劇場版 SPEC~天~ Blu-ray スタンダード・エディションをAmazonで購入

※以下ネタバレあります!これからご覧になる方はご注意ください!!!


劇場版『SPEC~天~』観てきました♪

と言っても見たのは公開3日目の4月9日月曜日。もう2週間以上も前です。あまり早くネタバレするのも何なので、感想書くのをぐっと我慢しておりました。

そんな昔に1回見ただけなので、色々記憶違い等あると思います。どうぞご容赦を。

さて。

公開3日目にもかかわらずすでにパンフレットが売り切れていました。びっくり!

おそらく土日の二日間で売り切れちゃったんでしょうね。月曜にそんなにお客さんが多かったとも思えないし。事実私が見に行った時も夕方の中途半端な時間だったこともあって、ガラガラでしたから。

いくら田舎だからって入荷数少なすぎるだろ!って思ったけど、Twitterで公式さんが「全国的に品切れ」とかおっしゃってるので、田舎かどうかは関係ないかも(笑)。




一緒に行った息子ちゃんが「観る前・観た後にパンフ熟読」な人で「えーっ、ないの!?」と非常に残念がっていました。もちろん私も残念です。あんまり残念だったのでつい『SPEC/BoosterBook』買っちゃいましたよ。あー、もったいない(笑)。


キャスト&スタッフインタビュー、テレビシリーズの振り返り、スペシャルドラマ『SPEC~翔~』のゲスト北村一輝さん谷村美月さんのインタビューも読めて、買って損はなかったBoosterBookでしたが。

「詳しくは劇場版パンフレットで」って箇所がある~~~~~~! ひどい(涙)。

見に行った劇場では「パンフ売り切れ。入荷未定」ってなってたんだけど、今度スーパーヒーロー大戦見に行く時に再入荷してないかな。通販で売ってくれればいいのにな。しくしく。

監督さんやプロデューサーさんの想い、読みたいよぉ。うっうっ。せっかく公開後すぐに見に行ったっていうのに、グッズも売ってなかったし。


などといつまでも愚痴ってないで、映画本編の話に移りましょう、はい。

いきなりファティマ第3の予言です。

ノストラダムス世代としては「うわぁ、懐かしい」とか「いい加減使い古されたネタだな」とか思ってしまうのですが、改めて「第3の予言は何だったのか」「本当に教皇暗殺を指すものだったのか?」と言われるとやっぱり怖くなったりして。

2012年世界滅亡のマヤ予言とか、昨年の地震&原発事故もありますし……。

1999年をやっと乗り越えたっていうのにね。

人間って、「滅亡予言」が好きなのかな。心のどこかで、「自分達は滅びてもしかたがない」という後ろめたさがあるということなのかしら。

ファティマの予言の話の後、2014年の雅ちゃんが映る。野々村係長からの手紙を読んでいる雅ちゃん。「君がこれを読んでいるということは…」

そして、2012年の夏。

海上でのミイラ死体の発見。スペシャルドラマ『SPEC~翔~』の最後で北村一輝さん扮する吉川刑事がミイラ化して発見された、あれと同じ手口。

始まる、未詳とSPECホルダー達の闘い。

まぁ、口で説明しちゃうと面白くない世界ではあるよね、SPEC。ドラマの時もそうだったけど、本気なのか冗談なのか、随所にお笑いをちりばめつつ、「刑事魂」だったり、当麻と瀬文さんの絆だったり、シリアスなメッセージもちゃんとある。

「本気で冗談をやる」という姿勢が実に良い。

刑事モノでありながらかなりSFだったり、軽々とジャンルを飛び越えちゃってるところも。

ニノマエ君+浅野ゆう子+伊藤淳史の3人が未詳に宣戦布告するところもあまりにも「お笑い」で、「君たちそんなキャラでいいのか!?」とこっちが突っ込みたくなるほど。

栗山千明様も「アメリカ育ちで日本語が不自由」という設定。本人はシリアスなのにがくっと来るようにできている。

千明様、あの「変な日本語」しゃべるの、難しかったろうなぁ。自分は笑わずに「間違った日本語」を大まじめにしゃべらなきゃいけないって。

やたら「キルビル」言われてたし(笑)。

しかしまさか千明様が瀬文さんの元カノ役とは……。瀬文さん面食い!!! ってゆーか、変な女が好きなのか(笑)。

瀬文さんも37歳ということで元カノの一人や二人や三人ぐらいいても、それどころか元妻ぐらいいても不思議はないわけですが、当麻とのコンビが大好きな私としてはちょっとショックでした。もちろん当麻もショックだったみたい。

