というか、別にThreadsにアカウントを作らなくても、MastodonやMisskeyのアカウントからThreads内の公式垢をフォローすることができたら、本当に便利になる。

そんなことしてMeta側に何の得があるのか?が問題なんだけど、もしもThreadsが本当にTwitterの代わりとして広く一般ユーザーへの広報として使えるなら、企業さんはそれなりにお金払ってくれるのでは…。
Threads内にアカウントを持ってるユーザーだけが見られる公開範囲を設けるとか、囲いこむ方法はもちろん考えてあると思うけど、どうなんだろう。

ActivityPub対応、「やっぱりやーめた」とならないことを願っています。

(※2023/12/14追記 本日、ザッカーバーグ氏がThreadsとActivityPubとの連合テストを始めると言明されました(→Threadsのこちらの投稿)。今後の展開が楽しみです!)
(※2023/12/15追記 ThreadsがActivityPub連携を進めるのにはEUでの事情がある、という考察を目にし、なるほどと思いました。EUでは政府機関がAPを導入している――そこと繋がるのは大きいですね)

【5.Mastodon公式アプリの進化】

はい、最後にとってつけたようにMastodonの話です。まだNostrを始める前、2月の頭に
Mastodon公式アプリの使い方
という記事を書いていました。
動作が軽快で意外に使いやすい公式アプリ、でもこの記事を書いた当時は「ローカルタイムラインを見ながらつぶやけない」という致命的な欠陥がありました。

しかし10月末頃のアップデートで「ローカル」が普通に見られるようになり、「リスト」も使えるようになり、「フォロー中のハッシュタグ」にも切り替えられるように。


ハッシュタグ画面で投稿欄を開くとハッシュタグが入った状態で入力できるようになっていて、実況もサクサク。
ユーザーのプロフィールページではブロックやミュートだけでなく「ブースト非表示」設定もできるようになってました(※これはもしかしたら気づいてなかっただけかも?)

動作は軽快だし、かなり使いやすくなって、いきなりアプリでMastodonを始める人にも好印象を持ってもらえるのでは。
サービスとアプリの関係性とか、TwitterとMastodonとか
という記事にも書いたけど、スマホメインの人にとっては「サービスを使う=公式アプリを入れる」だと思うので、「Mastodon」という名称のアプリがちゃんと存在して、しかも使いやすいというのはすごく重要なことだと思う。

Nostrには残念ながら「Nostr」というアプリはない。
「Nostr」というのはプロトコルの名称なので、「なくて当たり前」ではあるのだけど、「DamusというSNS」という紹介のされ方を見ると、AndroidユーザーゆえにDamusを使えないNostr民にとってはかなりモヤモヤするものがあった。

「Damus」という使い勝手の良いアプリが登場したことで一躍「Nostr」が注目を浴びたことは事実。サービスとアプリの関係性を考える上で、面白い事例だとも思う。
そして実際、Nostrの各クライアントにはクセがあって、微妙に互換性がない部分もあったりするので、「DamusというSNS」「AmethystというSNS」「FreeFromというSNS」「PrimalというSNS」…がそれぞれ存在すると言っても間違いではない気がしてきている。

11月にPebble(T2)が閉鎖して、Mastodonインスタンスpebble.socialを建てたのはとても興味深かった。わざわざ独自にSNSを作らなくてもActivityPubでいいじゃん!を地で行ってくれた。
よそと連合せずに閉鎖的モデレート空間を作りたいなら、ActivityPubで鎖国インスタンス作ればすぐできるもんね。Pebbleやってなかったし、ユーザーがどう感じているかは知らないけれども。

【総括のようなもの:みんな違ってみんないい?】

Threadsの「おすすめ」タブ、最初は自撮りのおねーちゃんばっかり出てきて、「そういうのは要らない」とひたすらミュートしていくと次に出てくるのが犬猫写真だったり、芸能人やライフハック的な素敵なつぶやきをしているインフルエンサーだったり、「そういうのも要らない」となって、結局全然フォローを増やせないまま数か月が経っています。

じゃあ私は一体SNSでどんなつぶやきを見たいんだろう?
SNSに何を求めているんだろう?

Twitterでは各種公式からの情報と、実況民の「わー!」「きゃー!」及び考察、そして古なじみの皆さんのちょっとした日常のひとこまを楽しみにしてきました。
自分も実況以外では暑い寒い、何を洗濯した、みたいなことばかりつぶやいてます。長文はblogに書くので、SNSは書くのも読むのも短くていい。長い投稿が流れてくると目が滑ります。

――長いblogもいい加減目が滑りますよね。
そろそろ終わりましょう。

今のところ、わいわいがやがやするのはNostrとMastodon、実況と壁打ちは主にTwitter、白身魚フライネタはThreads、という感じになっています。
すべてを一つのサービスで賄えて、すべてのフォロイーさんが一箇所に集まってくれたら便利だろうけど――だからこそ「Threadsは早くActivityPub対応しろ!」と思ったりもするのだけど。
でも「学校の友達」「習い事の友達」「会社の人」「自分のことを赤ちゃんの時から知ってる親戚のおじさんおばさん」etc.が一堂に会されると困る気持ちもある。
複数の「場」があって、それらが変にMIXされず「分かれたまま存在している」ことは、必要で重要な気がしています。

あちこちのフォロイーさん、フォロワーさん、今年も一年ありがとうございました。
来年もよろしくお願いいたします。

俺、来年こそはSNSを控えてもっと本を読むんだ……。


【関連リンクなど】
ひゅうがの各SNSアカウント
Twitter
Instagram
Mastodon(代表としてjp垢)
Nostr
Bluesky
Threads

Nostrのパブリックチャットクライアント
うにゅうハウス

Nostrのblog系サービス
Yakihonne
Habla

Nostrを始めてみたい方
nostterで始める快適Nostr生活
Nostr の面白さをエンジニア目線で解説してみる(mattnさんによる非常にわかりやすいNostrの解説)