二人の年齢設定、BoosterBookで初めて知ったんだけど、瀬文さん37歳で当麻25歳。一回り違うんだねー。理想理想(え!?)。

37歳にしては瀬文さん、かなりガキっぽい感じするけど、熱血まっすぐな男の人って総じてあんな感じかな。悪く言えばガキっぽい。よく言えば「少年の心を持っている」(笑)。

「テレビシリーズとはずいぶんキャラが変わってて戸惑った」と加瀬さんはおっしゃっているけど、見ている方はそんなにも気にならなかったなぁ。テレビでも最終回なんてけっこうギャグっぽかったし。

まぁ最初の頃に比べると確かに「お笑い」度が高くなってるけど、当麻の方が「SPECホルダーとしての葛藤」でシリアス度が増してるから、そのバランスで瀬文さんがよりいじられてるのかも。

元々「お笑い」だったのが志村さんの一件でどーんと暗くシリアスになり、やっと以前の瀬文さんに戻ってきた、という見方もあるようです。

「キルビル」言われる千明様、フツーに「ゴリさん」と呼ばれる野々村係長待遇。『太陽にほえろ!』リアルタイム世代としては――そしてゴリさんも大好きだった人間としては、相変わらず素敵な刑事さんで嬉しい。

いやぁ、野々村さんは今回もホントにいい味。シリアスな場面での格好良さと来たら! 「心臓が息の根を止めるまで真実に向かってひた走れ」とか、その辺の人が言ったら陳腐なだけだと思うんだけど、ゴリさんが言うとずしっと来るんだなぁ。

予告CM等で流れてる当麻VS瀬文の屋上でのやりとりの後、ゴリさんが伝えるメッセージはすごくいいし、雅ちゃんに宛てた手紙の内容もじーんと来る。

かと思うとめちゃくちゃお茶目だし。うまいよねー、ほんと。

『翔』で「シンプルプラン阻止」に動いた野々村さん、ただの窓際じゃないどころか実は「あっち」の人だったらヤだな、とか思ってたけど、まだ「未詳」の人で良かった。

誰が味方で誰が敵なのか、それがわからないのが『SPEC』の面白さ。当麻に雑魚キャラ呼ばわりされる捜査一課の3人にも「実は!」があるのじゃないかとちょっと期待したんだけど、今回はまだ雑魚キャラのままでした(笑)。

でんでんさん扮する市柳さんが実は津田だ、っていうのは『翔』でも示唆されていたけど、本家本元の津田だったことが明らかになって。

「津田助広」の「助」は「助平の助」とか説明してはった(笑)。

本家津田は意外に熱血な人でした。

「とらえどころのない怪しい津田」が好きだったのにな。でもやっぱりあの人も「大勢いる津田の一人」なのかもしれないし、まだまだわからない。

それにつけても椎名桔平さんは格好いいですな♪ 好きだわ。

死んでいった「大勢の津田」の写真が椎名さんのコスプレ全集みたいになってて面白かった。

マダム陽(ヤン)のSPECが「フリーズドライ」っていうのもホントにね。世代だわ~~~~~。(若い人はご存じないでしょうが、「マダム楊(ヤン)」というインスタントラーメンがあったのですよ)

「SPECホルダー達の暴走で人類滅亡!?」みたいな予告になってたけど、暴走側は3人しか出てこなくて(もう一人、“雑魚キャラ”的に出て来た人はいたけど)、そこはちょっと寂しかった。浅野ゆう子+伊藤淳史のSPECだけで、そもそもニノマエ君のSPECだけで十分驚異的とはいえ、結局ニノマエ君が従えられたのはこの二人だけだったのかな、と。

煩雑になるから出て来なかっただけで、「組織」はあったのかもしれないけど。

本物のニノマエ君は死んでしまっていて、映画の方は(そして『翔』の方も)フェイクだったことになってる。ってことはフェイクを作り出せる「組織」があるということで、DNAがあればSPECホルダーをコピーできるというなら、それはもうなんか、やりたい放題の世界になっちゃうよね……。

『翔』で描かれた美鈴ちゃんの悲劇。SPECホルダーであるがゆえに、よけいなものが見えてしまうがゆえに、せっかく入った芸大をやめざるを得なくなり、そして――。この美鈴ちゃんの結末はブーイングだなぁ。お兄さんともども哀しすぎる兄妹。

SPECがあるがゆえの苦悩、葛藤というのは、今回の当麻の重要なテーマでもある。

『翔』で左腕を封印して、でも死者達が彼女の左腕を通して蘇ろうとあがく。SPECホルダーであるがゆえに「殺されてもしかたがない」とされる彼ら、その悲劇を理解できるがゆえに生まれる葛藤、迷いが、左手のSPECを制御不能にする。

もしもそれが人間の「進化」なら、その「進化」を阻もうとするのは間違っているのじゃないのか?

何が正しくて、何が間違っているのか。

「SPECなんか必要ない」、と瀬文さんは言う。(以下、すべてのセリフはうろ覚えで正確なものではありません)

亡者にのっとられた当麻に銃を向ける瀬文さん。「どうして俺がお前に出逢ったかわかった。お前は先に逝け。俺ももろもろ片付いたらすぐに逝く」

でも、やっぱり撃てない。乗っ取られた当麻の銃に傷つけられても、でも撃てない。

「どうして撃ち殺してくれなかったんですか?」

どうにか亡者の支配を脱した当麻が問う。

「俺にはお前は撃てない」

きゃー、もう瀬文さんったら!照れるぅぅぅぅぅぅぅ!!!

この屋上の対決シーンも、最後の病室での二人のやりとりも、すごいラブシーンなんだよね。

愛の告白。

病室での瀬文さんのセリフなんかもう、さ。たまんないよ。

「お前の抱えてる痛みはお前一人だけのものじゃない。俺も抱えて生きていく。SPECホルダーとしての人生を選ぼうが、凡人として生きようが、お前はお前だ。俺の中で、それは一生変わらない」

プロポーズだよね、ある意味。

二人の絆は、ただの男女の恋愛よりもっと深いと思ってるけど、でもやっぱり、どうしようもなく素敵なラブシーンだ。

それ言い終わって、一回心臓止まって、「瀬文さん!」と取りすがる当麻の息に「餃子くさい…」と生き返るところも、泣き笑いながら当麻が「ガチで一生巻き込んでやるからな」って言うところも。

TVシリーズの最終回の、病院のベッドで「頭ここです」って当麻が言うとこも大好きだった。いちゃいちゃ抱きつくだけがラブシーンじゃないんだよね。

しかし考えたら瀬文さん、よく生きてるよね。あの驚異的な打たれ強さ、不死身さはもはや立派なSPEC(笑)。

「進歩も進化も必要ない。大事なのは、“人の想い”だ」

うん、ホント、そう思う。

それが、監督はじめスタッフが伝えたいこの作品の一番のメッセージだろう。

瀬文さんのこの一言と、野々村さんが雅ちゃんに宛てた手紙の最後。

「生きろ」

何が正義か、何が悪か。

そんなことはわからない。ただ、それでも、あがきながら、もがきながら、人は生きる。生きていくしかない。

その先に待つものが、廃墟でしかないとしても。

オープニングでは2014年の雅ちゃんだったのが、エンディングでは2020年くらいになっていたらしい(私はちゃんと見てなかった。息子ちゃんによるとそうだったらしい。雅ちゃんは年取ってないように見えたけど)。

バックには、半分砂に埋もれた国会議事堂。スカイツリーが遠くで傾いている。

2012年9月初旬の未詳とニノマエ達の死闘のあと、どんなことが起こったのか。

栗山千明と瀬文さんの子どもでありながらそうじゃない謎の子ども潤(「王」が入った名前だわね)と、「世界」と名乗る謎の白服の男(どう見ても演じているのは向井理)。

この白服の男を見て、ニノマエ君が「黒ずくめ」であることにすごい意味があるんじゃないかという気がした。それは神と悪魔という対比なのかもしれないし、文字通りニノマエ君は「黒衣(くろこ)」なのかもしれない。

当麻の弟陽太でありながら記憶を捏造され、SPECホルダー「ニノマエ」として生きることを強いられた彼。世界を攪乱するために、何者かによって操られている存在。

フェイクな今回は「心を持たない」とされていた。強力なSPECを持ちながら、“想い”を持たないがゆえに敗れ去る彼。

果たしてその先は描かれるのか。「結」はあるのか。

「欠」だろう、って最後に出て来たけど。

その方が楽しいかもしれない。全部描いてしまわない方が。

ずっと夢を見ていられる。

テレビシリーズがあんなふうに「ええっ!?」っていう終わり方をして、でもその謎だらけなのが逆にとても良かった。好きだった。全部種明かししちゃったら面白くない。真実は一つじゃない。

だから『翔』は、描きすぎとも思ったんだけど。

天才的な頭脳が十分に当麻のSPECだと思ってたから、「左腕」はよけいとも思えた。

そう言いながら面白くて映画見る前にもう一回しっかりじっくり見ちゃった。

映画も、見てる時以上に、こうして振り返ってる方がじわじわ来る。色々思い出して、考えてるとどんどん面白くなってくる。

TVシリーズの、あの毎週を楽しみにするワクワク感、最後のたたみかける展開、どんでん返し。映画は2時間でいっぺんに全部見せちゃうから、「やっぱり一番はTVシリーズ」って思ったりもしたんだ、映画見終わった時は。

ええー、そこまで話おっきくなっちゃうんだ、っていうのもあったし。

「結」があったとして収拾がつくのか。まぁ、つかない方が面白いんだけどね。

「結」があったとしても全部描ききらないでほしい。ますますわからなくなってほしい。

それでこそ『SPEC』でしょ?


【2012/05/02追記】

『スーパーヒーロー大戦』見に行った際に無事パンフレットGetしましたーっ!!!


ああ嬉しい(笑)。

BoosterBookにもありましたが、劇場版パンフにもちゃんとテレビシリーズからのお話解説が載っていて。

全部知ってるのにまたちゃんと読んでしまう。

読むと「全部知ってる」のが嘘だったことがよくわかる(笑)。細かいところはまだまだ知らないことがある、恐るべし『SPEC』ワールド。

後ろに用語辞典もついていて、色々設定細かいですね、ホント。

キャストインタビューでは戸田恵梨香ちゃんが「当麻と瀬文はLOVEになってはいけない」と言っていて、それは確かにな、って思いました。

病室のシーン、「愛の告白だ」「ラブシーン」だって感想を書きましたけど、「男女の愛」だけが「愛」じゃないですし。当麻と瀬文がその、「男と女の仲」になっちゃったらやっぱりヤだなっていうのはすごくある。

何だろう、もっと、人間と人間としての絆というか、「兄と妹」みたいな感じなのかなぁ。大切な身内というか。ムカつくところもある、嫌いなところもある、困った奴だと思いながら、でも見捨てられない。だって「家族」だから、みたいな……。

加瀬さんは「真夏のロケが悲惨だった」みたいなことを淡々と飄々と述べてらして、なんかとても「らしい」。

「瀬文は“思い”を大事にする男」――うんうん、そうですよね。

堤監督のインタビューでは「瀬文には極端に肉体派であってほしい」と。それもわかる。理屈じゃないところ、特殊能力も文明の利器も頼らず、身一つで立ち向かっていくところ。

SPECホルダーになることが人間の「進化」なのか、SPECを持つ者と持たざる者との対立というのはちょっと、ガンダムの「ニュータイプ」とオールドタイプの話も思い出させる。

宇宙の広さに適応し、他者と直接「わかりあえる」ニュータイプの力。素晴らしい人類の変革・進化であるように見えて、「戦争の武器」としか考えられなかったり、「危険人物」として隔離されたり。

『ガンダムUC』では「人の心を勝手に覗くな!」と「自動的にわかりあう」ことを拒否する人間も描かれた。

「個」であることの意味。

個別の「肉体」に閉じ込められてあることの意味。

植田プロデューサーのお話ではもうすっかり『結』があることが前提になっていて。

いやー、楽しみですね、『SPEC~結~』。私としては「決」の字を使って欲しいです。決断の決、決着の決、決意の決。

もともと「決」は「堤防を切る」という意味の字らしく、そこで堤防を切って「何か」が溢れて、もちろんまだまだ話は終わらない、っていうの、すごいぴったりやん(笑)。

堤監督と茂木音楽プロデューサーの対談もすごく興味深かった。音楽もいいですもんねー、『SPEC』! メインテーマがピアノというのは堤監督のアイディアだそうで。『波のゆくさき』THE RiCEGOOKERSの起用も堤監督。

いやぁ、すごいな。映像だけでなくすべてにおいてセンスがいいのね、堤監督。羨ましい。

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